deta,59:メッチャ可愛い!!
その日はみんな、昨夜の怪我もあってゆっくりと過ごすことにした。
しかし昼になる頃には、悠貴美誠の筋肉痛は治っていた。
「若いっていいわねー」
「私達も本来ならば若い内に入りますよ。まだ20代なのですから」
「10代には負けるわよ」
「まぁ、怪我の容量がまるで違うのもありますしね」
水沢堂魁とラフィン=ジーン・ダルタニアスの二人はリビングのソファーに身を任せて、チョロチョロと動き回っている美誠を遠目に眺めながら、言葉を交わす。
宿題を終わらせて教会の掃除に階下に行っていた美誠が、軽い足取りで戻ってくる。
「俺、ちょっと遊びに行ってくる!」
「どちらへ?」
「誰と一緒よ?」
美誠の言葉に同時に声をかけるラフィンと魁の二人。
「エレインって子が教会に来てるんだ。だから映画でも観に行ってくるよ」
「そうですか。分かりました。気をつけて行ってくるのですよ」
「了解! じゃ、いってきまーす!」
そうして颯爽と下へと行ってしまった美誠を見送ってから、魁が訊ねる。
「えれいん?」
「ええ。聞いた話だと14歳の女の子です。ここの典礼に来ている子で、美誠と仲良くなったらしいです」
「へぇ~。思いの他、面倒見がいいのね。美誠」
「何でも“男性恐怖症”らしいのです」
「“男性恐怖症”……? その子、ホントに美誠で大丈夫なのかしら」
ラフィンの説明に、魁は男勝りな性格と口調の美誠を当てはめて、ボソリと呟いた。
「さて、今日はどうしようか?」
美誠はエレイン・ローレンスと連れ立って教会から外へと出て行きながら、彼女へと訊ねる。
「あたし、ミコトと一緒にショッピングに行ってみたい!」
「ショッピングか。OK。決まりだ。行こうぜ!」
「うん♪」
こうして二人は複合商業施設へと向かった。
ワイワイキャッキャと服選びを楽しむ二人。
「あーこれもいいなぁ~!」
「おお! それエレインに似合うじゃん!」
「ホントに!?」
「ああマジで! ちょっと試着してみろよ」
「シ、シチャク??」
「ここの個室に入って、試しに着てみるんだよ」
「え? 着てみていいの!?」
「おう」
「うん! じゃあ着てみるね!」
エレインは嬉しそうに言うと、服を持って個室に入って行った。
それから3分後。
「ミ、ミコト、側にいる……?」
カーテンの向こうからの声に、美誠は答える。
「ああ。ちゃんとここにいるぜ」
「じゃ、じゃあ、ど、どう、かな……?」
エレインが恥ずかしそうにしながら、カーテンをゆっくり開けた。
その姿は絵本から飛び出してきたような、愛らしいロリータ姿のエレインだった。
「ぅっわ! メッチャ可愛い!!」
「ホ、ホント!?」
「ああ、マジ! すみません店員さん! これ買うよ!」
美誠は店員を呼びつける。
これに焦るエレイン。
「え? でもあたしお金持ってない……!」
「俺が買ってやる。気にすんな」
そうして支払いをする美誠の姿に、エレインはうっとりとした表情で見つめた。
そのまま、エレインはこの服装で、店を出る二人。
通行人の誰もがエレインを振り返る。
「な、何だかすごくみんな見てくるよ……」
「気にすんなって! エレインがそれだけ可愛い証拠だ」
美誠の言葉が素直に嬉しくて、エレインは彼女の腕に自分の腕を組んだ。
これに決して嫌がる素振りを見せずに、美誠は腕組みを受け入れた。
ショッピングモール内を歩きながら、美誠がふと口を開いた。
「ちょっと小腹空いたな。何か食おうぜ」
「うん!」
そうして入った身近な飲食店で、美誠はパンケーキとバナナジュースを、エレインはハットグとチーズティーを選んだ。
「チーズ+チーズって胸焼けしそうだけどな」
苦笑する美誠に、エレインは美味しそうに飲み食いしながら答える。
「英国ではチーズはほぼ主食」
「なるほど。これ食い終わったらまだ少し時間もあるし、映画でも観て帰ろうぜ」
「うん!」
エレインは純粋に喜びを露わにした。




