第28話
よろしくお願いします。
2月5日 月曜日(日本)
3月5日 光の日(エスリンゲン国)
メイドに、「ヴァンゲンの外れまで行く」と告げ、出かける。
馬車で行くより、走った方が速い。
その日の夕方には、アイラの故郷の近くに着いた。
エルフの隠里と言った感じだ。
森の中にあり、村全体に隠蔽の魔法が掛かっている。
村の周りの森にも「迷いの魔法」が掛かっている。
しかし、私には効果が無い。
そのまま、真っ直ぐ村へと進む。
しばらく進むと、エルフの男性10人に囲まれ、エスリンゲン語で、呼び止められる。
「何の用だ。」
と聞かれたので、
「アイラの母親に会いに来た。」
と、エルフ語で答えた。
すると、エルフ達に明らかな動揺が走った。
「アイラは無事なのか。」
「お前、なぜエルフ語が使える。」
と、エルフ達が言うので、私は、
「アイラは、私が保護している。今は、ドルトムント王立学院に通っている。」
と、アイラの現状を言い、次に
「アイラの話だと、父親と一緒にいたところ、奴隷狩りに遭ったらしい。その時、父親は死んだと聞いている。私は、奴隷として売られたアイラを開放して、自分の娘として面倒をみている。」
と、アイラとの経緯を話したところ、
「私は、死んでいない。」
と、一人のエルフが言ってきた。
「あんたがアイラの父親か。」
と聞くと、
「そうだ。致命傷を負ったが、止めは刺されなかった。だから、魔法で回復し、一命は取り止めた。しかし、直ぐに動けなかったので、アイラを奪われた。でも、良かった。アイラは無事なんだな。」
と返事があった。
その男は、目に涙を浮かべていた。
「ああ、無事だ。そうか。アイラも喜ぶな。ところで、里に案内してくれないか。エルフの里を観てみたい。」
と言うと、
「本当にアイラは無事なんだな。会わせてくれるのか。」
と聞いてきたので、
「そのつもりで来た。といっても、父親は死んでいると思っていた。だから、母親に話をするつもりだったが。」
と答えた。
「じゃぁ、付いて来てくれ。」
と言うと、ほかのエルフが、
「本当に良いのですか。騙されてませんか。」
と言ってきたが、別のエルフが、
「大丈夫です。と言うより、彼に逆らっても勝てない。この人は、神の如き強さを持っている。」
と言う。
「なぜ、判る。」
と、私が聞くと、
「私は魔眼を持っています。」
と答えた。
「おお、魔眼キター!」
と、新たなワードに感動してしまった。
そのまま、彼らに付いて行って、エルフの里に入った。
エルフの里は、ツリーハウスの集まりだった。
樹齢100年は下らない様な大木が沢山あり、そこに家がくっ付いている。
どの家も、地上から5m以上離れている。
高い家は、20m以上ありそうだ。
そして、木々の間に縄で作った橋が架かっている。
この里の長に会ったところ、
「ありがとうござます。アイラを保護してくれていると聞きました。アイラは、私の孫娘なのです。」
と、深く頭を下げられ、感謝された。
そこにアイラの母親も来た。
母親から、泣きながら
「ありがとうございます。」
と感謝の意を伝えられた。
母親が落ち着いたところで、アイラの近況を話した。
ギアスの魔法を解除し、奴隷ではないこと。
現在、ドルトムント王立学院に通っていること。
私の娘として、オリビアやアメリアと生活していること。
学院では、ソフィーというエルフの王女と仲良しになっていること。
等を話したところ、
「ソフィー様と同じ学び舎ですか。」
と驚いていたので、
「週末、家に泊まってたぞ。」
と、その仲の良さを伝え、
「ソフィーは、そんなに有名なのか。」
と、聞いたところ、
「エルフの王女様ですから。我らの様な平民とは違います。」
という話だった。
「しかし、エルフの国っていうのは、どういう意味だ。この辺り一帯は、エスリンゲン国じゃないのか。」
と聞くと、エルフだけが住む森の中の里は、エスリンゲンも不干渉であり、対等な関係らしい。
ソフィーの故郷は、大きな都市だ。
周りはエスリンゲン国に囲まれている。
しかし、相互干渉をしない条約が結ばれているため、飛び地となっている里と共に国として機能しているらしい。
しかし、微妙な関係だな。
おそらく、ソフィーが学院にいるのも、人質的な要素があるのだろう。
「さて、どうする。会いに来るか、それとも連れて来ようか。そして、今後のことは、アイラと直接話してくれ。里に帰るか、学院に残るか。しかし、正直に言って、私はアイラを学院に通わせたい。」
と話した。
アイラの両親は、アイラの気持ちに任せると言ってくれた。
母親が、
「会いに行っても宜しいですか。」
と聞いてきたので、
「良いぞ、いまから帰って、うちに泊まるか。そして、明日の昼にでも、学院に行って、面会をするか。」
と聞いた。
「ドルトムントは、遠いですよ。明日の朝、出ても明後日の午前中に着くかどうか。」
と言うので、「ゲート」を使って、我が家の玄関前に空間を繋いだ。
「ドルトムントの我が家に空間を繋いだ。ここから行けば、直ぐに着く。」
と言って、ゲートを潜った。
少し待つと、アイラの両親がゲートを超えてきた。
「本当に空間が繋がっている。」
と驚いていた。
「まぁ、あがってくれ。」
と言って、家の中に入る様に言う。
メイド達に
「アイラの両親がみえた。」
と言って、夕食の用意と寝室の用意をお願いした。
夕食の後、アイラの部屋を見せた。
部屋の中には、これといった私物は無かったが、娘が不自由していないと安心した様だ。
その後、父親と酒を飲みながら、アイラの小さい時や、里での暮らしぶりについて聞いた。
そして、夜が更けてきたので、寝ることにした。
2月6日 火曜日(日本)
3月6日 地の日(エスリンゲン国)
午前中、アイラの両親は、王都ドルトムントの散策にでた。
案内役として、メイドを1人付けた。
私は、魔鉄を材料に錬金魔法で、1m80cm位の人形を3体作った。
しかも、ガ〇プラの構造を真似し、関節が自由に動くようにした。
玄関ホールに3体を置き、鎧下を着させ、オリハルコン、マダマンタイト、ミスリル、それぞれの鎧一式、盾、ブロードソードを装着させた。
なかなか、良いな。
なにも無かった玄関ホールが、それらしくなった。
しかし、床が抜けそうだ。
床も錬金魔法で補強した。
午前11時頃、アイラの両親が戻ってきたので、一緒に学院に行った。
学院に着いたところで、守衛に急用があるから、アイラに面会したい旨を伝える。
私の身元を伝えると、守衛は職員に取り次いでくれた。
少し待つと、職員が現れ、学院長室に案内された。
学長室に入ると、学院長から、
「はじめまして、ハルトさん。私は、ドルトムント王立学院の学長をしているルーカスと言います。以後、お見知り置きを。」
と言われ、握手をする。
「今回は、我が同胞と一緒にお見えとは、どの様なご用件で。」
と言うので、
「生き別れになっていたアイラの両親が見付かった。だから、急いで連れてきた。」
と答えた。
「おお、そうですか。だれか、直ぐにアイラさんを連れてきなさい。」
と職員に指示した。
アイラの父親が、
「貴方様は、賢者ルーカス様ですか。」
と、恐る恐る聞いていた。
「その様に言われていた事もありますね。」
と、それを肯定した。
「貴方方は、アイラさんの御両親ですね。彼女は、とても優秀ですよ。」
と言った後、
「そういえば、ハルトさん、この週末に何をしたのですか。ソフィーさん、イザベラさん、アイビィーさんが、貴方の家に遊びに行ったそうですね。見違えましたよ。全てが格段に変わりました。」
と言うので、
「ああ、迷宮探索に付き合っただけだ。パワーレベリングをしたんだ。」
と、正直に答えた。
「なるほど、そうですか。それにしても、異常なほど成長が早いですね。もしかして、最下層付近まで、連れて行ったのですか。」
と聞いてくるので、
「それは秘密だ。」
と答えておいた。
すると、アイラがやってきた。
「失礼します。」
と言って、アイラが入ってきた。
「アイラっ」
と言って、アイラの母親が立ち上がり、アイラに抱き着いた。
「お母さんっ」
と言って、アイラが泣いている。
「お母さん・・・会いたかったよ。」
と言う。
ああ、感動の再会だ。
「アイラ、良かったな。」
と声を掛ける。
歳を食うと、涙腺が緩くなる。
こういう光景に弱い。
私も、涙ぐんでしまう。
アイラの父親も、アイラに近づき、アイラの頭を撫でるが、目に涙を浮かべ、何も喋れない様だ。
号泣していたアイラが、泣き止み、
「お父さんも、喜んでいるよ。お父さん、私を守って死んじゃったけど、今も見守ってくれている。」
と言う。
「お父さん、死んでない。」
と、アイラの父親が、アイラに訴えかける。
「ははは。」
感動で涙がでたけど、今度は違う涙が出てきて、腹が痛い。
学院長も笑っている。
「なんか、変なオチが付きましたね。」
と学院長が言い、それを聞いたアイラの両親も落ち着いた様だ。
私は、
「オリビア、アメリア、ソフィー、イザベラ、アイビィー」
と、声を掛け、
「そんな所に居ないで、入っておいで。」
と言う。
学院長も頷いている。
「失礼します。」
と言って、みんな入ってきた。
「うーん、まさにテンプレだな。学園ものによくあるシーンだ。」
等と、考えていたら、
「ソフィー様っ」
と、アイラの両親は、また驚いている。
「本当にソフィー様も、いらっしゃるのですね。」
とアイラの父親が言う。
アイラの母親は、アイラを抱きしめて、離さない。
オリビアとアメリアも、貰い泣きして、私に抱き着いている。
「いいなぁ。」
とアメリアが呟く。
やはり、本当の親に会いたいんだろうな。
「さて、申し訳ないが、授業の時間が近い。」
と、学院長が言うと、職員が生徒たちを連れて行く。
「週末ね。」
と、アイラの母親が言う。
「うん。」
とアイラも、それに応える。
私は、学院長に
「学院長、ありがとうございました。」
と深く頭を下げ、感謝の意を伝える。
「いえいえ、これも仕事ですから。」
アイラの両親も、
「賢者様、娘をよろしくお願いします。」
と言って、私達3人は、学院を後にした。
稚拙な文章で、申し訳ありません。
楽しんで戴けたでしょうか。
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