Data,50:まったく、いやらしい子
朝――先に目覚めたのは悠貴美誠だった。
二人はラフィン=ジーン・ダルタニアスの部屋のベッドの中で、全裸姿でブランケットを被っていた。
美誠は夜の出来事をふと振り返る。
昨夜、どうして自分はあれだけ大胆になれたのだろうかと。
それはきっと、大人のラフィンのリードが巧かったからだろう。
「ラフィン……愛してる」
静かに囁きかけて、ラフィンに軽くキスをする美誠。
これに気付いてラフィンも、ゆっくりと瞼を開けて微笑みを見せた。
「おはようございます。ええ、私もですよ。美誠を愛しています。ですが……」
ラフィンはここまで言うと、片腕を美誠の背中に回してギュウッと抱きしめてきた。
「朝から私を欲情させるとは、貴女もなかなかの欲張りさんですね」
「アン、ヤダ、ちょっと待ってラフィン。あ、あの……昨夜のでまだ、その、い、痛みが残ってて……」
「おや。それはいけませんね。どのような痛みなのですか?」
「んー、生理痛みたいな感じ?」
「そうですか。では今朝はお預けとしましょう」
「でも、この痛みは嬉しい痛みだよ。ラフィンに愛されたんだっていうな」
美誠の言葉に、ラフィンは美誠の漆黒の髪を手で優しく梳きながら笑みを見せると、彼からも軽くキスをしてから言った。
「そういうことを言われると、我慢できなくなるではありませんか……」
「あ、ゴメン」
美誠も、ラフィンの金髪を同じように手で梳きながら、チョロッと舌を出した。
「さて、水沢が来る前に起き出しましょう」
「そうだな」
二人は苦笑しながら言うと、ベッドから出て衣類を身につけた。
「俺、ネグリジェのままだから、部屋に戻ってちゃんと着替え直してくるわ」
「分かりました。では私はリビングの方に行ってますよ」
「了解~!」
改めて衣服に着替え直して階段を下りる美誠。
今日は朝ご飯のメニュー、何にしようかな……。
そう考えながらキッチンへ入ると、ラフィンが朝食を作っている最中だった。
「あれ? ラフィンそういや……」
「ええ。今までは研究を理由に朝食を頂くギリギリまで書斎にこもっていましたからね」
「その、研究はもういいのか?」
「はい。おかげ様で。昨日成功して研究も終えました」
ラフィンはここまで言うと、一旦手を止めて美誠へニッコリと笑って見せた。
「へぇ~! 良かったじゃん! で、で、成功したってどんな研究なんだよ!?」
「それは、今までの溶解銃だったのを今度は、そのまま私自身が触れたクローン体を溶解させることが出来るようになった、特殊能力と言ったところでしょうか」
「マジで!? スッゲーじゃんラフィン! それって、クローン細胞をラフィンが直接触って体内を操作するってことだろう!?」
「そういうことです」
「最早、超能力者じゃん!!」
「超能力……一応、きちんと科学的に証明できるものですよ」
ラフィンは冷静に答えると、再び手を動かし始める。
「遺伝子操作ってことだよな……?」
「ええ、その通りです」
ラフィンは言うと、サーモンのムニエルの脇にベビーリーフを散らしていく。
「俺、スープ作ろうか?」
「はい、お願いします」
彼の返答を聞いて美誠は、冷蔵庫から玉ねぎとベーコンを取り出した。
「ベーコンとオニオンのコンソメスープですね。美味しそうです」
ラフィンは材料を見ただけでメニューを言い当てた。
こうして朝食を作り終えて、テーブルに並べ始める。
キウイとオレンジも一緒だ。
これにパンとコーヒーを付け加える。(美誠は牛乳)
朝食は四人分、用意された。
ラフィンと美誠の二人しかいないのに、なぜかと言えば……。
「はぁ~い! おはよう! 今日の朝食のメニューは何かしらぁ!?」
姿を現した水沢堂魁に、ラフィンが答える。
「サーモンのムニエルにオニオンとベーコンのコンソメスープ、フルーツとパンにコーヒーですよ」
「んじゃ、俺は麻宮神父を呼んでくらぁ」
美誠は言うと、魁の肩をポンポンと叩いて言った。
「おはよう魁」
そうして美誠はその場を後にした。
「ところでラフィン……今日のあんたの顔の肌、ツヤッツヤね」
「そうですか? 自分では気付きませんでした」
「ふ~ん。まったく、いやらしい子」
「これでも男ですからね。放っておいてください」
ラフィンはエプロンを外しながら、魁へと返答した。




