168.持ち込みリゾート
「俺の家が魔力スポットだった件」書籍第一巻 本日発売です!
皆さまの応援があってここまで来れました。本当にありがとうございます!
森の中を歩いて平原の湖に辿り着いた俺たちが、一番最初に出会ったのは、
「あ・ね・う・え・さまあああああ!」
黒い水着に身を包んだアンネの姿だった。
「……めんどいのが、いた……」
「お会いしたかったですううううう!」
ヘスティが反応すると同時、彼女は真っ先に抱きつきに来ていた。
そして、ヘスティの頭はあっという間に、水着で強調されているアンネの胸にめり込んでいた。
「……」
ああ、ヘスティが死んだ魚の目になった。
これはしばらくこのままだろうな、と思っていると、
「いやあ、騒がしくて御免ね。ヘスティとダイチさん、サクラさん」
アンネの後ろから、マナリルが来ていた。
彼女も水着を着用済みだ。
「おお、マナは可愛い水着なのか。いいな」
言うと、彼女は頬を染めて嬉しそうに微笑んだ。
「えへへ、ありがとう。ダイチさんたちを呼んで貰ってよかったよ」
「そっか、マナが呼んでくれたんだよな。というか、アンネがいるってことは、竜王を全員誘ったのか?」
「ううん、ヘスティと、ダイチさんたちだけよ。ただ、アンネは朝からずっとここに来ていてね」
「虫の知らせがしたんですよぅ! 今日、ここに姉上さまがセクシーな衣装で来るだろうって!」
どちらかというと、セクシーなのはアンネの方じゃないだろうか。いや、確かにヘスティも真っ白な水着を着ていて、可愛くはあるんだけどさ。
「というか、失礼な話だけど、へスティも水着を持っていたんだな」
着衣に無頓着だから、全裸で水浴びするものかと思っていたよ。
「……ん、旅の最中の水浴び時は、いつも着せられていたから。水着着用の常識は、知ってる。そして――いい加減、離れる!」
「ああん! いつもよりも強烈……! 水着という薄布だからこそ、ですね……!!」
いつもよりもアンネの両胸を派手に揺らして、ヘスティはアンネから脱出した。
「ふう……全く、暑いのに、余計に汗を掻いた」
「はは、まあ、すぐに水に入れるしな」
目の前の湖はおよそ五十メートルプールと同じくらいの大きさだ。
深さもあるし、いい感じに泳げそうである。あとは、そうだな。
「個室がいるな」
家から持ってきた海パンに往来で着替えるわけにはいかないので、俺は森の樹木を数本借りて、着替え室を作った。
ついでに休憩用のベンチも幾つか作成する。
「あ、相変わらず、ダイチさんは軽々建物をつくるわね」
「建物っていうか、簡単な箱だからな。楽だよ」
そして海パンに着替えたら次は、
「ゴーレム、こっち来い」
「? ダイチ様、そのゴーレムはなんですか?」
「ん、ああ、いきなり水に入るのもあれだからな。ウォーターサーバーゴーレム、改めシャワーゴーレムを連れて来たんだよ」
手の先についた蛇口を少し改造して、シャワー状に水が出るようにしてある。これで水慣れも出来たりする。
「ご、ゴーレムをこんな使い方する人初めて見ました……。贅沢というか、驚異的というか……」
「そうか? 結構便利だぞ?」
アンネはビックリしているけれど、日常使いには役に立ってくれているんだよな。
外で軽くシャワーを浴びたいときとかすぐに来てくれるし。
あと、温泉ゴーレムも連れてくれば、携帯浴場にもなるし。
というか連れてきて、すぐそこに控えている。
「……あれだけの魔力が含まれた水や温泉をそのまま運ぶって考えは、普通、ないと思うよ?」
ヘスティにまでそんな事を言われたよ。
画期的で良いアイデアと思うんだけどなあ。
特に体を冷やしすぎたらすぐに温泉に入れるって素晴らしいじゃないか。
「いや、うん、アイデアは凄い。でも、高度過ぎて、真似できない」
「うーむ、まあ便利だから良いだろ。ここも、いい感じの納涼場所になったワケだし」
先ほどまでは湖しか無い場所だったが、今では設備も充実している。
「そう、だね。これは、とても過ごし易そう」
「本当ね。武装都市の湖にもリゾートがあるんだけど、そこの一画みたい」
「リゾートって言うには、周りが寂しいけどな」
とはいえ、気持ちよさそうであることには変わりない。
「主様ー。私も準備できましたよー」
そして、着替え室からは、サクラが可愛らしい水着を着て出てくる。
露出は抑え気味だが、それでも露わになっている肌がきれいで眩しかった。
「ど、どうでしょう」
「おう、似合ってるよ」
というか、ここにいる竜王たちも皆、綺麗だったり可愛かったり、とても目の保養になる。
体もしっかり涼ませることも出来るし、いい場所だ。
「さ、それじゃあ、ゆっくり納涼を楽しむか」
「はい!」
本日発売の1巻には鍋島テツヒロさんの美麗なイラストが沢山付いております。
是非とも、お手に取って頂ければ幸いです。ご購入して頂ければ更に幸いです!(ダイマ)
また、二度目になりますが、本当にここまで応援して頂いた皆様に感謝を!
そして、まだまだ連載は続きますので、今後もよろしくお願いします。





