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Data,16:ドライブなんか行ってる場合かよ!



「あらあら。まるで何事もなかったかのように片付いてるわね。でもさすがにあのブロック塀だけは直せなかったみたいだけど」


 教会に行く時に事件が起きた現場を、車で徐行しながら水沢堂魁(みさわどうかい)が言う。

 しかし無言のままの悠貴美誠(ゆうきみこと)


「……ホントにあのままで寮に戻ってきちゃって良かったの? 美誠」


「あいつだって、あれだけキツイ事言った俺に、頭にきてたじゃないか。もういいよ」


「美誠……」


 投げやりな口調で無気力に言ってきた美誠の様子に、魁は気にかける。

 更に美誠は言葉を続ける。


「これって俺の運命なのかな? だとしたら何で俺の人生ってこうも不幸続きなんだろう。俺……なんかもう疲れたよ。もうこうなったら……どうなったっていいかな……」


「美誠……?」


「魁ももう俺を守ることないよ。だからもう来なくていいや……」


「ちょっと何言ってんの美誠……」


 魁は言いながら車を止めたが、それを確認すると美誠は彼の言葉を最後まで聞かないうちに、車から降りて寮へと行ってしまった。




 美誠の言葉とは裏腹に、寮周辺を見張りをしながら魁は、ラフィン・ジーン=ダルタニアスに電話した。


「ちょっと。あたしあの子にもうボディーガード必要ないからって、断られたんだけど」


『……』


「聞いてるの!?」


『はい……聞いています……』


挿絵(By みてみん)


「あんたあの子に電話くらいしたんでしょうね?」


『ええ、しました。ですが……私からの電話を取り次いでくれないのです……』


「あの子相当落ち込んでいたわよ。あたし詳しいこと分かんないけどさ、あの子あまり人生に恵まれていないみたいじゃない。きっとだからあの子あんなに何事も必死に生きようとしているんだと思うし、男勝りでじゃじゃ馬なのもそこからきてんじゃないの? でもそんなあの子がまるで生きる事を放棄すようなこと言ってんの。出来る限りここであたしがあの子を守ってあげるけどさ。ちょっと目を離せば今のあの子ならそのまま流れに身を任せて敵の所へ付いてっちゃいそうな勢いだわ」


『水沢』


「何よ」


『私が連絡しようにも今のあの子は取り次いでくれません。明日は確か学校が休みでしたよね? 私が明日迎えに行きますから、あの子を巧く門の前まで呼び出してくれませんか?』


「? それは構わないけど……」


『ではよろしくお願いします』


 魁の言葉が終わらない内に、そう言い残してラフィンは電話を切ってしまった。


「全く。あたしに言わせれば二人ともガキよ」


 魁は嘆息吐くと、携帯電話をポケットにしまった。




「で、何だよ」


 次の日、見事に魁に捕まり不満そうな美誠。


「自分の車に俺からいたずらされたとか、でたらめ言いやがって。寮長に謝りに行って来いって怒鳴られたんだぞ。どうせ呼び出すならもっとマシな理由言えなかったのかよ」


「昨日のあんたの様子だと普通に呼び出しても来てくれなかったでしょう。いらっしゃい」


 魁に促されるままに付いて行ってみると、一台の車の前まで連れてこられた。


「ん? これあんたの車じゃないよ、な……?」


 言葉が終わらない内に、運転席からラフィンが降りてきた。


「ダルタニアスが気晴らしにドライブに連れてってくれるんですって。楽しんでらっしゃい」


「は!? ジョーダンじゃない! 俺は行かねーからな! 大体のんきにドライブなんか行ってる場合かよ!」


「思いがけないトラブルに巻き込まれて苛立つ気持ちも解かります。ですがそう気を張り詰めていたら精神的に持ちませんよ。息抜きでもしませんか」


 ラフィンは微笑を浮かべて言いながら、フワリと風に舞う長い金髪を手で押さえる。

 しかし昨日のお茶と言い、今日のドライブと言い、美誠は余計に苛立った。


「息抜きなんかしてる場合か! その間に奴らが襲ってきたらどうすんだよ!」


 そんな彼女の剣幕もどこ吹く風、魁は頭を掻き毟って言い放った。


「あー、もう! うざったいわね! そうしょっちゅう休みなく襲ってくるもんですか! それにそうやって焦って心にゆとりもない状態だと、いざバトる時ミス犯し兼ねないわよ! 敵が襲って来もしない時まで気を張り詰めてたら無駄にエネルギー消費しかねないんだから、気分転換でもして気分を落ち着かせなさい!」


「……分かった。だったら魁も一緒に……」


「ざーんねん! あたしはちょっと個人的な仕事を片付けなきゃいけないの! 今まであんたに付きっ切りで情報屋の仕事進めらんなかったからねー。それに、少しはじっくり納得いくまで話し合った方がいいんじゃないの?」


「ヤダね! 今更こいつと話し合いなんて無駄だよ! どうせまたケンカするだけだもん!」


「言うでしょ! ケンカするだけ仲がいいって! ブーブー言ってないでさっさと乗った乗った!」


 魁は助手席のドアを開けるや、やや強引にラフィンの車に押し込んできた為、美誠はやむなく抵抗するのを諦める。

 ラフィンも運転席に改めて乗り込むと、魁に笑顔で見送られる中、車を発進させた。




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