新魔法の餌食
翌日、良い匂いで目が覚めた。一階に降りるとエジテクさんが朝食を用意してくれていた。
「おはようございます、エジテクさんっ!」
「おはよう。大したものではないが帰る前に食べていくと良い」
「わぁっ!ありがとうございますっ!サダクを起こしてきますね!」
私はエジテクさんの笑顔が好きになっていた。オーク族のつぶらな瞳が可愛い。
しかし、何て良い人……魔族なんだろう。魔族の"魔"とは一体なんなのだ?ゲームに出てくるような適役とはとても思えなかった。もちろん、夜になると襲いかかってくる魔族もいる。アルラウネ族のように残虐な魔族もいる。オーク族は家族を大切にしている。ギエナのアラクネ族や、サダクの三ツ目族は戦闘力が高い。
この世界には様々な種族の魔族がいて、う~ん、何だろう。互いに影響し合っている。切磋琢磨だっけ、そんな世界。……あれ、禍族な私はなんだ?よく分からない……。考えすぎかな?
おっと、サダクを起こすのが目的だった。私は彼の部屋の前で声を上げた。
「お~い、サダクッ!起きろ~。エジテクさんが朝ご飯作ってくれたよ~。開けるね」
昨日の事もあって親しくなったし、勝手に開けても良いかなって扉を開けた……んだけど、あり得ない光景に私は目を疑った。
「はぁっ!?」
そこには羽族のポリマがサダクに抱きついていた。
「ポ、ポリマッ!?……あ、あんた達っ!何やってるのよっ!」
「レイラッ!な、なんでっ!?」
「何でじゃないっ!あんたを起こしに来たのよっ!!」
なんでポリマが居るの?しかも上半身はブラだけ?昨日のあ、あれは……キスは何だったの?私は色々な事を思って混乱の極み。
「あら?レイラさん。おはよう」
「あら?じゃないわよっ!!」
こんなに大声を出したのは初めてだったかもしれない。
「レイラ、違うんだっ!彼女が勝手に入ってきて、抱きついてきただけだっ!」
「やだ、サダクったら熱く抱擁してくれたのにっ!」
「んなわけないだろっ!ち、違うぞ、レイラッ!」
サダクの言い訳に怒り心頭!自然と魔法を唱え始めていた。しかも今までは魔力不足で使えなかった新魔法。
「レイラ、なんで魔法を……。ま、待て待て……」
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「ま……て……」
「やだ……凍ってる」
ポリマは何とか逃げたけど、氷魔法でサダクを氷付けにしてやった。魔法書に書いてあった魔法だけど、とっさによく出て来たなと後で思った。
「だいっきらいっ!!」
冷静さを失った私はそのまま扉を思いっ切り閉めて部屋に戻った。
ワ 我は
・
ア あなたに
・
ル 大きな
ノ 氷を
・
ソ 固定する




