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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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235. 初弟子初訪問

お待たせして申し訳ありません。更新、再開します!


 ナギニが来て三日後、彼女の家が決まったとの報告がディアネイアから来たので、俺はヘスティと共に街へ繰り出した。

 そして連絡された地点に行ってみると、そこは見覚えのある場所だった。というか、

 

「俺の別荘の隣にしたんだな」


 俺が祭りの時に使っていた店舗の隣に木造の小さな家がある。

 そこがナギニの家だという。


「ああ、ちょうど、空き家になっていた上に、ダイチ殿のお陰でこの辺りの魔力が強まっていてな。特にダイチ殿が作った建造物周り――つまりここが一番が強力なのだ。普通の人にとっては少しばかり刺激が強い場所ではあるけれども、竜王にとっては丁度いい場所だと思ったのだ」

「うん? 俺の別荘も、何か街に影響しているのか?」


 なんだかそんな口ぶりなのだが、と思って聞いたら、ディアネイアは目を丸くしてこちらを見て来た。


「それは、もちろんだぞ、ダイチ殿? こんな魔力の籠った木材で造られた建て物なのだから。周辺に良い影響をばらまくのは当然だ。この周辺に住んでいる人は皆、体が元気になっているくらいだよ」

「はあ……この建物にそんな癒し(ヒーリング)効果があるとは思わなかったな」


 初めて知った。

 というかそんな自覚もなく、ポンポンと建造していたよ。


「ううむ、その分だと、ウサギの店や、平原のステージなどがもたらしているメリットも知らないのか」

「ああ、そっちもあるのか」

「うむ、特にあのステージは物凄いな。木製でずぶぬれになったのに全く腐らず、それどころか劣化すらすることなく、使い続けられる程強いのだ。その強さは周辺の土地に及んでいるから、あの周辺で子供が遊ぶと体が強くなることで有名になっているぞ」


 うんうん、とディアネイアが嬉しそうに言ってくるが、こちらとしては初耳な事が多すぎて若干困るぞ。


 ……ステージも別荘も、周りのバフを考えて作ったわけじゃないからなあ。


 まあ、悪い影響が出ていないのなら、それはそれでいいんだけどさ。


「それで……件のナギニはどうしたんだ?」

「ああ、ナギニ殿は家の中で、ダイチ殿を待っている。初のお客様と言う事でしっかり持て成したいそうでな」

「持て成しって、別にそこまで気を遣わんでいいのに。――ナギニ、入っていいのか?」


 ドアをノックしながら言うと、家の中から声が聞こえた。

 

「ど、どうぞっすー」

「んじゃ、お邪魔しますっと」


 ナギニからの返事を受けて俺は彼女の家に入る。

 彼女の家の中は、なにやらファンシーで揃えられており、とてもかわいらしい内装になっていた。

 そんな部屋の中央では、スカートを身に着けたナギニが立っていて、


「い、いらっしゃいっす、ダイチ師匠……!」


 と、服の裾を掴んで一例と共に、出迎えてきた。

 まるでメイドさんが行う挨拶の様であるが、

 

「何をしているんだ、君は」

「え、い、いや、目上の人や師匠に対してお出迎えはこうするって。双子の姉妹から習っていたので、やってみたんスが……」

「色々と愉快な認識をしているんだな、お前の姉だか妹だかは」

「え、もしかして、違うんすか!?」


 本気で驚いたような表情をしている。

 このナギニという竜王は本当に素直な性格をしているようだ。

 

「まあ、その辺はおいおい、ディアネイアにでも教えて貰うといい。……とりあえず住処が出来て良かったな。色々と可愛くて、良いじゃないか」

「は、はい! 凄く良い内装の家を貸してもらったっす」

「ああ、うん。内装もそうだが、ナギニも可愛くなってるって意味で言ったんだ」

「ふぇっ!? そ、そうっすかね……?」


 先ほどは面を食らってしまったからツッコミが先に出たけれども、綺麗な服で着飾っている彼女はとてもかわいらしくなっていた。

 この前まで旅をしてきたからか、ナギニの服装はボロボロだったから、とても印象的な変化だった。

 だからそう言ったのだが、ナギニは照れ照れと顔を赤らめてきている服に触れた。

 

「こ、これはっすね、アンネさんと、魔女の皆さんが色々と見繕ってくれたっす。あたしの格好も、人に馴染めるようにって。ディアネイアさんの計らいってこともあったそうっす」

「へえ、ディアネイアはそんなこともしていたのか」


 背後にいるディアネイアを見ると、彼女は頬を掻いて微笑した。

 

「まあ、な。ほかならぬダイチ殿の頼みだし、出来るだけのことはしようと思ってな。それで特訓の為に町に住むのであれば、こちらの服に慣れた方が良いと判断したんだ」

「その上、お城で行っている魔法訓練に来てもいいって許可も頂けて、本当に有り難い限りっすよ!」

 

 ナギニは鼻息荒く興奮したように両手で握りこぶしを作っている。

 修行の場所も早速出来たようで何よりだが、


「訓練に参加させて良いのか? 一応、アイツ竜王だけど」


 力の差など、気にしなくて大丈夫なのだろうか、と。そこが気になった。


「ああ、むしろ竜王と一緒に訓練できるというのは、こちらとしても有り難い機会だからな。ナギニ殿は未熟とはいえ、潜在能力は素晴らしい。だから兵士たちや魔女隊にはかなりの刺激になるであろうし、許可を出させてもらったのだ」

「おー、意外とスパルタなんだな、ディアネイアって」

「いや、まあ……正直、貴方を連れていくのが一番の刺激になるのだが、新兵だと気絶する者もそれなりにいるのでな。訓練としては強度が強過ぎる。だから程々の刺激ということでも、ナギニ殿は丁度いいのだ」

「俺の存在を訓練の強度代わりにするな」


 ナギニという存在が受け入れられているのであれば良いんだけれどもさ。複雑な気持ちになるだろうが。


「ま、まあ、それだけではないのだ。ヘスティ殿が言うには、ナギニ殿は体にある莫大な力を使いこなせていないだけということらしいし、それなら魔法の基礎訓練をやるだけでも効果があると思っているんだ」

「ああ、なるほど。ナギニの修行内容にもぴったりって訳か」


 それならば共同訓練をしない理由は無いな。


「と、ともあれ、その辺りの事は今、ダイチ殿に話させてもらおうと思う。ヘスティ殿が言うには、貴方がナギニ殿の保護者みたいなもの……らしいし」

「保護した覚えもないけれども、まあ、修行を手伝うって言ったのは本当だから、それでいいや。ナギニ、そこの椅子使ってもいいか?」

「あ、大丈夫っす。というか、今、お茶を入れるっすね。お二人ともゆっくりしていってください」

「おう、ありがとうナギニ。ごちそうになるわ」


 そうして、俺は別荘の近所に住むことになった竜王の家で、お茶を飲みつつディアネイアと話をすることになるのだった。

次話は明日の朝くらいに。

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