エルフの子も
人間の子供たちが就学したが、エルフの子ともたちは就学できていない。
俺的にはあまりよろしくないと思う。
エルフには時間があるために、学校というものが無いらしい。
「どうすりゃいいかねぇ」
思わず呟いていた。
「どうしたんですか?」
リビングを掃除中のベルトランが振り向いた。
「おお、仕事中。申し訳ない」
俺が言うと、
「いいえ、気にせず」
そう言うと、エプロンで手を拭きながら俺の横に座る。
「エルフの事はエルフに聞け」かなあ……
そんな事を思いベルトランに話しかけた。
「エルフの子が森で遊んでいる」
「はい、エルフは森で暮らしますから」
ウンと頷くベルトラン。
「エルフの言葉は両親たちが教えるだろうが、それでも人語を覚えた方がいいと思う。
それを強制していいのかどうか……」
「いいんじゃないですか? この村では嫌でも人間とかかわります。それに、既にエルフの文化は廃れ、人間の数のほうが多い。であれば、人間の言葉が話せる方がいいのは間違いありません」
「しかしなぁ……」
「幸い教室は一つ余っています。
そこで授業をすればいいと思います」
「いじめとか無ければいいんだけどねぇ……」
「その……は大丈夫です。考えがあります」
ベルトランは胸をドンと叩いた。
人語を覚えるのはウハムにも依頼したこと。
子供のほうが覚えやすい部分はあるだろう。
そう思いウハムに聞くと、
「今後、人語は必要になります。
我々も時間がある時は参加してもよろしいでしょうか?」
と言われ、許可を出すことにした。
メラニーに許可を貰って、エルフの子たちを学校に通わせることになり、ドリスがその先生になる。
それからしばらくたったある日、学校を覗いていると。いつか見たボスの子とその取り巻きが現れた。
ちなみにボスの子の名はカール。
なぜかビシッと「気を付け」をして待っていた。
「何?」
「ベルトラン先生に、エルフの子たちと遊ぶことを命令されました!」
「命令……ねえ……」
デカい声。
軍隊かよ!
「何して遊んでいるんだ?」
「森の中でかくれんぼです!」
「楽しんでいるか?」
「はい!」
「エルフの子、可愛いだろ」
「エヘヘヘヘ……」
シンクロするようにカールとその手下は頭を掻いていた。
「スカートが短いから、チラチラと見えるのがいい」
ニヤニヤするカール。
「そうか……」
この世界の成人は十二歳。
カールは十二歳になったというから、そういう目で見てもおかしくないのだろう。
まあ、俺も子供のころはスカートの中に興味を持ってたしなぁ……。
河原に落ちていたエロ本にびっくりしたものだ。
そういや、エロ画像もネットの中に転がっていて、そんなこともなくなっているんだろうなぁ。
まあ、そりゃいいか……。
「手を出すなよ。ベルトランに殺されるぞ?」
「それはわかってるよ! 遊んで見守るだけ。俺もエルフの言葉を話せるようになって、いつかは……」
カールは握りこぶしを作っていた。
一方通行だがカールはエルフの子の一人が好きなようだ。
頑張れ!
しかし、男女の区別がついているのかね……。
残念な結果にならなければいいのだが……。
こんな感じで、淡い恋も始まりつつ、子供たちの交流も始まる。
エルフの成長は成人……二十歳程度までは人間と同じ速さで育つそうだ。
それ以降は極端に老化が遅くなる。死ぬ前でも若々しい姿を保つということ。
その差がどこかで出てくるんだろうか……。
種族の違いは寿命の違い。それを乗り越えてこそって部分もあるのだろう。
ふと、ドリスとベルトランの顔が浮かんだ。
まっ、その時はその時、今考えても……だな。




