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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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-side 竜王- 湖の変わり方

 深夜。


「今夜は温かいから薄着のままでいられて楽ですねー。程良く涼しいですし。ねえ、姉上さま」

「……我、あっついんだけど」


 ヘスティは、アンネ達がいるコテージに引き込まれていた。

 アンネに抱きつかれて、頭に胸が乗った状態でだ。


「結局、こうなるのか」

「いいじゃないですかー。夜は楽しく喋りましょうよー」

「……頭が重くて楽しくない」


 それに、アンネ越しに椅子に座っているので、微妙に不安定で困る。と、顔を渋くしていると、


「まあ、落ち着きなさいよ、ヘスティとアンネ。ほら、お水あげるから」


 マナリルが、水入りのコップを差し出してきた。

 このコテージはマナリルとアンネが相部屋することになっているので、色々気遣ってくれていた。


「ん、助かるマナリル。あと……そこの寝ぼすけも拾ってくれて、感謝」


 ヘスティはマナリルに礼を言いながら、自分の隣にあるソファを見た。


「うーん、まだまだお腹いっぱいには遠い~……むにゃ……」


 そこには、豪快に肌をさらして眠るラミュロスの姿があった。

 というかほぼ全裸だ。


 寝返りしているうちに寝巻を全て脱ぎ去ったようだ。


「……夕食を食ったあと、砂浜で寝てるとは思わなかった。昼間まで寝ていたのに」

「あはは。まあ、ラミュロスは体が大きい分、エネルギーを沢山使うしね。多少は仕方ないわよ。……ちょっと寝過ぎだと思うけれども」

「ん、まあ、我らがここにいる目的は、お休みと、簡単な調査だから、そっとしておく」


 出発の時はかなり迷惑したが、今はそこまで問題行動を起こしていないし。大人しく寝かせておくのが一番だろう。

 なんてヘスティが思っていると、


「あ、調査と言えば姉上さま。頼まれていた湖の底のダンジョンの調査、午後の時間を少し使ってやりましたよ」

「どうだった?」


 既に止まったダンジョンではあるが、念には念を入れて調査をお願いしていた。


 ……アンネは感知能力はそこまで高くないけど、マジックアイテムによる物理的な調査が可能だから。


 こういうときは助かる、と考えながらアンネの報告をヘスティは聞く。


「きっちり静止しておりましたね。モンスターを生みだしたりはしていないようでした」

「それは良かった。……ちょっと、湖底から変な波動を、感じていたから。悪いものじゃ、無かったけど」

「ああ、そうねえ。私もカトラクタがいなくなった湖を感知するのに力を使っていたけれど、少し奇妙な力があったわね」


 マナリルは窓の外を見ながらそう言った。

 どうやら自分と同じ奇妙な波動を、マナリルも感じ取っていたらしい。


「でも、大抵は野生動物か、野生のモンスターで、ダイチさんのプレッシャーに怯えて引っ込んだみたいだけど」

「そう。カトラクタがいなくなってから、暴れる算段をしていそうな生物は、ほとんど大人しくなった」


 この湖に来た当初に比べて、ダイチの影響を受けた今の方が安全になっている。

 それはヘスティの肌でも感じられることだった。


「ダンジョンの方も明日、軽く調べてみるけど、まあ、どうにかなるでしょう。カトラクタほどの脅威は感じないし」

「そうですねえ。今回はバカンスが目的ですし。そちらを主体に動いていきましょう」

「……ん。楽しむのは、大事」

「ですよね! では、姉上さま! お楽しみの続きを――」


 アンネがぎゅっと抱きしめてこようとしたが、

 

「今日はもう禁止」


 ヘスティはその腕をかいくぐるようにして避けた。

 その上でそそくさ、と離れていく。


「あっ、そ、そんなー」

「もう夜だし、落ち着いて楽しむのが一番。こんな時間に、抱きしめ続けられるのも暑苦しい」

「そうね。じゃあ、冷たいお酒でも飲みましょうか」

「ん、お願い」

「うう……酔った姉上さまも見たいから、ここは我慢しなければ……」


 竜王たちの静かな夜はここから始まっていく。


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