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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の二:サダク編:キュンキュンブーメラン
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サダクビア・スアリ・エクア その5

 ある日、一人で剣の修行をしていると羽族のポリマが急に声をかけて来た。


「サダク、今晩開いてる?」


「あん?まぁ、暇してるな」


「一緒に夕食なんてどうかしら?最近で来たステーキの店があるの、おごるわ」


「ステーキッ!?しかも、おごってくれるのかっ!?良いぜっ!」


 この時は何も考えてなかったからホイホイとついて行っちまった。確かにオープンしたての店で目の前に出されたステーキに俺は興奮した。いや、確かに上手そうで匂いや肉汁が貯まらなく俺の鼻や胃袋を刺激した。


「うっひょ~っ!マ、マジで上手そうっ!ホントにおごりか?」


「バカね、そう言ってるじゃない」


 国を出てからまともな肉なんて食べてなかった。寮の食事はそれなりの味だったが、ここまでの肉は久しぶりだった。俺は何も考えず思いっ切りガブついた。


「はぁ~、ちょ~上手かった~~っ!」


「ふふっ!良かったわ。それでね、この後、一緒に来て欲しいところがあるの」


「おう、良いぜ~~っ」


 なんつ~か、アホだよな。腹一杯で上機嫌だったから、ポリマにそのままついていった。彼女に連れられていった場所は、別に大した場所でも無くて街によくある公園だった。


「あそこに座りましょう」


「おう、そうだな。いや~、腹一杯で少し休みたかったんだ。今日はありがとなっ!」


「ふふっ」


 俺はふんぞり返ってベンチに座った。腹が膨れて少し眠かったのもあった。だけど、薄目で周りを見て気づいたのは、周りは恋人だらけだってことだ。変な場所に来ちまったと思ってたら、いつの間にかポリマがそばにいて頭を俺の肩に乗せて、腕を絡ませてきた。


「少し寒いから……」


 ポリマは上目遣いでこっちを見つめた。無駄にでかい胸が腕にあたり、体温が伝わり始めた時、眼が覚めた。三ツ目じゃ無くて二つ目だ。俺は腕を振りほどくと速攻で逃げた。


「あ、あぁ……え、え~っと……。わ、ワリぃ……、か、か、帰らないと……だだだ、駄目なんだぁぁぁっ!!」


「あら……?もうっ!」


 男らしくないかもしれないが、ポリマには何の感情もわかなかったんだって。確かにポリマは綺麗かもしれんが種族が違えば恋愛感情なんて起こるわけが無い。俺はそれを実感した。だから、レイラへの思いが恋愛感情だって気づくのに時間がかかったんだ。


 しかし、俺のイライラは収まることがなかった。授業中や、剣技の修行中、飯を食っているときでも、夜眠るときでもレイラの顔が浮かんできて心が落ち着かず、イライラしていた。

 ある日、俺が剣技の修行をしていると、イェッドがやって来た。


「サダク、元気かい?」


「あぁ、イェッドか……」


「余り集中していないようだけど、どうかしたのかい?」


「……イライラして仕方がないんだよっ!何をやってもさっ!」


「どうしてだい?」


「……レ、レイラの顔が浮かんでくるんだ。どんなときでもっ!まったく、あいつは何なんだよっ!!」


 レイラの話をしたのは同化とも思ったが、イェッドは、いともあっさりと答えを出しやがった。


「それは恋だね」


「はぁ?恋っ?!んなわけ……」


「レイラが気になって仕方ないんだろ?四六時中……」


「あぁ……」


「何も手につかないぐらいに……」


「そ、そうだ……」


「恋に間違いないよ」


 恋ってこういうもんなのか?どうして言い切れるのか、俺はイェッドを理解出来なかった。


「だ、だけど、違う種族でそんな気持ち起こるわけない……そうだろ?」


「君も知ってる通り彼女は特別な魔族だ」


「ま、禍族……だからだってのか?」


「試しに少しだけ彼女と一緒に過ごしてみたらどうだい?ポリマの時みたいに」


「はぁ?……それってどうすれば……。って何でお前がそれを知って……」


 イェッドは何でポリマとのことを知ってる?しかし、それを問いただす前にレイラに対してどうすれば良いのか答えを言われた。


「例えば、一緒にアルバイト……じゃなくて、依頼をこなすと良いよ」


「……い、依頼か。……まぁ、それなら誘いやすいか」


 俺はイェッドの助言を聞いて妙に納得しちまった。


「そうか……、そうか……、依頼ねぇ」


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