表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の二:サダク編:キュンキュンブーメラン
90/183

これは現実だ~

 私は「禍燃費まがねんぴランプ」……。

 力が強いわけでも無く、魔法も使えない、イヤ違うか……、魔法は使えるんだけど、その燃料が常に切れた状態なんだよね。つま~り、何の取り柄も無い雑魚キャラってわけ。


 はぁ~……、これって入院していた自分と同じみたいで本当にヤダ!だから、悔しかったので勉強だけは頑張ることにした。


 "勉強"って、ゲームでは放課後モードの時に選択肢で「勉強をする」って選ぶだけだったけど、ただ、う~ん、ゲームだと一秒もかからない"勉強"が本当は何時間もかかるんだよね、そりゃそうだけど。こっちの苦労も知ってくれぇぇぇ……、私は誰に言っているんだ?


 コホン……、まあ、そのお陰で試験では私がいつもダントツの一位!その後ろに、何とあのイェッドがいて、シェラが三番目だった。もしかしたら、魔族達は頭はあんまり良くなかったのかも?


 今日は定期試験の発表日、掲示板に魔法で記載された結果を見てサダクが悔しそうしていた。


「くそ、禍燃費のくせにっ!」


「べ~っ!ふはは~っ!少しなら勉強を教えてやっても良いぞぉっ!」


「ちっ!ドヤ顔でムカつくっ!」


 もっと悔しそうになってたからギエナと一緒に笑ってしまった。


 あとそうだ、禍燃費ランプって汚名のお陰で私を怖がる人は居なくなったな。それは良かった。私を襲った人も笑ってもういいやとか言ってた。何が良い~んだ、ふん!


----- * ----- * -----


 ゲームでの"授業"は、レベリングのことだったけど、これはほとんど同じ……なのかな?


 授業は大きく二つあって、座学として教室で先生が教えてくれる授業と実技の授業だった。

 実技の授業も二つに分かれていた。一つは魔法演習の授業ともう一つはクエストをこなすというもの。クエストは、一階にある成績掲示板の横にもう一つ掲示板があって、そこに書いてあった。んで、そこから何かを選んで更に横に居るクエスト管理者に伝えて受けるって感じだった。


 このクエスト掲示板は街とも連動しているみたいだった。つまり、街中にもこんな掲示板があって、様々な依頼が貼り付けられていた。こういうのって他のゲームだと冒険者ギルドが管理するんだろうけど、そんな組織は無くて、クエスト管理者がいるだけだった。

 依頼者は管理者に依頼したい内容を言うとそれを掲示板に表示してくれた。このクエストを解決することを生業とする人達がたくさんいて勝手気ままにクエストを受けては報酬をもらっていた。


 このクエストって、私思ったんだけど、つまりアルバイトなんじゃない?時給とか無いけど、依頼をこなしたらお給料もらえるんだから。そもそも、みんな"クエスト"なんて呼んでないし!依頼とかあの件とか、色々な言い方がある。だから、私的にバイトってことにする。


 このバイトだけど、ゲームでは街の人に話しかけて直接受ける事も出来た。

 んだけど、そんなこと実際に出来るわけないでしょ?あの人達……、今は私かもしれないけど……、どんだけコミュ力高いんだろうって思う。大体、私を見て逃げる人がまだ多いしね。


 仕方ないから学校のバイトだけをひたすらこなすことにした。

 学校に表示されたバイトは、学生向けに簡単な依頼が多かったし、勉強になるような依頼しか無かった。んでも、学生は報酬料が安いらしくこの街では結構頼られていた。街の役に立ってるし、自分達の経験にもなるし、何よりもお金が入るしっ!ともかく、Win-Winの関係が成り立っているし、もうこれ一本でいいじゃない?


 まぁ、というわけで、今日もギエナと一緒に学校の掲示板でバイト探し!


「ギエナ、私達じゃ出来ること少ないね……」


「そだねぇ」


「これなんてどう?キノコ狩り……、依頼主はレストラン?報酬は安いけど」


「いいんじゃまいか。報酬は……しょがないよぉ」


「そだねっ!よし、行こうっ!」


 ということで、その日はギエナと二人でキノコ狩りして、依頼主に届けて報酬をもらった。


 う~ん、ゲームではバイトをこなすと経験値とお金がじゃ~んって音と共に入ったけど、そんなことは無くて、依頼主からは、はいどうぞってお金がもらえるだけ。もちろん、経験値なんて入ったかどうか分かるはずもない!


「はい、二人ともありがとよっ!」


 少し寂しいから効果音を出してみた。


「チャリンチャリンッ!」


「レ、レイラ、何じゃ、その音はっ!」


「何となく……、あはは……」


 私の効果音が気に入ってくれたのか、良質なキノコが多かったのか分からなかったけど、依頼主が食事をごちそうしてくれることになった。


「あはは、面白い子お嬢さん達だね。ご飯食べていきな」


「おぉっ!なんとありがたやっ!あ、だけど、レイラ、寮の夕食どうするん……、食べないと寮長に怒られるぞ」

「うぅぅ、少なめにしてもらえますか……、ご厚意を頂いているのにすいません」


「あははははっ!そんじゃ、飲みもんとおつまみにしておくさ」


「ありがとうございますっ!!」

「ありがとうございますっ!!」


 ゲームで何か食べると力が上がったりしたけど、そんな効果も無いんだよなぁ……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ