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Data,30:グループデート



「ロレッタ・フィオナ、マジ最高!!」


 翌日の正午、喫茶店で藤井梓(ふじいあずさ)氷室遊弥(ひむろゆうや)はガッチリと硬い握手を縦向きで交わすと、声を揃えて言った。


「何やうちら、気ィ合うなぁ!」


 梓は嬉しそうに言うと、タピオカミルクティーを啜る。


「そうだね。飲み物の好みも一緒とは驚き!」


 氷室も言うと彼女の後に続くように、タピオカミルクティーを啜る。


「……――ぅまー!!」


 ストローから口を離すと、二人一緒にまたもや声を揃えて言った。

 これに二人ははたと見つめ合うと、同時に笑い出す。


「何もかもが息合うなぁ」


「もうこうなったら、僕ら付き合っちゃう?」


「え……?」


 氷室の発言に、梓は途端に真顔になった。


「……あ、もしかして……彼氏いたりする?」


 本当はいねぇくせに。俺は知ってんだよ。


 内心、氷室は悪態を吐く。――が。


「実はうち今まで彼氏おれへんねーん! マジ? ホンマに!? 遊弥君うちの彼氏になってくれはんの!?」


 顔を赤らめながらも、明るい口調で声を弾ませる梓。


「う、うん、勿論! 梓ちゃんさえ良ければ!」


「ホンマかー! よっしゃー! ここに新たなカップル成立やー!」


 周囲の目を気にすることなく二人は、今度は横向きに硬い握手を交わしあう。


 フッ、ちょろいぜこの女。


 氷室は内心思うのだった。




「え? グループデート!?」


 悠貴美誠(ゆうきみこと)はスマホ片手に言うと、顔を顰めた。

 これに、リビングで美誠とチェスをしていたラフィン=ジーン・ダルタニアスがその碧眼を彼女に向けて、反応する。


『せやね~ん! 遊弥君が是非、誰かおれへんかーって、な!』


 電話の相手は梓だった。


「つーか、待て。梓、彼氏できたのか?」


『うん! 昨日出()ぅてな、今日から付き合うことになって~ん♥』


「そうかー! それは良かったな! 梓もついにデビューかぁ!」


『何や照れるなぁ! 気持ちいいからもっと言うて!』


 これに美誠は笑い声をあげる。


「でも、満利奈(まりな)とか(のぞみ)とかもいるじゃん。誘ったのか?」


『もち、誘うたよ! せやけど望は図書館デートで良ければって。彼氏と一緒に勉強する言うからうちから断ったわ。んで、満利奈は野暮なこと抜かすなって断られてん』


「そうか。ちなみにデート先は?」


『遊弥君は、ドライブはどないかって』


「ドライブ……」


 美誠はポツリと呟いた。


『そうや。一台の車に四人で乗んねん』


「そのユウヤ君とやらは社会人なのか?」


『うん。二十歳や。車、バッチリ運転出来るで!』


 これに美誠はまるで答えを仰ぐように、テーブルの向かいに座っているラフィンに視線を送った。

 するとラフィンはニコリと笑って、コクンと頷いて見せた。

 なので美誠は、梓へと返事をする。


「ああ分かった。じゃあグループデートするか」


『ホンマか! ほな迎えに行くから美誠の居場所教えてんか?』


「迎えに来るのか?」


 すると美誠の言葉に、ラフィンが顔を険しくさせて横に振った。


挿絵(By みてみん)


「いや、迎えじゃなくて待ち合わせにしようぜ」


『せやか? うん、ほならどこにする?』


 美誠は再びラフィンに視線を送ると、ラフィンが唇を動かした。

 その動きを読み取った美誠は、ラフィンに頷くと梓に答えた。


「そうだな。学校の門の前とかはどうだ? 今夏休みだから寮生以外、人も少ないし」


『……せやな。ほな、そうしよか』


「日時は?」


『明日の10時はどない?』


「了解」


『美誠おおきにー! ほな明日、美誠の彼氏をたっぷり拝ませてもらうで♪』


「こっちこそ。ああ、じゃあ明日な!」


 美誠はそれを最後の言葉にすると、通話を終了した。

 それを確認して、ラフィンが静かに声を発する。


「今の美誠のご友人は、どうして私達が二人一緒に暮らしていると分かったと思いますか?」


「そういや、そうだな。迎えに来るって言った辺り……ちなみに俺は、そこまで梓達には話してないぞ?」


「そうですか……ま、ひとまずチェスの続きをしましょうか」


 言うとラフィンはニッコリと笑顔に戻った。




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