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deta,89:クローンって、何



「アルフレドおじ様の死の裏には……そんな真相があったのね……」


 最初に口を開いたのは、セレア・メイランドだった。

 ラフィン=ジーン・ダルタニアスとセレアがまだ本部にいた時、アルフレドが教えた知識を共有するくらい、ラフィンは5歳年下のセレアを妹のように可愛がっていたし、アルフレドにもセレアは懐いていた。

 なのでセレアが本が好きなのも、ラフィンからの影響があったのだ。

 そしてラフィンが本部からの逃走を図った一年後に、エレイン・ローレンスがこの世に誕生している。


「私が追っ手に自分が失敗作であることを告げても、誰一人として信じてくれませんでした。なのでどうせ捕まるくらいなら、逃げ続ける人生であるのなら、成功体と偽っても変わらないと思ったのです。ですがこうしてようやく決着がついた今、大切な者達には私の真実を伝えておきたかったのです」


 静まり返るリビング。

 しかし次に口を開いたのは水沢堂魁(みさわどうかい)だった。


「短命って、つまりあんたの寿命はどれくらいまでなの?」


「それは分かりません。10年後かも知れないし、1年後かも知れないし、もしかすると明日――」


「でもそれを治す薬をラフィン、自分で作ればいいじゃないか!!」


 ラフィンの言葉を遮るように突然大声で、悠貴美誠(ゆうきみこと)が言い放った。


「美誠……」


「作れるんだろう!? そんなの! だってセレアやエレイン、遊ちゃんのも作ってきたじゃないか! だったら自分のも――」


「これはテロメアの関係上、不可能なのです……」


 ラフィンは落ち込んだ口調で述べた。


 テロメア――それは染色体を保護する役割のある、云わば結び目みたいなものだ。

 染色体DNAの両端がテロメアであり、細胞分裂する度にテロメアは切り分けられその分、短くなっていく。

 細胞分裂は成長し、生き続ける限り行われるのでいずれは元となる細胞も縮小しそこから発生したテロメアの長さも短くなっていく。

 故に細胞分裂の回数も減っていき、最後には分裂しなくなる。

 つまり細胞の老化だ。

 細胞の老化は云わば寿命の長さにもなる。

 細胞が老化すれば、分裂出来なくなるくらいに短くなったテロメアが以後の寿命を決定する。

 それは全ての生物が同じで、クローンとて例外なくその前提で誕生する。

 

 ラフィンの場合、そのテロメアが他よりも短かったのだ。

 アルフレドはそれに気付いたが、地位と名声欲しさにそれを公にすることなく、隠蔽し続けた。

 目に見えない欠陥品は気付かれることなく、外見にも身体的にも普通の“ヒト”と何ら変化もないラフィンは、18年間生かされながら様子を見張られ続けた。

 海外では18年は大人と同じ扱いになる。

 この間無事何も起きなかったらフィンは成功体とされ、本部はアルフレドへ引渡しを要請したが、情の芽生えた彼はラフィンを逃がすことにしたのだった。


「テロ……?? でも、でもさぁ! ほら、溶解する力を自分の体内に取り込んだだろう? 失敗作なら取り込んだ時点でラフィンは……!!」


 美誠は喚き散らしながら、何とか打開策を模索する。

 しかしラフィンは彼女に現実を述べる。


「……私は寿命以外を除けば、一般的な普通の人間です。だから可能だったのです……」


「何でそんなこと、言うんだよ!!」


 そう怒鳴った美誠の目からは、大粒の涙が零れていた。


「美誠……」


「知らない方が幸せなこともあるだろう!? なのにどうしてそんな事、この俺にも言っちまうんだよ!?」


「貴女を愛しているからこそ、隠さずに正直に伝えておきたかった」


「いつ死ぬかも分かんねぇのに、俺によくも愛しているなんて言えたな!!」


「……」


「俺はいつ死ぬかも分かんねぇ奴を、愛しちまったのかよ!?」


「美誠、言いすぎよ!」


「そういうことは、ラフィン兄さんがきっと一番分かってるはずよミコト……」


「じゃあ俺はこれからどうすりゃいいんだよ!?」


 魁とセレアの言葉に、美誠は反論する。


挿絵(By みてみん)


「私を、愛し続けることは出来ませんか」


 ラフィンがゆっくりと口を開く。


「そんなの……っっ!!」


 美誠は消え入りそうな悲鳴で言うと、言葉を詰まらせる。


「私は……――俺は死ぬその瞬間まで、美誠、君を愛し続けていたいんだ」


「う……っ、ぅぅ……っっ!!」


 美誠は嗚咽を上げて泣き崩れるのを、ラフィンが素早く動いて彼女を支える。


「俺は美誠を愛したことを後悔していない。寧ろ君に感謝したいくらいだ。君の存在が俺の力となり、支えになった。だから……これは俺のわがままかも知れないが、美誠。お前の愛をこの俺にくれ。俺には美誠が必要なんだ。残された人生を俺は美誠と笑って生きたい。だから一生、俺は美誠を大切にするから、どうか今後も俺を愛してくれ美誠……!!」


「ぁう……っ! ぅぁあ……! ぅわぁぁん!!」


 美誠は満足な言葉を発することなく、ラフィンの背中へと腕を回すと彼の胸の中で、大声で泣きじゃくった。


「……セレアの荷造りは明日改めてするわ。じゃあ、おやすみお二人さん」


「それもそうね。おやすみなさい」


 魁とセレアはソファーから立ち上がると、リビングを出て教会を後にした。




 車内にて、魁の住居場所へと向かう中。


「ラフィン、男らしい言葉遣い出来るじゃないの」


「ラフィン兄さんは以前からそうだったわよ」


「じゃあ日本に来てから敬語? 気取っちゃって」


「それを言ったらカイだって、普段は女言葉だけど“いざとなったら”男らしい言葉遣い出来るじゃない?」


「……まぁな」


 そして二人はクスクス笑った。




 “続いてのニュースです。英・オスリン研究所がヒトとしてのクローン完全成功化の誕生を発表し、世界各国でその賛否を唱える騒動が――”


「へぇ……新たに成功体できたんだ」


 氷室遊弥(ひむろゆうや)はTVニュースを観ながら、カップラーメンをすすっていた。


「遊弥……クローンって、何……」


 相変わらずの無感情に抑揚のない口調で、エレインが訊ねてきた。

 よもや“僕達のことだよ♪”などとは言えまい。

 これで完全にオスリン研究所は、もうラフィンを追う事をやめるだろう。


「さぁ? 俺にもよく分からないんだ。それより、早く食べないとラーメン、のびちゃうぞ」


「だってエレイン、猫舌だから」

 

 エレインはボソリと言うと、必要以上にフーフーと息を吹きかけてラーメンを冷ましていた。

 記憶喪失前は猫舌じゃなかったんだけど、と遊弥は内心思いながら首を捻るのだった。




女性向けR18サイトのムーンライトノベルズに掲載の『炎に宿りし誓いの太陽』にて、ラフィン×美誠のHシーンの詳細が書かれています。

イメージを壊したくない方はここまで。

大丈夫! 二人の全てを見たい!! という方はそちらへも是非お越しください☆


ちなみに更新は明日になります。

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