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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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136.戦利品分配とアウトドア


 庭に戻ってきた俺は、樹木のシートを広げ、その上に弁当を置いていた。

 いつでも食べれる状態にしておいて、サクラがお茶を入れてくれるのを待つ間に、ダンジョン探索の成果物を出して行く。


「えっと、こっちが俺とヘスティが仕留めたので、そっちがカレンたちが仕留めた奴だな」


 さっき横どりっぽく取ってしまった魔石はディアネイアに渡したが、それ以外は持ってきている。

 なので、合計八個の黒い魔石が、ダンジョンから持ち帰ることが出来たようだ。


「豊作、だね。これだけあれば、色々なモノが作れる」

「そうですねえ。マジックアイテムも、武器も防具も、上手く加工すれば良いものが出来ますよ!」


 職人系であるヘスティとアンネは興奮した面持ちで、魔石を見ていた。

 彼女たちにとっては、これだけ大きな魔石は魅力的なんだろうな。


「それじゃ、適当に持っていってくれ」


 そう言ったら、アンネが目を丸くしてこっちを見てきた。


「……へ? あ、あのダイチ様? 持っていけって、無料で、ですか?」

「え? 駄目だったか?」


 俺はこういう魔石の使い道が良く分からない。

 精々、ゴーレムに埋めるか土地に埋めるだけなので、もっと他に有効活用できる奴が持っていたほうがいいと思ったんだけど。


「い、いや、こんな立派な魔石、無料で貰ったら、申し訳ないですよ! ちゃ、ちゃんとお金をお支払いします!」

「うん? 今回は一緒に潜って取ったんだから、金を払う必要ないだろ。必要な分だけ持っていけばいいさ」

「う、うう……で、では、お言葉に甘えてひとつだけ……」


 アンネは恐る恐る魔石を一つ受け取った。

 遠慮する必要ないんだけどな。

 立派な戦利品だろうに。


「ラミュロスたちはいるか?」

「ボクはいらないかなあ。何も作れないしー。この後、温泉に入らせてくれればなにもいらないよー」

「右に同じく。私もモノづくりの才はないので、必要ありません。今日の戦利品は、ダイチと一緒に過ごせた濃密な時間で十分ですとも!」


 ラミュロスとカレンはいらないときたか。


「じゃあ、ヘスティは――」

「――我も自分で取った分、二つで十分」


 と、二つだけ取って、後のものには手を出さなかった。

 五個も残ってしまったけど、どうすればいいんだろうな。これ。

 

「俺は結局、埋めとく位しか思いつかないしなあ」

「それで、良いと思う。ダンジョンの魔力が豊富になれば、それだけ環境も良くなることが、多いから」

「そうか? じゃあ、埋めるかね」


 と、俺が残り五個の魔石を取ろうとした時、それに気付いた。


「……あれ? なんか青い石が混じってるんだけど、ナニコレ」

「ん? どれ?」

「ほら、真ん中の奴だよ」


 ダンジョンマスターの魔石の中に、ひとつだけ、群青色のものが混じっていた。

 洞窟の光加減だと、黒にしか見えなかったが外に出てみると、少しだけ分かりやすくなった。


「これ、俺が最初に仕留めた奴、のだよな?」

「多分、そう。大きさと、形は、最初に得たものと一緒」

「なんでこんな色になったんだ……?」


 俺が首を傾げていると、ヘスティも同じだけ首を傾げてぽつりとつぶやいた。


「んー、多分、魔力と水を吸い込んだタイプの、水分多めなダンジョンマスター、だったのかも」

「へえ、吸い込んだモノによって、魔石の色が違うのか」

「ん、そういう特性は、あるから。多分、そうだとおもう。この辺の土地に、水が豊富に含まれている、って証拠」


 そうだったのか。

 まあ、庭には沢山の樹が在るし、水分が豊富なのは良いことだが、


「これを埋めると、魔力や水の循環が良くなったりするのかね?」

「ん、恐らくは」

「そうか。じゃあ、これは優先的に埋めようかな」


 これを埋めることで、庭の植物がもっと育ちやすくなれば有難い。

 そう思いながら、地面の方に埋めていくと、


「主様ー。皆さんー。お茶が入りましたので、お昼にしましょうー」


 ちょうどサクラがお茶の入ったポッドを片手に戻ってきた。

 

「よし、戦利品の分配も終わったしメシにするか」

「ん、食べる」


 そして、俺たちは、冒険の後の昼食タイムに入った。

 歩いた時間はそこまで長くないとはいえ、しっかり運動して汗を流した後に食べた弁当は、格段に美味かった。


 水やお茶もいつもより美味しく感じたし。

 たまには、アウトドアで食事をするのも悪くないな。

 

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