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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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-side アテナ- 修行と生態系


 午後。

 アテナとカレンが訪れていたのは、湖中央部の底にある洞窟だった。


「カレンー。本当にここでいいの?」

「ええ、マナリルとヘスティのお陰で、この湖底ダンジョンの調査もあらかた済んでいるので。問題なく修行をしてくださいな。空気も地中の方から精製するようになっていますしね」


 日の光が届かない洞窟の中には、しかし青の光に照らされて遠くまでが良く見えていた。


 空気もあるので、普段通り活動することはできるだろう。だが、


「うう、足元がヌメヌメしてるよー」


 このダンジョンの床部分にはコケのようなものが生えており、足裏にぬめりを伝えてきていた。

 それに加えて滑るので、一歩一歩進むのが大変になる。


「足元が不安定な場所での修業は基本ですよ、アテナ王女。その状態で、このダンジョンにいる数種類のモンスターを討伐してくださいな」

「う、うん、それは分かるけど……ここ幾ら空気があるとは言っても閉鎖空間だよね?」

「そうですよ。ですからお得意の炎を使い過ぎると酸欠になるので、気をつけてくださいね」

「うわあ、想像していたけど、酷いよカレンー」


 涙目になりながら抗議してくるアテナに対し、カレンは首を横に振る。


「酷くありません。どんな状況にも対応できるように基本の力を高めておくべきなのですから。ダイチを見ればわかるでしょう?」


 アテナはダイチと遊んだ午前中を思い返す。

 彼は既に覚えている技術を使って、なんてことなしに砂を操っていた。


「確かにダイチおにーさんは、凄い力を持っているけれど、大体は基本技術を応用しているっけ……」

「力の巨大さの方に眼をやりがちになってしまいますが、ダイチの凄い所は別の部分にもあります。特に私達やへスティの技を見て真似て、反復して自分のモノとして習熟させている所などですね。基本の事を絶大な力で行う。だからダイチは強いのです」


 そこまで言った後で、カレンは遠くに目をやるように、虚空を見上げた。


「……まあ、たまに基本などとは言えないおかしな性能を出したりしていますが、そこはまあ規格外という事で理解してくださいな」

「あ、あはは……凄かったねー。新素材でのゴーレム作成からの、大量生産は……」


 最初は一体製造が限界だー、とかいっていたのだが、ほんの数分で二体を作れるようになっていた。

 その数分後には同時に五体を作り上げていた。


 それから更に、飲み物を取りに十分くらい目を離していたら、もはや砂浜がサンドゴーレムで賑わっていたくらいだった。


「あの速度はおかしいと思うんだ」

「ええ、本当に憧れる力の強さです。……正直今晩は頼みこんで、一緒に過ごさせて貰おうかと思っているくらいですよ」

「そ、そこまでなんだ。――っと、モンスターが来てるね」


 話しているうちに洞窟の奥から、白い蛇のようなモンスターが来ていた。


 太さは一メートルほどで、口を大きく開けてこちらに牙を見せつけるように飛びかかってくる。だから、 


「《ウォータースタンプ》」


 アテナが唱えた瞬間、足元の水が跳ねあがって、白い蛇の顎を直撃した。

 水の勢いは強く、白い蛇は、洞窟の天井に叩きつけられた。


 それだけで、蛇は動かなくなる。


「これで三体目かな。この白くて長い蛇みたいなモンスターばかりいるね。なんなんだろう」


 聞くとカレンも首を傾げた。


「さて、私も久しぶりに来ましたが、このようなモンスターは見たことがないもので」

「え、カレンも知らないんだ」

「はい、意外と生態系が変わっているようです。ただまあ保有魔力がそれほどでもないので、心配はいらないかと」


 カレンの言うとおり、そこまで強くは無いのが幸いだ。


 ……本当に不味いモンスターが出た時は、テレポートで脱出することも出来るしね。


 修行はこのまま行っていこう、とアテナは両手を握りしめる。


「うん、夜もお姉さまと話したり、ダイチおにーさんと過ごしたりとか、楽しみが待っているんだから、修行も頑張って終わらせるよ! カレンの為にもね」

「ふふ、ありがとうございます。それでは行きましょうか」


 そうして、アテナはダンジョンの奥へと潜りながら、モンスターを倒していく。


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