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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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247.計画作成

ディアネイアが持ってきた加工品――ソーセージや、魚介の干物をサクラに調理して貰ったものを美味しく頂きながら、俺は同じ食卓を囲む皆と話していた。そして皆も皆で明るい雰囲気で話していたのだが、

 

「なるほど……修行は終わったのか。大変だったな、ナギニ殿」

「いえいえ、これも必要な事っすから。……ゴーレムは怖かったすけど。本当に、怖かったっすけど……!!」

「うむうむ、分かる。心の底から同意するぞ……!!」

 

 なぜかナギニとディアネイアの所だけ微妙に雰囲気が違くなった。魔法修行の過程や、それがほぼ完了した事など、明るい話題だった筈なのに。

 

 奇妙な事もあるものだなあ、とナギニたちを見ていると、ふと思うことがあった。


「あ、そういや聞き忘れていたけれど、試練ってどこでどんな風にやるんだ?」


 聞くと、ナギニはええと、と一旦口の中のモノを飲みほしてから


「試験は竜の国の霊廟で行われるんす。内容は創始竜様の力の波動を受け止めるというものっすね」

「受け止める……防御の訓練が役立ちそうな響きだな」

「ええ、本当に役立つと思うっす。まあ、試練は一人で受けなきゃならんので、いつもの訓練通りとはいかないでしょうけど。……甘えた事を言えば、師匠にアタシが試練に打ち勝ってきたところを見て貰うために、一緒にいて欲しい所っすね。近くで師匠が待っていると思えば、活が入りそうだし」

「なるほど。んじゃ、小旅行……といくか」


 言うと、ナギニが目をぱちくりとさせた。


「え……? あの、ホントに、一緒に来てくれるんすか?」

「そのつもりだが、いやだったか?」

「いや! そんな事は無くて、むしろ有り難いっす! 有り難いっすけど……国って言っても名ばかりな特に何もない場所ですし、試練は王族だけで受けなきゃいけないので、暇になっちゃうと思うので……言ってみたは良いけれどご迷惑かなって……」


 だんだんと声が小さくなってきている。

 彼女としては本当に思い付きでポロっと提案したのだろう。けれど、


「そこには気にするなナギニ。知らない場所に行ってみるというのも、面白いもんだからな」


 楽しみはこっちで勝手に見つけるから大丈夫だろう。


「因みに、主様が向かわれるなら当然私も向かいますよ。お茶のセットも持っていきますから、ゆったりした時間は過ごせると思います」

「我も、はるか昔にちょっと見たくらいだから、ついてく」


 サクラやヘスティも来るという事だし、退屈する事はない。更には、


「む、竜の国に行くのであれば、私も協力しよう、ダイチ殿」


 ディアネイアもこう言いだした。

 

「協力っていうと? 何か出来るのか、ディアネイア」

「うむ。竜の国ならば、昔、テレポート先として設定した事があるのでな」

「へえ、テレポート出来るって事は、行った事があるのか?」


 ディアネイアのテレポート先登録は、一度訪れないと出来ない筈だったし。そう思って尋ねると、彼女は首を大きく縦に振った。


「ああ。本当に小さなころに、私の師匠に連れられて、度胸試し替わりにほんの十数秒だけだが踏み入れたのだ。国といっても人間の様な街を築くのではなく、竜たちが羽根休め出来る広大な土地と王が住まう建物のみがある、という場所で驚いた記憶もある。……因みに、今もそうなんだろうか、ナギニ殿」

「あ、はい。今も変わらないっすね。人間に友好的な竜が滞在できるだけの土地を管理しているだけなので」

「なるほど。では間違いない筈だが……念のため聞いておくか」


 言いながらディアネイアは懐から一本の巻物を取り出してテーブルに広げた。

 巻物に掛かれているのは周辺の地図で、

 

「場所は地図で言うと、ここで合っているだろうか?」

 

 ここから南方向の一部分を指さした。


「あ、はい。間違いないっす。国はその辺っすね」

「了解だ。……そういうわけで、竜の国まで送るという協力は出来るのだ、ダイチ殿」

「なるほど。それは有り難いな。……じゃあ、この際だし、明朝、皆で行くか。ナギニの面倒を見るのには、ディアネイアたちにもかなり協力して貰ったし。結果を見届けたいだろうしな」


 俺の声に、周りの皆は各々で頷いた。皆も皆で、どうやらナギニの事を心配していたのかもしれないな、と思っていると、


「みなさん……。ありがとうございますっす……!」


 ナギニの目には薄っすらと涙が浮かんでいた。そして震える声で、ぺこりと礼をしてきた。


「ちゃんと、教えて貰った事を生かして、勝ってくるっす……!」

「ああ、そうだな。その為にはまず今日はしっかり食っていけ」

「はいっす!! 明日の為に美味しいごはんで、元気補給していくっす」

 

 そんな感じで、俺たちは明朝から、ナギニと共に竜の国の神殿に向かう計画を立てていくのだった。

 竜の国、と呼ばれる新たな場所に、ほんの少しのワクワクを抱きながら。

 

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