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飛ばない僕と、空を行く君と  作者: つこさん。
第二章

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24羽 「今日一日このままな!」 「で、なにこれ?」①


今話から第二章です!

よろしくお願いいたします!

しばらく平日のみの更新です


「さいしょはぐー!」

「じゃんけんほっ!」

「っしゃー!」

「ぐああああああああ」


 ここのところ僕の4連敗だった。

 タルクにじゃんけんのしかたを教えたら、即飲み込んだので、その日からなにかあるごとにじゃんけんで決めている。すごくくだらないことをかけて。たとえば、お互いの手荷物を両方持って、目立つ木立ちのところまで歩くとか。あと、食事を利き手じゃない方でとるとか。めっちゃ渋い茶を一気飲みとか。丸一日、語尾に「ぐえええ」てつけるとか。二連続できるまで側転するとか。まるっきりバカなことばっかり。

 ヒマだから。


「じゃあ、ちょっと後ろ向け、ヨータ」


 にやにやしながらタルクが言った。観念して、僕はガタガタいう幌馬車の荷台の上でタルクに背を向けた。すると、タルクは僕の頭になにかを装着して「よし」と満足そうに言った。


「……なにこれ?」

「じゃあ、今日一日このままな!」

「で、なにこれ?」


 鏡がないからわかんないんだが。頭から外して見ようとしたら阻止された。なんだよ。まあどうせ、超くだらないものだってことは確定しているけど。


 僕たちは今、ヴェルク=シーヴィから一番近い、テルク=ファルの大都市・ファルガントへ向かっている。ハルシーピで空を移動したら休憩含めて1日くらいのところを、ハルシーピ車ではなく、馬車で。もちろん僕に配慮してのことなんだけれど、表向きは繊細な細工物を届けるからだってことになっている。


 僕がキャラヤからもらった鑑別師(トゥンニスタヤ)という称号だけれども、すぐさま公示されて一般人の知るところとなった。本当は、普通に判定師としてテルク=ファルへ行かされる調整がなされていたらしいんだけど、あんなことになっちゃったからさ。後悔先に立たず。先週の僕のバカ。

 すんごい肩書がついてしまったおかげで、僕を引っ張っていく役目のブロムはなんか妙にたのしそうだった。うっきうきが態度から隠せていない。もしかしたら昇給とかするのかな。しらんけど。

 ちなみにブロムにもじゃんけんを教えたけど、タイミングがよくわからないみたいで、永遠に後出しだから僕らの遊びからはハブった。ちょっとだけいじけていた。後出しなのに負けるってどういうこと。外務卿ってそれでも務まるの。


 そして僕たちの馬車には、正式にヴェルク=シーヴィの警備がついている。翼騎兵隊の人たちの中で、タルクとおそろいだけど左側に肩当てをしている人たちだ。タルクとは違って空ではなく地上を護っているお仕事。何人かと話してみたけど、翼騎兵隊の働きは、軍隊っていうより自衛隊に近いかも。近年は戦争がないのも大きいのかもしれないけどね。

 彼らは、なんだか世界的に見ても類例のない称号を与えられちゃった僕を警護するってことで、本気でピリピリしていた。無事に僕をヴェルク=シーヴィへ連れ帰らなかったらいけないから。だから最初のうちは馬車から出ちゃダメって言われていたし、トイレを済ませるのも後ろに人が控えていた。要人ってこんなに心を無にしなければならないんだろうか。

 もうホント勘弁してくれってなって、いろいろ折衝した結果、タルクとぜったい離れないっていう条件付きで目の届く範囲でうろちょろしていいことになった。……あんまり変わってないな?


 タルクも、グラを置いてきたし、長期間他のハルシーピを帯同する気にもなれないってことで、馬車移動。なのでいっしょに暇を持て余してくだらないことに精を出しているわけだ。

 バカだな? 僕ら? まあいいや。


 正直、なんでテルク=ファルに行くのか、わかっていない。偉い人に会わせたいんだろうっていうブロムの思惑は伝わってくるし、それはきっとテルク=ファルの国益につながるんだろう。

 僕はあらかじめ、キャラヤから言い含められていた。


『君に命令することができるのは、私と、翼公たちだけだ。タルクですら地位としては君に劣る。だから、なにかを頼まれても、君が嫌だと思えば断ってかまわない』


 それって国交上どうなのって思ったけど、キャラヤが言うんだからそれでいいんだろう。ていうか、なんでそこまで僕に権限与えてるの。怖いんだけど。

 

「……おー。似合う似合う」


 にやにやしながらタルクが言った。キモ。いったいなにさこの、頭につけたの。カチューシャ? まあいいけど。顔洗うときとか便利だよね。

 で、しばらくそのままぼけーっと馬車に揺られていたら、幌の入口から「こんにちはー」とブロムが覗いてきた。僕と目が合ったら無表情になって吹いた。器用な人だな。


「――今日の午後には、ファルガントに着きます」


 見た目より俊敏な感じで乗り込んで来て、ブロムが言った。あ、そうなんだ。よかった、退屈すぎてバカになっていたから。僕は「そっかー、たのしみだなー。観光できる?」と聞いてみた。ブロムは「お望みとあれば、もちろん!」とにこにこする。


「その前に、たーーーーーっくさんの人に会っていただきたいですが」


 やっぱそうなるか。あー、要人、しんどい。

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※イメージが壊れる可能性があるため、自己責任でご覧ください
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またヨータの世界が広がるんですね。楽しみです! ソノコのケースは、ソノコが地理と世界観を熟知してましたが、ヨータはぜんっぜんわからない仕様で、読者も一緒になんだコレを観れるのが新鮮です。 ヨータこんな…
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