第39話
よろしくお願いします。
世界樹の守護者としての務めは、数カ月に一度、世界樹にアクセスして、世界の地脈や魔素の状態を確認する程度だった。
こんなことで、世界の危機が早期発見できるなら、是非もなし。
それも、ソフィーがハイエルフになれば、ソフィーに任せれば良いだろう。
昼食の後、夜は、晩餐会ということで、それまで時間が空いている。
そのため、護衛の騎士の案内で、エルフの国の観光をしている。
ソフィーは王女様なので、色々と公務が有るらしい。
護衛の騎士に、
「エルフの特産品の魔法具とか、そういう珍しい物は無いかい。」
と尋ねたところ、
「では、聖布を作るところを観に行きますか。」
と提案され、そこに行くことになった。
「魔蚕に世界樹の葉を与えて育てます。その魔蚕が吐く糸を使って作る布が聖布です。」
と、聖布の作り方をザックリと教えてくれた。
さらに、
「聖布は、吸湿性、通気性に優れ、保湿性も高いです。肌触りが、とても良いです。非常にやわらかく、滑らかで、軽いです。そして、とても強度があり、衝撃吸収の魔法が宿っています。下手な鎧より強度が有ります。」
と、聖布をべた褒めしている。
「それは、是非とも欲しいですね。そこで売ってますか。」
と聞くと、
「はい、反物でも売っていますし、聖布の服も売ってますよ。」
と言うので、期待が高まる。
聖布の工場に着き、実際に魔蚕を飼育しているところから、取り出した糸から布を編む様子が観られた。
まぁ、典型的な工場制手工業だった。
「ここが即売所になります。」
と言われ、売り場に行くと、色々な服や、色々な反物が置いてあった。
「こんなに売っているのに、なんでドルトムントでは見ないんだ。」
と聞くと、
「聖布は、虫に食われやすく、手入れが難しいのです。非常に高価なので、貴族の方々しか手にできません。」
と言われる。
「私も、聖布のドレスは持っていますよ。晩餐会など、そういう場でしか着ませんが。」
とイザベラが言う。
イザベラも、持っているらしい。
「じゃぁ、欲しいのあれば、言いなさい。イザベラとアイビィーも遠慮するなよ。」
と言って、好きな物を選ばせた。
なにせ、軍資金は沢山ある。
ここに来る前、大金貨1万枚を得たばかりだ。
私も、自分の分を選んだ。
お出かけ用のローブと、お出かけ用の洋服を数点だ。
どれも、普段着にできる様なデザインじゃ無かった。
あと反物も何本か買った。
普段用のローブや、鎧下を作るのに使おうと思う。
「それにしても、遅いな。失敗したな。女性が、買い物に時間を掛けるのは、何処も同じか。あ、採寸しているのか、オーダーで注文するのかな。」
と、既に3時間くらい経っているので、待ち草臥れている。
「やっと、決まったか。沢山、買ったね。」
と、娘達が戻ってきたので、会計をしてきた。
「さて、晩餐会があるんだ。戻ろうか。」
と言って、城に戻った。
晩餐会は、華やかなものであった。
料理は美味しかったので、食べたいものだけ食べた。
しかし、日本人サラリーマンの私には、別世界で色々とついていけない。
挨拶をする相手もいないので、隅の方で大人しくしていた。
オリビア達は、ソフィーやイザベラ達に連れられ、色々な人に紹介されていた。
あの子達も、こうやって、場慣れしていくんかな。
隅の方で人間観察をするのも、楽しいものだ。
「今日一日で、エルフの国でやりたかった事は、ほとんど終わったな。」
等と考えていた。
「ハルト様、少し宜しいですか。」
と、不意に声を掛けられた。
振り向くと、見知らぬエルフの女性が立っていた。
「はい、どちら様ですか。」
と、返事をすると、
「アイリス ウィンザーです。本日、馬車で御一緒した者です。」
と言われたが、誰の事かと考えたところ、
「ああ、一緒の馬車に乗っていた女性騎士さんか。お世話になりました。失礼しました。余りに美しくて、見違えてしましました。」
と、気付かなかったことを詫びる。
実際に、美しい女性だ。20歳くらいだろうか。
「宜しければ、あちらに行きませんか。」
と、バルコニーの方へ誘われ、言われるがままに着いて行った。
「夜風が気持ちいいですね。」
と言うと、
「そうですね。ところでハルトさん、エルフの女性はお嫌いですか。」
と聞かれた。
「いえいえ、好きですよ。特に、貴女の様な美しい女性なら、いつでも一緒に居たいと思います。」
と答えると、
「お上手ですね。」
と言って、私の腕に身体を寄せてくる。
「近いな。」
と思いつつ、
「用件は何かな。本当の事を言って。」
と聞くと、
「宰相様から、ハルト様と一夜を共にするように命を受けました。」
と答えたため、
「そうですか。嫌々ですか。本当の事を言って。」
と聞いたところ、
「嫌々では有りませんが、本気になりそうで怖いです。」
という答えだった。
多少魅了が発動してるのかな。
「じゃぁ、部屋に行きますか。」
と誘うと、
「はい。」
という返事だったので、そのまま寝室へ向かった。
稚拙な文章で、申し訳ありません。
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