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俺の家が魔力スポットだった件~住んでいるだけで世界最強~  作者: あまうい白一


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89.どんどん取れてどんどん進む

 

 再び俺はダンジョンに潜っていた。

 隣には、ラミュロスとの話が終わらせたヘスティもついてきている。ただ、


「話の後、ラミュロスの奴が項垂れていたけど、いいのか?」

「大丈夫。楽天家だからあれくらいやって丁度いい位だし、ああ見えて、竜王としての力もある。だから、何かしら働くとは思う」


 流石は幼馴染というか、よく知っているな。


「ん、まあ、付き合いも長いからね。――っと、そこに金属の鉱石が入ってる」

「おう、ありがとうよ」


 ヘスティが付いてきてくれると、ダンジョンの中の素材を目ざとく見つけてくれるので、とても有難かったりする。


 というか、俺があんまり素材やアイテムについて詳しくないというのが大きいんだけどさ。

 

「ん、ここのダンジョン、色々見つけられて、ちょっと楽しい」


 ヘスティが楽しそうにしているし、まあいいか。

 そう思いながら、俺たちはダンジョンをズンズン進む。


「あ、そこに希少な金属がある。杖に取りつけると、魔力の精製速度が上がる。……普通は密集して埋まってないんだけど、ここでは密集してるから、一杯取れそう」

「んじゃ、採っておこう。ディアネイアの土産にでもするか」

 

 途中で既に精錬されているような紫色の金属を取ったり、


「これ、マジックアイテムの材料。地中でのみ生える根っこ。……我が知ってるものの二倍くらい大きくなってるけど」

「アンネへの土産だな」


 白っぽい球根みたいな植物を採取したり、


「これ……なんだろう。見たことない。良い香りがするし、多分、魔力の塊か何かだと思うんだけど……」

「あとで調べてみるために取るわ」


 何だかわからないが珍しいものをザクザク取った。

 ザクザク取れ過ぎて、途中からヘスティの表情が微妙に真顔になっていたが。


「あれ? どうしたヘスティ。そんな顔をして」

「……なんというか、我が頻繁に言うほど希少物が多いって、異常。本当にこのダンジョン、資源が豊富すぎる」

「豊富なのは良いことだろ」

「ん、そうだけど。……ここを見て、我の中の通常基準を崩さないように頑張る。あくまでここのダンジョンの基準と、しておく」


 なんだか頑張りどころが変な気がするけれど、まあいいか。

 そのまま、俺とヘスティは希少素材につられるようにして、洞窟の奥まで止まらずに進んで行ったわけだが、


「あれ? どこだ、ここ?」

「んー……迷った、ね」


 いつのまにか、深いところまで行き過ぎたようだ。

 来た道が分からん。


「結構な入り組み方してるのに、一気に潜ったからなあ」


 景色がそこまで変わらない、というのも迷った原因だろう。


「ん……でも、アナタ、あんまり困った顔、してないね? 洞窟で迷子って、結構、死活問題だと、思うんだけど」

「そりゃなあ。どうしても道が分からなかったら、適当なゴーレム作って穴を掘るか、自宅と一人同期して、垂直に穴を作っていけば出れるからいいだろ」


 そう言ったら、ヘスティに唖然とされた。


「……そんな力業な脱出方法は、想定外だった」


 そんなものかね。

 一応、オヤツとしてリンゴは持ってきているし、そうでなくても地下とはいえ、自宅にいるんだから、敷地を操作できるのは変わらないんだがな。


「ま、だから、特に心配せず、素材集めようぜ」

「ん、了解。……っと、ちょっと待って」


 ヘスティと喋りながら、進んでいると、ヘスティが足を止めた。

 また温泉か何か見つけたんだろうか。


「魔力の反応が、ひとつ、ある」


 そう言って指差した先、そこにはポッカリと大きく空いた穴があった。


「なんだこの穴は」


 ダンジョンが拡張された、というよりは新しく掘られた感じだ。

 モグラでも住み着いたんだろうか。


「どうする?」

「うーん、夜までの時間を考えれば、まだまだ空きがあるからな……」


 どうせここまで来たのだし、もう少しだけ進んでみるか。

 こんな深いところまで、また来るかどうかも分からないしな。

 

「まあ、素材とかがなさそうなら、即撤退ってことで」

「ん」


 そのまま俺たちは、奥の方へ足を踏み入れていった。


お陰さまで連載一〇〇話を突破することが出来ました。

これからも連載を続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。

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