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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の二:サダク編:キュンキュンブーメラン
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掲示板の文字

 この世界はスマホなんてものは無くて、電話も無し。みんな掲示板に色々と書き込んで連絡し合っていた。掲示板ってこういうものを言うんだと初めて知った。ただし、すんごくオープンな情報共有ツールな訳で、誰でも何でも見れちゃうため、みんな自国の言葉で書いていた。それでも同じ国の言葉なら分かっちゃうし、どうなんだ?


 しかし、私はあるときビックリした。日本語があったからだった。


「西館四階で待つ」


 魔導学校は西と東で大きく校舎が分かれていた意味は分かるけど、何故日本語?誰か日本人がいる?んん?英語などのアルファベットもあるのかと思ったけど、それはなかった。誰か日本人がいるのは分かったけど、それがいつ書かれたのか分からない。


「ギエナ、これって誰が書いたんだろ?」


「へ?どれどれ……んがっ!」


「ギエナ?」


「……な、何語だろうね……見たことないなぁ……」


 明らかにギエナは変な声を出して反応していた。この子ってもしかして日本人?どういう事か分からず、その時は無視したけど気になって仕方なかった。


----- * ----- * -----

    ┌───────────────────┐

    │こんらぁっ!             │

    │掲示板の文字は消しておかないと駄目じゃ│

    │ないかぁっ!             │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│あ!                 │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │あ!じゃないよ            │

    │レイラに気づかれただろぉ       │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│あはは……              │

│忘れてた、ごめんね          │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │大体、何で書いたんだよ        │

    │今みたいに宇宙的テレパシーで     │

    │話せば良いだろぉ           │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│いやぁ、掲示板を使ってみたくって   │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │んな理由か~い            │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│だって魔法で書くだろ?        │

│指から微妙な魔力を出してさ      │

│それでどうして色が変わるのか     │

│普通は気になるでしょ?        │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │ふつうって何だ!気にならんわ!    │

    │消し忘れと関係ないし!        │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│はぁ~、そ、そう?          │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │大体、結局テレパシーで呼び出したじゃ │

    │まいか!               │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│だって、誰も来ないんだもん      │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │あんな隅っこにすんごいミクロ文字で  │

    │書いてあって気づくかぁ!       │

    │この宇宙的天然貧乏がぁ!       │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│貧乏関係ない……           │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │不注意だって言ってるのぉ       │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│分かったって……           │

│まぁレイラが気づいたなら、いいや   │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │はぁ?わざとだって言うのか!     │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│いやいや、ごめん           │

│消しておくって            │

└───────────────────┘

    ┌───────────────────┐

    │んもう!               │

    │消し忘れしたら針地獄だぞ       │

    └───────────────────┘

┌───────────────────┐

│わ、分かったって……         │

└───────────────────┘


----- * ----- * -----


 翌日、掲示板を確認するとあの日本語は綺麗に消えていた。誰かが消した……?つまり、ギエナ?何だかなぁ……。

 その日、私はギエナに直球で聞いてしまった。


「もしかして、ギエナって日本人?」


「……ニホンジンって何?あだ名?あたしはギエナだよ?」


 注意深く見ていたけど、演技っぽく無いし、私の勘違いかな。


「ううん、何でもないよ」


「変なレイラじゃまいか」


「その"じゃまいか"ってギエナの国の言葉なの?他のアラクネ族の子はそんな風に話さないし」


「ななな、そんなの方言に決まっているじゃまいかぁ……」


「方言?そうなのね」


「何処かで聞いた名前みたいだし」


「あははっ!そんな名前の国はないぞ」


 今、国って言った?私は国の事なんて聞いていないのに……。ギエナってとても良い子だけど、どこか怪しい。でもどう見てもアラクネ族なんだよなぁ、どういう事?


「んだよ、そんなに見つめるなよぉ、照れるじゃまいか。あ、早く登校しないと。先生に怒られるぞ」


「うん、そだね」


 ギエナの背中に乗ると早く校舎に着くで楽ちん……じゃ~なくて、何処かに日本人がいる……。私と同じような転生者が少なくとも二人……。恐らくギエナともう一人は……。


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