精霊とは
「精霊って……何?」
俺はドライアドに聞いてみた。
「精霊とは自然を司る者。
魔力を集め、自然の事象として還元するのさ。
精霊はどこにでも居るんだぞ! 火、水、風、土、木の精霊が居るんだけど、アタイのように皆に見えるほどの精霊ってのは少ないんだ。
見える精霊ってのは強い精霊」
ドライアはフンと鼻の下を右手で擦っていたが、
「まあ、だから捕まったってのもあるんだけど……」
と言うとシュンとしていた。
そして、思い立ったように、
「アキト。アタイは木の精霊。アタイが居ると植物に影響を与える。
だから、アキトに関する植物は育ちが良くなるからね。
いっぱい魔力をくれたら、すっごいことができるよ。
それはその時のお楽しみ」
と教えてくれた。
「そうか、植物の育ちが良くなるなら助かる。
いろいろな作物を作っているからね」
俺はドライアの頭を撫でると、
「アキトの手には魔力が多いから気持ちいいや」
そう言って目を細めていた・
「実体化した精霊はなかなかおらんはずだがのう?
我長いこと生きておるが実体化した精霊を見るのは初めてじゃ」
神様も知らないらしい。
まあ、オレゴルは結構残念な神様だからな……。
そんな事を考えていると、
「主よ我について酷い事を考えておらんか?」
と鋭い質問。
「ああ、オレゴルが質問したい事を聞いてくれるから」
と誤魔化しておく。
「主は嘘をついておるのう。匂いでわかるぞ?」
とジロリと俺を睨むが、
「まあ、良い。
しかし、精霊はどうすれば成長するのじゃ?」
ドライアにオレゴルが聞く。
「そんなのわかんないよ。
だって、気付いたときにはこの格好だったんだから」
とのこと。
精霊は実体化しないと意識が無いのかもしれないな。
「アタイが精霊だったら……って、精霊なんだけど、アキトみたいな魔力が多い者と居たいかな? もしかしたら精霊の魔力を吸って精霊は大きくなるのかもね。アタイが居ればアタイの魔力を求めて精霊が集まってくるから、木の精霊以外の精霊の恩恵は受けられると思う」
「つまり、ドライアが居てくれるだけで、何らかの恩恵は得られる訳か……」
と俺が言うと、
「そういうこと」
とドライアは頷いていた。
魔力ローリーに魔力を補充している俺。
その周りをフワフワとドライアが様子を見ていた。
「何やってるんだ?」
興味津々で俺に聞いてきた。
「ん? このタンクには魔力が溜められる。
で、このタンクから、いろんなエルフの遺産に魔力を供給している訳だ」
「これをアタイができたらアキトは助かる?」
ドライアは俺と唇が触れそうなほど顏の直前までふわりと飛んでくる。
「そりゃ助かるけども、あんなところから解放された後だ、無理にしなくてもいい」
「だったらやったげる。あんな中に居て、自分の意志と関係なしに魔力吸い取られるよりは、アキトとその仲間のために魔力を出す方が全然いいから」
恥ずかしそうにローリーに触れると、魔力の残量が増えるのがわかった。




