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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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237.成長結果公開

「俺の家が魔力スポットだった件」5巻が5/25に発売されます。その表紙を現在公開中です!

ナギニが街に住みディアネイアの下で訓練に励むことになって二日。

 その効果は直ぐに表れたようで、


「ダイチ師匠――! ディアネイアさんのところの訓練、凄いっすね! 魔法、結構上手くなったっすよ」


 俺がナギニの家に行くと、彼女は出会い頭にそんな報告をしてきた。 

 数日前には傷一つなかった頬や額などに小さな治療跡を作りながらも、喜びの表情を浮かべていた。

 

「おお、頑張ったんだな」

「うっす、頑張ったっす!」


 言いながらナギニは頭を下げて近づけてきた。

 まるで褒めて欲しがる犬の様だが、撫でろという事なんだろうか、と思っていると、


「……」


 なんだか物凄く期待するような視線を向けてこられた。

 本当に撫でて欲しがる大型犬の様だ、と思いながら俺は彼女の頭を撫でておく。


「えへへ……褒められるのはやっぱり好きっすねえ……」


 そうすると、ナギニははにかみながら、更に嬉しそうな表情をした。

 これくらいで喜ぶのであれば、いくらでも褒めてあげよう、などと思いながら撫でていたら、首筋などにも擦り傷のようなものが出来ていた。


「あー、結構ボロボロになったんだな」

「魔法の打ち合いっすから、これ位は仕方がないっす。それに治療もディアネイアさんたちがしてくれたので、問題ないっす!」

 

 そう言うナギニの隣では、ディアネイアが苦笑していた。

 

「うむ。ナギニ殿は成長度が凄くてな。最初は素人レベルだったが、今では熟練兵とも魔法を打ち合える程度には魔法に習熟したぞ。常人の数十倍の速度で成長していると言っても過言ではないな」

「へえ、マジで凄いんだな、ナギニ」

「うっす! ……でも、ディアネイアさんとの打ち合いになるとまだ負けるレベルなので、まだまだ頑張るっす。それに、ディアネイアさんの話によるとダイチ師匠は常人の何百倍の速度で成長していたって聞いたんで、上には上がいるって自覚もあるっすから!」


 両手にぐっと力を込めながら言われたセリフに、俺は首を傾げる。

 

「俺、そんなに成長速度は速くないと思うぞ、ディアネイア」

「うん、ダイチ殿。申し訳ないが、こちらに来て数日から数週間のうちに、超高等技法である想像魔法を使いこなしている時点でおかしい事なのでな。その辺りの認識はどうか容赦してほしい。本人はそう思っていても、周りからすると高速で進化しているように思えないのだ。というか、そう認識しないと私たちの常識が壊れるからな」


 言いながらディアネイアは諦めたような笑みを浮かべた。

 

「それは俺の成果ではなく分かりやすく手本を見せてくれたヘスティのお陰だと思うんだけれどもなあ」


 ヘスティはなんだかんだと謙遜していたが、彼女の力が大きいだろう、と思っていると、


「ヘスティさんの教えっすか……。受けてみたいっす。あたしも強くなって、これでダイチ師匠の家に行っても大丈夫なようになっていると思うっすから」

 

 ナギニがそんな事を言い始めた。

 

 確かに、強くなったというのであれば、俺の家の周りでグロッキーになることもないんだろうが、

 

「ディアネイアの目から見ても、大丈夫そうに見えるか?」

「ううむ、すまないが、そこは正直難しい所だ。魔力的には微妙だが、人間と竜王の身体構造は違うから、もしかしたらもう耐えられるような体になっているかもしれない」

「そうか。だとしたら、ナギニの判断次第になるが。……本当に来てみるか?」

「うっす! チャレンジしてみたいっす!」

「ようし。それじゃあ、軽く行って見るか。ディアネイア、テレポート頼む」


 そんなわけで、俺はディアネイアと共に、ナギニを連れて家に戻ることにした。


 そして数分後――

  

「も、申し訳なかったっす。調子乗ってましたっす……」


 前のめりでぶっ倒れたナギニがいた。

 というか、敷地に入って十歩も歩かないうちにダウンした。


「ヘスティの小屋に近づいたところでアウトかー」


 俺の家の敷地に入った時点で顔色は悪くなっていたのだが、小屋前でついに倒れてしまった。

 

「最初よりは、マシになっている、ような、気はするんすけどね……」


 顔面を地面に置いたナギニは息も絶え絶えになりつつ言う。 

 そんな彼女をフォローするように、ディアネイアは明るい言葉を吐く。

 

「う、うむ! これは進歩だぞナギニ殿! 倒れたが吐くことがなくなったのだから!」

「そうだぞナギニー。ああ、漏らしてもいないから、成長はしていると思うぞー」


 と、俺もフォローしたのだが、ディアネイアが頬を赤くしながら抗議の視線を向けてきたので程々でやめておいた。

 

「さて、まあ、慰めはこのくらいにして。ヘスティ、これ、どの程度強くなっているか、分かるか?」


 俺は小屋から出てきたヘスティに聞いてみた。

 この数日でどのくらい成長したのか、人を感知することに長けた彼女に判断してもらおうと思ったのだ。

 するとヘスティは、んーっとしばらく悩んだ後、


「そうだね。確かに、数日前よりも、強くは、なっている。……一般的な冒険者程度には、魔力も充実しているし」

「なるほどなあ。……って待て、一般的な冒険者がこの家に近づくとこうやって倒れるって事か?」

「ん? そうだよ? この土地は昔よりかなり強化されている。精霊の力や魔力がどんどんあふれているから、野生の魔獣も近づけなくなっている」

「マジか」


 この土地はそんなに強化されていたのか。

 どおりで最近は突っ込んでくるイノシシを見ないなあと思っていたけれども、そんな事になっていたとは。

 と、俺が軽いショックを受けていると、

 

「ん、なんにせよ、強くなっているのは事実だから、このまま励むと良い。ただ……魔法防御が甘いのが、ちょっと気になるところ」


 ヘスティがそんな事を言い始めた。 


「魔法防護が甘いって、どういう意味だ」

「ん、魔法使いが初期に陥りがちな攻撃偏重型になっている。だから魔法の打ち合いが上手くなっても、こういった魔力スポットに立ち入るのが厳しくなってくるから……総合的に鍛えた方がいいかもね」


 流石はヘスティ先生。育て方が分からないと言いつつ、有り難い意見をくれる。

 

「総合的に、か。うん……そうだな」


 意見を貰ったのならばすぐに実行しよう。そう思って、

 

「ヘスティ、ディアネイア。この後、時間があったらナギニの育成方針について相談させてくれ。ナギニも休ませる必要があるから、そのついでにさ」

「ん、分かった。じゃあ、色々と使えそうな魔道具持ってくるね」

「私も了解だ。ナギニ殿との共同訓練はこちらにも大きなメリットになっているからな。是非、手伝わせてくれ」」


 こうして俺たちは、ほんの少しだけ成長したナギニのさらなる育成計画を話し合うことになったのだった。


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