deta,81:失うものも大きかった
悠貴美誠の部屋のベッドで、ラフィン=ジーン・ダルタニアスは彼女と全裸姿で横たわっていた。
ラフィンは、美誠に腕枕をした姿勢で口を開く。
「こんな所をもし彼に見られてしまったら、またからかわれるのでしょうね」
「うん……“この猿カップルが”ってね」
美誠は言ってクスクス笑う。
「今頃彼は……セレアと一緒に仲良くやっていることでしょう」
「……そうだね、きっと」
ポツリ、ポツリと、言葉を紡いでいく美誠とラフィン。
「また貴女をこの腕に抱けて、安心した。美誠」
「私もラフィンに抱かれて、心が落ち着いた」
「本当なら、このまま眠ってしまいたいくらいだ」
「夜ご飯に私達がいなかったら、麻宮神父が今度は心配するよ」
「そうだな……では、起きよう」
「だね」
美誠とラフィンは互いに微笑を浮かべて軽く触れる程度のキスをすると、ベッドから起き出した。
衣服を着てからダイニングリビングへと下りると、麻宮清神父がキッチンに立っていた。
思わずドキリとする美誠とラフィン。
二人の気配に気付いた麻宮神父は、とても温かい笑顔を見せて声をかけてきた。
「やぁ帰って来たね美誠ちゃん。待ってたよ。おかえり」
「お父さん……!」
美誠は彼の笑顔がとても嬉しくて駆け寄ると、麻宮神父の腕の中に飛び込んだ。
「ただいま! 心配かけてごめんねお父さん!」
「どうせ満足に食事もしていなかったのだろう。今夜は美誠ちゃんが一番食べたい物を作ろう」
麻宮神父は美誠を抱き止めてから、彼女の頭を優しく撫でてそう言った。
食事も終えて、麻宮神父も自宅に戻り、美誠とラフィンは寄り添うようにソファーに座って、寛いでいた。
「こんなことを言うのは不謹慎かも知れませんが……私はようやく本当の意味で安心できる時間を手に入れることが出来ました。もう、本部から追われることがなくなったのですから」
「そうだよな。この為に俺達、戦ってきたんだもんな」
「ただ……失うものも大きかった」
「……」
彼の言葉に、無言を返すことしか出来ずにいた美誠。
「すみません。また気持ちを暗くしてしまうようなことを、言ってしまいましたね」
「いいさ。本当のことだもん。俺は友達のところに逃げちゃったけど、ラフィンの気持ちは置き去りにさせちまったし、泣き言くらい聞くよ」
「そうですか? 逆にまた美誠を泣かせてしまいそうですが」
「三日間泣いたから、もう涙はしばらく出ねぇもん!」
ついむきになる美誠に、ラフィンは愉快そうにクスクス笑う。
「今まで逃げ回っていた私に、戦う勇気をくれて鼓舞してくれたのは美誠、貴女の存在です。貴女に出会えて、本当に良かった……心の底から貴女を愛していますよ美誠」
「俺だって……ラフィンのことを地球上の誰よりも、ううん、宇宙で一番愛してるラフィン……」
二人は見つめあうと、キスを交し合う。
「幸せになろうなラフィン」
「ええ。当然です」
こうして二人は今後も一緒に、仲良く生きていくのだった。
命尽き果てようとも永遠に――。
END
「だーれがそう簡単に幸せにさせるかボケィッ!!」
突然のツッコミと共にダイニングリビングに姿を現したのは。
「――魁……!?」
「水沢……!?」
そこには、水沢堂魁が立っていた。
これにソファーから腰を浮かせる美誠とラフィン。
「全く。こちとらあれやこれやと大変だったってのに、そちらさんはどうせイチャコラやって慰めあっていたんでしょ! 分かるわよ簡単に想像がつくわ!」
「そっ、そんなことよりっ! 生きてたのかよ魁!?」
「そうよ悪い?」
腕組みして仁王立ちの格好で答える魁。
「なぜ、だったらすぐに姿を見せなかったのです!? 水沢!」
「だーから、あれやこれやと大変だったっつってんでしょ!」
魁は吐き捨てるように言うと、奥の方へと手招きした。
それに応じて次に姿を現したのは……。
「こんばんは……」
「あ! あなたは……!」
驚愕する美誠。
ラフィンはその人物の名前を口にする。
「セレア……!」
そこには、真っ白い肌と髪をしたセレア・メイランドが立っていた。




