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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド壱の二:嫌になったら生まれ変われば良いんじゃね?
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宇宙的GM演技

 津名のテレポーテーションで教室は大騒ぎになっていた。唐突に教室に津名が現れたからだった。教室で出し物をフォローしていたクラスメイト達はもちろん、参加していた人達も何が起こったのだろうかと皆一様に驚いた顔をしていた。


「んが~~っ!何してくれてんのっ!」


 大寬はメチャクチャ腹を立てていたが、津名は相変わらず苦笑いしているだけだった。


「あはは……」


 珠川えんもその場に居て驚いた顔をしていた。彼のテレポーテーションは初めて見たからだった。彼女は急いで入口のところに居る大寬と日高のところに飛んでいった。


「まやっ!麻帆っ!津名君のあれって何よ?オニバビったわ~」

"あ、えんちゃんっ!えぇ~、二人がよくやる瞬間移動スキルなんだよね~"


「ぷっ!なによそれっ!宇宙的な何かなわけか~……。しっかし、みんなに見せちゃってオニやばじゃん……」


 大寬は頭を抱えた。


「あぁ……、全く……」


"わんた、どうする……"


 日高がどさぐさにまぎれてまた言いやがったなと大寬は思ったが、取りあえずこの場を取り繕うことにした。


「つ、津名君ってば~っ!こんなところで瞬間移動のマジックを見せちゃうなんてぇ~っ!もう、みんな驚いているじゃな~い」


"マジックッ?!無理がありありませんかぁ……"

「ぷっ!マジックッ!まやってば、パチベタ~ッ!」


 案の定、大寬の言葉で一瞬教室が凍り付いた。


「マ、マジック?」

「な~んだ、マジックだったのかよっ!凄いなっ!」

「ほんとすげーよっ!」

「一瞬で目の前に出てくるんだもん」

「ありえんてぃ~っ!」


 しかし、以外にもそれは受け入れられたので、珠川えんと日高はずっこけた。


"なしなしだった……。以外とみんな素直じゃなぁ"

「あははははっ!草生えるぅ~っ!まやってばパチウマッ!」


 ところが、当の津名はポカンとしていた。


「マジック?違うよ、瞬間移動だよ」


 そしてあろうことか、そのまま本当のことを説明しだしてしまった。


「なっ?!」


 大寬は何故話そうとするのだ、こいつはと思った。


「みんなもやろうと思えばでき……モゴモゴ……」


 大寬は急いで津名の口を押さえて、それ以上話すのを止めさせた。そして思い切りヘッドバッドを食らわせた。


ゴンッ!


 それは周りの人達も引くぐらいの音だった。


「い、痛……っ!何をするんだよ……、あっ、今火花が見えた……」


"わんたのすげ~攻撃っ!"

「マジやべえ音したっしょ……」


 大寬は顔を真っ赤にして津名の耳を引っ張って教室の外に出ていった。


「(あんたバカなのっ?マ・ジ・ッ・クで良いのっ!良いわねっ!)」


 しかし、大声だと色々とバレるため小声だった。


"津名氏、女神様のせっかくのご厚意が無駄になるぞよ……。あ、二人ともすごいたんこぶ出来てる……"

「ク~ッぷぷぷっ!やっば、オニ痛そうっ!」


 さすがの津名も大寬の勢いにやってしまったと思って反省した。


「わ、分かったよ……、痛っ……」


 頭を押さえながら津名は教室に戻った。


「マ、マジックショー、で、でしたぁ~っ!ど、どうでしたでしょ~か……。あはは……」


 大寬と日高と珠川えんは津名の下手くそな演技に呆れて見ていた。


「はぁ~……」

"あたしの時もそうだったけど、こういうの下手だよなぁ……"

「あははははっ!宇宙的GMゴミ演技っ!」


 こうして津名の後先考えないテレポーテーションは何とか誤魔化された。


"誤魔化せたのかいな……"


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