22羽 「おまえのものか?」「まさかあ」①
「グラ~~~~! ちゃんと僕を見て、説明して!」
灰翼半庁のでっかい建物の裏側には、ハルシーピ舎がある。グラたち、ヴェルミトゥラに住んでいる飛行用に訓練された個体たちは、みんなそこで寝泊まりしているんだってさ。僕がヴェルク=シーヴィへ来たときにタルクたちと会ったのは、その入口部分だった。
で、今はそのハルシーピ舎で療養中のグラを、タルクといっしょに訪ねて。
問い質したわけだ。僕をここに連れて来たのは、グラなのかって。
グラはそっぽを向いている。その時点で自供しているも同じだ。顔の正面へ回ったら、また違う方向を見る。話し合う気がまるでなかった。まあ、話はできないけども。
もう三カ月だよ、こっちに来て。僕自身はこうやって五体満足で、健康に過ごせてはいるけれど、家族や職場のことが心配だ。僕って今欠勤扱いだよな……クビになってたら嫌だな……。
一番心配なのは……母だ。妹が、きっと支えてくれていると、思うけど。
もしグラが僕を連れてきたのであれば、僕を帰すことだってできるはずだ。
「もう、なんだか、グラのこと嫌いになりそうだよ」
実感を込めて言うと、グラがあきらかにびくっとした。ぐえええええ……と地を這うような声をひねり出す。僕は「おだいじに。じゃあね」と言って踵を返した。
灰翼判庁と外界をつないでいる長い坂を、馬車で下っていたときに、タルクが前を見ながら言った。
「……グラが、原因だと言ったのか。霜翼卿は」
「うん。たぶんそうじゃないかって」
内緒話だからどこまで話していいかわからないな。霜翼卿がグラたちと話せるのは言っちゃダメっぽい。だから、僕はそうやってぼかして答えることしかできなかった。
タルクはなにか言いたそうな顔で、黙っていた。なので、僕から質問する。
「あの、さ。聞いておきたいんだけど」
「なんだ」
ちょっとびくっとしてタルクは背を伸ばす。いや、そんなかしこまんないでいいんですが。じっとタルクを見たら、なんかすごい真顔になられた。
「あの……キャラヤって、もしかしてその、霜翼きょ」
「言わない、俺はなにも言わないぞ!」
かぶせてそっこー拒否された。なんだよ。
ちなみにキャラヤは霜翼卿から追い出されていた。あの温室って、特別な許可がないと入れないんだって。だからタルクについてきたみたい。しっかり怒られて、なんかうれしそうに自前のハルシーピに乗って帰って行ったよ。
うん。そういうことなんだろう。うん。
家に着いてから、僕がいない間に多少埃っぽくなった家を掃除しようって言った。けど「どこが?」とタルクに真顔で返されてしまった。どこがもなにも、丸まって意志を持っていそうな綿ゴミちゃんが、君が歩く度に舞っているだろうよ……。
タルクは当てにならないので追い出して、大掃除することにした。前に強盗が入ったときにルムスと片づけたから、たしかに整頓されてはいるんだけどね。ついでにそんなにない家具も移動して、その下もやっちゃおう。
で、けっこうひどい。ここに住んでどれくらいになるかわかんないけど、きっとここまで掃除したことなんかないんだろうなあ……せっかく物がなくて隅々までキレイにしやすい部屋なのに。とくに、タルクのベッドの下がひどかった……。
で、僕のベッドはまだ搬入して数カ月だけれども。この際だからやっちゃえって動かしたんだよね。
「……ん? なに、これ?」
なんか、かなりくすんだ鈍色のチェーン。引っ張ったら、同色のプレートがついてネックレスみたいになっていた。あー、金具が壊れて落ちたのか。タルクでもオシャレとかするんだなあ。ちょっとどころではなくデザインが厨二っぽいけど。お兄さん感慨深くなっちゃったよ。
で、掃除終わって。タルクのベッドの上にアクセを置いて、夕食の材料を買いに馬車でお出かけ。僕もいろいろ、ヴェルク=シーヴィでの生活に慣れたもんだなあ、と思う。途中で顔見知りの人に会って世間話したりさ。もうまるで、ヴェルミトゥラにずっと住んでいるみたいだ。
なーにしてるんだろなあ。
ほんと、そう思う。
なんにせよ、グラの体調が戻るまではどうにもならない気がする。会話ができる霜翼卿でさえ、グラが僕を呼んだとの確信はない様子だったし。ダンマリを決め込まれるなら、こっちだって長期戦覚悟で臨んでやろう。焦っても……しかたない。
景気づけに夕食メニューを豪華にしようかな、と作るものを考えていたら、家に着いた。
馬車から馬くんを離して、集落で管理している馬屋へ連れて行く。馬車を使うのなんて僕くらいだから、馬くんとはかなり仲良くなれたよ。買ってきた野菜をあげて「またね」と言って別れる。
てくてくと戻って。家に入って。
そしたら、タルクがなんか深刻な表情で、自分のベッドの上に座っていたの。
「……どしたん?」
「――ヨータ。これを、どこで入手した?」
その手には、お昼くらいに僕のベッドの下から救出したシルバーアクセ。
「んーと、掃除してたら僕のベッドの下から出てきたよ」
なんとも思ってませんよー、的な感じで台所へ向かった。さて、グラタン的なものは作れるかな。
「……おまえのものか?」
「まさかあ」
さすがにそういうのは高二くらいで卒業したよー、までは言わない。タルク、なんか自分のものじゃない的な反応するじゃん。
振り返って見たら、なんか泣きそうな顔してるし。なんにも言ってないし、いじってないじゃん。ごめんってば。
「……俺は、俺の職務がある」
「公翼だもんね。それはそう」
「だから――おまえを捕まえなければならない」
――なんて?
すみません、書けませんでした
書き足しますのでお昼にリロードしてください
お手数おかけします
【12:00追記】
すみません……本調子ではなく、ぜんぜん書けませんでした
今日中にはどうにかします
サブタイがしっかり入ったら完成稿ということにさせてください
【22:53追記】
本当にすみません、書けません
体調が戻るまで数日お休みさせてください
【020216:19】
なんとか書きました、続きもがんばります!






