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異端を狩る者の詩は誰も歌わない  作者: 大嶋コウジ
ワールド弐の二:サダク編:キュンキュンブーメラン
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新魔法の餌食

 翌日、良い匂いで目が覚めた。一階に降りるとエジテクさんが朝食を用意してくれていた。


「おはようございます、エジテクさんっ!」


「おはよう。大したものではないが帰る前に食べていくと良い」


「わぁっ!ありがとうございますっ!サダクを起こしてきますね!」


 私はエジテクさんの笑顔が好きになっていた。オーク族のつぶらな瞳が可愛い。


 しかし、何て良い人……魔族なんだろう。魔族の"魔"とは一体なんなのだ?ゲームに出てくるような適役とはとても思えなかった。もちろん、夜になると襲いかかってくる魔族もいる。アルラウネ族のように残虐な魔族もいる。オーク族は家族を大切にしている。ギエナのアラクネ族や、サダクの三ツ目族は戦闘力が高い。


 この世界には様々な種族の魔族がいて、う~ん、何だろう。互いに影響し合っている。切磋琢磨だっけ、そんな世界。……あれ、禍族な私はなんだ?よく分からない……。考えすぎかな?


 おっと、サダクを起こすのが目的だった。私は彼の部屋の前で声を上げた。


「お~い、サダクッ!起きろ~。エジテクさんが朝ご飯作ってくれたよ~。開けるね」


 昨日の事もあって親しくなったし、勝手に開けても良いかなって扉を開けた……んだけど、あり得ない光景に私は目を疑った。


「はぁっ!?」


 そこには羽族のポリマがサダクに抱きついていた。


「ポ、ポリマッ!?……あ、あんた達っ!何やってるのよっ!」


「レイラッ!な、なんでっ!?」


「何でじゃないっ!あんたを起こしに来たのよっ!!」


 なんでポリマが居るの?しかも上半身はブラだけ?昨日のあ、あれは……キスは何だったの?私は色々な事を思って混乱の極み。


「あら?レイラさん。おはよう」


「あら?じゃないわよっ!!」


 こんなに大声を出したのは初めてだったかもしれない。


「レイラ、違うんだっ!彼女が勝手に入ってきて、抱きついてきただけだっ!」


「やだ、サダクったら熱く抱擁してくれたのにっ!」


「んなわけないだろっ!ち、違うぞ、レイラッ!」


 サダクの言い訳に怒り心頭!自然と魔法を唱え始めていた。しかも今までは魔力不足で使えなかった新魔法。


「レイラ、なんで魔法を……。ま、待て待て……」


<< ワ・ア・ルノ・ソ! >>


「ま……て……」


「やだ……凍ってる」


 ポリマは何とか逃げたけど、氷魔法でサダクを氷付けにしてやった。魔法書に書いてあった魔法だけど、とっさによく出て来たなと後で思った。


「だいっきらいっ!!」


 冷静さを失った私はそのまま扉を思いっ切り閉めて部屋に戻った。


ワ 我は

ア あなたに

ル 大きな

ノ 氷を

ソ 固定する


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