首なしのミルフェナ
Xの企画作品です
#年納め紅白執筆合戦2025
#首なし組
https://x.com/komugiko_fude/status/2005556406691508577?s=46&t=GwahFWsyUK5EyxunNZZ9IQ
「結婚するならお互いの首をもぎ取りましょう」
美しい貌のミルフェナはそう言った。
僕の首筋に白く細い指を添えて。
「誰かを魅了する貴方の顔も、誰かと話していれば貴方を不安にさせてしまう私の顔も、互いに愛し合えているならもう必要ないでしょう?」
……そうだね。僕は嫉妬しいだから、いつも君が誰かと親しくしていると激情に駆られた。いくら婚約はしていると言えど、君の人生は君のもので、君の自由を、交友関係を、僕には侵害する権利などないというのにね。
賛成だ。だけども、僕は彼女の手に自分の手を重ねて考え直させる。
「ただ、口付けすることはできなくなってしまうね」
「………」
君は、その行為を愛していた。いつも求めてきたのは君のほうだ。雛鳥が親に餌をねだるように、君はいつも僕を見上げて唇を差し出した。
僕は迎えるように唇を重ねた。
いま、首を失えば、それはもう二度とできなくなるだろうね。
「……構いません」
ミルフェナは、瞳を潤ませて僕に告げた。
「貴方は気付いていないようでしたが、私だって人並みに嫉妬をするのです。私以外の誰も、貴方に惹かれてほしくない」
なんだ、君もそう思っていたのか。であれば、何も憂いはないね。
その苦しさは僕もよく理解している。
「分かった。では僕は君の首を」
「ええ。私は貴方の首を」
――お互いにもぎ取ろう。一緒の墓に、先に埋めておいて。
首の根元には、お揃いの冠を被せることにしようか。きっとミルフェナはその首を失っても、首のない彫刻が人々の想像を掻き立ててやまないように、その魅力が完全に損なわれるわけではないと思う。
首の根元は、その先の頭を想像させるので、蓋をする。
首を失くした僕とミルフェナではなく、まるで元から首のない二人であったかのように生きるのだ。
―――さて、シャワーを浴びにいこうか
―――――ええ。転ばないように、ゆっくり向かいましょう
お互いの腕を絡ませて、僕らはバスルームへ向かう。
後掃除を任せるメイドには同情しておく。
〜fin〜




