現実世界
私達は朝食を頂くと、エジテクさんの家を後にすることにした。
エジテクさんは私達を見送ってくれるために、入口まで出て来てくれた。
「ありがとうございました、エジテクさん」
私が頭を下げると他のみんなも一緒に頭を下げた。
「また来るが良い。みんなと一緒にな。そうだ、また何か仕事があれば指名しよう」
そう言ってくれたエジテクさんのつぶらな眼は少し寂しそうに見えた。
「はい、是非っ!」
私は、また、みんなで来ようって思った。
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出発した時間は、学校の朝礼には十分間に合う時間だった。だから、みんなで一緒に登校することにした。
空を見上げても青空は無いけど、水晶から漏れてくる光がとっても眩しくて気持ち良い。
しかし、とんでもないバイトだったなぁ。汚物まみれにはなったけど、お風呂に入ってスッキリしたし、十分眠れたし、元気になった!魔力も溢れるように貯まっているぞ。ぐお~って叫びたい気分!
サダクも三ツ目が開いたし、そ、それに仲良くなったし……、えへ……、えへへ~……。
そして、私は思った。ここはゲームの世界のようでゲームではない。私の選択で色々な事が決まる現実なんだって。
……だ・か・ら、もう。ほっとに怒ったぞ。
「ポリマ、サダクから離れてっ!!!」
サダクに腕を絡ませおって!このエッチな羽族女め。
「えぇ~、どうしてぇ?サダクはあなたの何なの?」
「な、なんなのってっ!……そ、その……あの……」
「どうしたの?聞こえないわ」
んが~~!こ、この女ぁぁ……。
「ポリマ、俺はレイラと付き合うことにしたんだ。もう止めてくれ」
「サダク……」
サダクめ、急にそんなことを言うから別の意味で頭に血が昇ったではないか。
「あら、二人は付き合うことにしたのね。でも、サダク、あの夜の思い出はどうすればいいのかしら?」
「な、なんだよ、その思い出ってっ!!んなのないぞ、レイラッ!大体、種族間の恋愛なんてあり得ないんだからな」
ん?今なんて言った?種族間の恋愛は無い?んじゃ、私とサダクとのあれは何なのだ?サダクにまとわりつくポリマは何なのだ?サッパリ分からない。
「ふふふっ!何か考え込んでいて怖い、怖い。凍らされる前に離れないと駄目ね」
私が考え込んでいるとやっとポリマがサダクから離れた。もう!分かったぞ、羽族は種族を超えた恋愛をする色気族ってことだ!
「でもさ~、レイラってば、強くなったんじゃまいか?魔法も使えるようになったんだよね?私は魔法はいまいちだしなぁ」
「そうかなぁ、強くなったのかなぁ」
ギエナ褒めてくれたけど、実感はわかなかった。
「サダクは三ツ目がぱっきんとしたね、強そう!」
「まぁな、最強戦士の誕生だぜ?」
「はぁ~、いやはや、それよりも……ぐふふ……二人はさぁ~、付き合うことにしたんだよね?ぐへへっ……二人とも大人じゃまいかぁぁっ?」
「……お、大人っ!?」
「……変なこと言うなよ、ギエナ」
ギエナってば変な笑い方するしないでよね……、恥ずかしくなってきたじゃない。
「……」
ななな、なんだ?イェッドは朝から真面目な顔していて変なの。
しばらくして、私とサダクが先頭を歩いていると、後ろでギエナとポリマ、そして、イェッドが何か言い合っていた。遠くだったから何を話しているのか分からなかったけど。
それにしても種族間の恋愛はあり得ない?その言葉が耳に残った。禍族……じゃなくって人間の私はどういう存在……?
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「ポリマちゃん、さすがの美人でも駄目でしたかぁ~笑笑」
「むっ!」
「エロイン失格で負けヒロインになったんじゃまいかぁ、負けインかぁ?」
「ギ、ギエナ~~ッ!あんた、ほっとにムカつくわね」
「ベ~ッ!」
「ふ、二人とも落ち着いて……」
「でも、イェッド、どうするのよ、あの実験女を。……さすがに私も疲れてきたわよ」
「あんまり手を出したくなくて……」
「でも、全然進まなくない?お父様に相談する?」
「う~ん……、でもやっと同じ状態になったわけだし、もう少し様子を見ようよ」
「はぁ~、あんたも気の長いことね……分かったわ」
「はてな?君たちは何を話しているん?」
「あんたはお気楽で良いわね……」
「なんじゃ、あたしはバカにされたんか、この負けインめぇ」
「ギ・エ・ナ~ッ!……まぁ、良いわ。変わらないあんたを見てると安心するもん。ありがとね」
「なっ!今度は感謝だとっ!?……分からんちん」
「あはは……」




