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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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133.ガンガン進んで、どんどん倒す

 昼前。朝食を食べてゆっくりし終わった頃に、アンネら竜王たちは我が家に集まった。


「そんじゃ全員来たことだし行くかあ。サクラ、同期頼む」

「はい、かしこまりました、主様」


 そして俺は庭に穴を開けて、地下に潜っていったのだが、


「わあー、すごい、すごいねえダイチさん。このダンジョン、すごしやすいよ!」

「魔石がライト代わりになっているの、初めて見ました……。あれもこれも、魔石ですか……」


 どうやらウチの地下は竜王たちにとっては好評のようだ。

 特に嬉しそうなのはカレンで、彼女は顔を赤らめながらふうふう、と肩で息をしていた。


「ふ、ふふふ、素晴らしい魔力の当たり方です。気を抜いたら押しつぶされかねない圧力。そして背後からはそれ以上のダイチがいるなんて、最高に興奮しますよ……! おっと鼻血が」

「興奮するのは構わないけど、興奮しすぎてぶっ倒れるなよ」


「ええ、大丈夫ですとも。……この竜王の血を吸いこんでもなんともないという、強力すぎるダンジョンで倒れるなんてもったいない真似は絶対にしません!」


 拳を作って力説してくるけど、元気そうだから心配しないでも良いか。


「それで、サクラ、ヘスティ。ダンジョンマスターの反応はあるか?」

「ええと、私の管轄下にある土地には全くありませんね。ヘスティちゃんはどう感じます」

「我も同じ。ただ……この土地の思いっきり外の方に、脈動を感じる。だから、そっちの方で生まれてるかもしれない」


 と、ヘスティが指さしたのは街のある方角だ。


「それじゃあ、とりあえず歩いて、壁に突き当たったら適当に穴を掘りながら進むかね。――ゴーレム」


 俺は持ってきたリンゴから二体のゴーレムを精製する。

 腕に小型の魔石杵を取りつけた、掘削用のものだ。


「道案内は我が、する」

「というわけで私も」


 ヘスティと彼女に抱きついたアンネ、そしてウッドゴーレムを先頭に、俺たちはずんずん進んで行くことにした。



 歩いて十数分もすると、およそ魔境森の直下までこれた。

 思った以上にダンジョンは広く、道が枝分かれしていたが、ヘスティが道案内をしてくれるので迷う事もない。

 そして俺は小型のウッドアーマーで補助しつつ、顔だけ出して動いているので、疲労感もなかった。非常に楽な移動になっている。


「……しかし、ヘスティは凄いな。こんなに離れていても脈動とか感じ取れるのか」

「ん、ダンジョンマスターは膨大な魔力を徐々に取りこむから、魔力の動きが特徴的、だからね。取り込みきったら部下を一杯生み出すんだけど……って、話してると胸がジャマ……! いい加減、離れる」


 ヘスティはここにきて、アンネから距離を取った。

 頭の上に二つの球体が乗っている状態が相当嫌だったらしい。


「ああん、姉上さま……! もう少しだけ」

「もう、駄目。昨日やらせてあげたから、今日はおしまい」

「うう……いけずですぅ……」


 アンネはすごすごと引きさがり、ヘスティの隣を歩き始めた。

 本当に聞き分け『は』いいんだなあ、とアンネを見ながら思っていると、カレンがくいっと俺の袖を引いてきた。


「なんだ?」

「だ、ダイチ。私もあんな風に、貴方にまとわりついていいかな」

「先に聞いたのはヨシ。でも、駄目だ」

「そんなあ……」


 こっちはこっちで聞き分けがいい。この程度の絡みだったら、どうにかなっていいなあ、と頷いていると、


「あ、いた」


 ヘスティが前方を指差した。

 そこには、体長一メートルほどの小さなダンジョンマスターがいた。

 奥の壁には穴が開いており、街の方から掘ってきたのだろうか。


 まあ、出所はどこでもいいか。


「ギ……!?」


 ダンジョンマスターは俺たちを見て、敵意を示す様に腕を構えた。

 その手に炎が集まろうとしていく。その瞬間、


「ゴーレム、やれ」


 接近していたゴーレムの拳がさく裂し、ダンジョンマスターはその場で砕け散った。

 後に残るのは黒い魔石だけだ。


「あ、相変わらずの威力というか、パワーアップしてますね、ダイチ様のゴーレムは。小さいとはいえ、ダンジョンマスターを一発とは」

「まあ、小さいしな」


 以前見たのの半分以下の大きさだから、楽にすんだだけだろう。


「ともあれ、これで終わりか?」


 ヘスティに聞くと、彼女は首を横に振った。


「反応を見るに、同じくらい細かいのがもっと、散らばっているみたい」

「うわ、マジかよ。面倒だな」


 これが散らばっていたら見つけるのが大変だぞ。

 ただでさえ、枝分かれの多い道なんだから。

 どれがどこにいるのか、分かりづらいしな。

 

「んー、でも、これくらい近ければ、大丈夫。だよね、アンネ、カレン、ラミュロス」


 ヘスティは視線を他の竜王に移した。

 すると彼女たちは、苦笑しながら頷いた。


「まあ、ここまでくれば、わたし達でも感知できますからね」

「だねえ。ダイチさんがいれば手分けも出来るかも」

「ええ、これだけの魔力があれば、この上ない目印となりますからね。遠くてもすぐに分かります」


 彼女たちの言い方から察するに、竜王たちは個別で動けるくらいの感知能力があるのか。

 凄いな竜王ってやつは。


「頼りになるなあ」

「いや、まあ、これくらいは、しないと、ね。アナタばかりに負担を、かけてしまうから、私たちも、頑張るよ」


 ヘスティはぐっと両手に力を込めて言ってくる。


「うん、ありがとうよ。じゃあ手分けして、潰しながらいくぞ。腹がへったらメシって感じでな」

「はーい」


 そして、俺たちはダンジョンを調べながら進んで行く。

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