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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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103/309

―side ディアネイア―祭りの中と、新たなる参加者

 夕方の日差しが差し込む頃。

 ディアネイアは執務机の上でぐったりとしていた。


「ど、どうにか部隊の配置が終わったぞ……」


 朝っぱらから今の今まで、ずっと資料を見ながら、魔女や騎士団への指示を出し続けてきた。


 お陰でヘトヘトだが、これで、例え竜が落下してきても、大丈夫なように魔法使いと騎士を配備した。

 各部隊には、防御魔法も持たせているし、守りは万全だ。


 アンネには、他の竜王が来たらすぐ報告して貰うために、見張り台の方に行って貰っているので、竜王対策も、とりあえずはオーケーだ。


「うーん、でも、終わって良かった」


 背筋を伸ばして、窓の外を見ると、祭りの賑やかな様子が目に入った。

 そして楽しげな声も聞こえてきた。


 この楽しげな中に、あの人と一緒にいけるのは、本当に有難い。

 暗くなるのが楽しみになってきたな、と思っていると、


「姫さま! 緊急です!」


 騎士団長の慌てた声が聞こえた瞬間、前のめりに倒れそうになったが、どうにか持ちこたえて団長の方へ向いた。


「……またか!? 今度はなんだ?」

「姫さま、下に、王女様が到着されたとのことです」

「は、はあ? もう来たのか!?」


 早すぎるぞ。最初の連絡では今日の夜中とか、明日の朝とかになると聞いていたのに。


「祭りを楽しみにしていたそうで、早々と来てしまったそうです」

「ぐ……そんな事を言われては何も言えんではないか……」


「それから伝言で『お姉さま、早く来てしまってゴメン。城内の片付けにも時間が必要だろうし、祭りを眺めたいから、城前で待っているよ』とのことです」


 ああ、彼女らしい言葉だ。

 会うのは久しぶりだが、言葉を聞いた瞬間、頭で想像できたよ。

 奔放な子だけれども、礼儀は弁えていてし、自分を姉として慕ってくれているあの王女を。


「よし、ではまず、城に招いて挨拶するから準備をするぞ」

「はっ!」


 そしてディアネイアは執務室を出ていく。



 プロシアの城前に、二人の女性が立っていた。

 一人は綺麗なドレスを着こんだ少女で、にこにことした笑みのまま周囲を眺めていた。


「わあ、久しぶりに来たけれど、やっぱりお姉さまの街は賑やかだなあ。それに綺麗だし、面白いものも一杯あるし、凄く楽しいよ。カレンはどう?」


 カレンと呼ばれた、軽装鎧の上にマントを羽織った女性はゆっくりと頷いた。


「そうですね。アテナ王女。私もこういう所に来たのは初めてですが、美味しそうなモノが沢山あって、興味を引かれます」

「ふふ、カレンは相変わらず食いしん坊なんだから」

 

 仮装や華美な服装をした人が多い祭りということもあり、街の風景に二人はすっかり馴染んでいた。

 

 その中で、アテナは城の前に生えた巨大な樹木を目にしていた。

 城と同じくらいには高い背丈をした樹木だから、とても目立っていたのだ。


「それにしても、この大きな樹は、なんだろうね? 前に私がお姉さまの所に来た時は、無かったのだけれども」

「そうなのですか? 強大な魔力を感じるので、てっきり街の守り神か何かと思っていたのですが」

「カレンもやっぱり魔力を感じていたんだねえ」


 アテナは大木と、それに取り込まれた店を見上げながら呟いた。


「はい、この大きな魔力からして、張りぼて、というわけではありませんね。ただ、あんな巨大なもの、人の身で作れるわけがないので、恐らくは天変地異か異常気象で成長したのかと」

「そっかあ。流石は私の先生のカレン。物知りだね」


 楽しげに笑うアテナに、カレンは微笑み返す。


「先生ではなくて私兵ですよアテナ王女。それに、知識においては、私より上の姉達がいますし、この世には私の想像を超えているものは沢山ありますから」


「あはは、カレン以上に強い人がいるなら見たいねえ。強い人を見るのは、私も大好きだし」

「そうですねえ……」


 そう言って、アテナから大木に目を移したカレンの瞳は、かなり真剣なものだった。


「この巨木から感じる魔力は……自然のものではないのだよな。どのような化物がいたら、こんな現象を起こせるのやら……」


 と、カレンが目線を樹木の頂上付近に持っていっていると、


「すみません。お待たしました」


 城の方から、立派な鎧をまとった騎士が走ってきた。


「ディアネイア様の準備が整いました。どうぞ、こちらへ。王女アテナ様。そしてカレン様」

「うん、ありがとう騎士団長さん! それじゃあ行こう、カレン。……本国から受けている指令も伝えなければいけないからね。頑張ろう」


「はい、では行きましょうか」

「噂によると、なんだか強い人がお姉さまの周りにいるみたいだし、会うのがとっても楽しみだよ!」


 楽しそうに会話をしながら少女たちは、城の中へと入っていく。


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