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deta,80:涙は枯れ果てたよ



 正午過ぎ――コンコン。

 部屋のドアをノックするが、返事がない。


「美誠、起きていますか?」


 しかしやはり、返事がない。


「入りますよ」


 ドアを開けてラフィン=ジーン・ダルタニアスが部屋を覗くと、悠貴美誠(ゆうきみこと)の姿はそこにはなかった。


「……」


 無言でラフィンはドアを閉めると、セントティベウス教会内を探し回った。


 今回の件で、美誠が受けたショックは果てしなく大きかったことだろう。

 自分へ恋心を抱いたエレイン・ローレンスの豹変。

 豹変した彼女が見せた鮫島(さめじま)への残虐な殺害シーン。

 セレア・メイランドと共に我が身を犠牲にした水沢堂魁(みさわどうかい)の死――。

 そう。もう今までのように魁を、ラフィンも頼れなくなったのだ。


 書斎にある一本の、針にキャップを被せてある注射器を手に、静かに呟く。


「これを使用することは、もうなくなりましたね……」


 教会内のどこを探しても、美誠の姿はなかった。

 他の心当たりは一つだが――。

 一応念の為、ラフィンは電話をしてみる。


「……――氷室君ですか? ダルタニアスです――」


 氷室遊弥(ひむろゆうや)からの情報で、美誠の居場所は分ったがラフィンは、敢えて彼女を迎えには行かなかった。

 彼女が落ち着いたら、自ら戻って来るのを待ったのだ。

 今、無理矢理連れ帰ってもきっと、逆効果だろう。

 時には、騒動のことを何も知らない者と過ごすのも、慰めになる。

 しかし美誠は、半日経っても、一日経っても、三日経っても戻らなかった。

 

 これに、ついにラフィンは動いた。

 ラフィンは車に乗り込み、目的地へと到着すると、降車して建物へと踏み込んだ。

 窓口の管理人から聞いたまま、そちらへと向かうラフィン。

 そしてドアをノックしてから、ある一室のドアを開け放った。

 そこに、美誠はいた。

 

 その場所は、双葉学園の女子寮だった。

 突然姿を現した金色の長髪にネクタイ姿の美形の外国人に、美誠の元ルームメイト山村満利奈(やまむらまりな)と、親友であり遊弥の彼女である藤井梓(ふじいあずさ)は驚愕を露わにした。


「美誠」


「ラフィン……」


「一体いつまでここにいるおつもりですか?」


「……」


 ラフィンに指摘され、美誠は悲愴感漂う表情で俯く。


「……私では貴女の慰めにはならないのですか?」


「……」


 美誠は無言で顔を上げると、首をフルフルと横に振った。

 彼女の目からは、涙が溢れている。

 

 一方満利奈と梓は隅の方で寄り添いあっていた。


「この外国人が美誠の本命の恋人やて、うちの彼氏が言うとった」


「マジで!? めちゃくちゃイケメンじゃん!」


挿絵(By みてみん)


「……いらっしゃい美誠。教会へ帰りましょう」


 ラフィンは言うと、彼女へと手を差し伸べた。


「ラフィン――!!」


 美誠は立ち上がると、長身の彼の胸の中に飛び込んだ。

 そんな彼女をしっかりと受け止め、抱きしめるラフィン。


「お騒がせ致しまして、大変申し訳ありません」


 ラフィンは満利奈と梓へと声をかける。


「いえいえ、美誠、ただずっと泣いていただけでしたから」


「遊くんから聞くんは、目の前で人の死を見たせいや言うてましたし」


 満利奈と梓がそれぞれ答える。


「そうですか……では、美誠を連れて帰ります」

 

 ラフィンは美誠の肩を抱いて、背を向けた時。


「何があったかは知らないけど、元気出しなよ美誠!」


「そうやで! また明るい顔、見せぇや!」


 これに美誠は振り返ると、儚げな微笑を返した。

 首肯することも、否定することもなく、ただ無言で。

 



 帰路の車内にて。


「まだ、泣き続けますか?」


 ラフィンの言葉に、目を真っ赤に腫らした顔を上げる美誠。


「もう、涙は枯れ果てたよ」


 それだけ言うと、口を噤んでしまった。

 

 教会に到着し、美誠は自分の部屋へと向かう。

 そんな彼女の後を追うラフィン。

 そしてドアの前まで来た時、突然ラフィンから腕を引き寄せられた。


「!?」


 驚く彼女を抱きしめながら、ラフィンは悲痛な声を絞り出す。


「私はもしかしたら、貴女まで失ってしまうのではと思って三日間を過ごした……!」


「ラフィン……」


「頼むからこれ以上、私を心配させないでくれ美誠……!!」


「ラフィン……!!」


 そうしてどちらからともなく、互いの口唇を貪りあった。




女性向けR18サイトのムーンライトノベルズに掲載の『炎に宿りし誓いの太陽』にて、ラフィン×美誠のHシーンの詳細が書かれています。


イメージを壊したくない方はここまで。

大丈夫! 二人の全てを見たい!! という方はそちらへも是非お越しください☆


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