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ベルトラン先生

 メラニーから、「学校を開校する」と言う旨の連絡を村人たちにしたようだ。

 村人は文字が読めない。

 口頭での連絡になった。


 しばらくすると、ボルクス商会の定期便が来た。

 支店から、メラニーの所へ指導板大と小が入荷したとの連絡。


 さっそく、メラニーから村の子供たちに指導板(小)が手渡される。

 俺は、教室に指導板(大)を取りつける。


 実際に書いてみる。ペンのようなもので指導板の上をなぞると、字が書ける。

 エルフの街のデパートにあった物をデチューンしたような構造。

 昔の技術は人間に伝わって使われているらしい。



 そして、フォントラス村の学校が開校した。

 年齢は十歳から十二歳まで。

 目標は「字を覚える」ことと「計算ができる」こと。

 短い間だが、この世界で生きてきて、識字率の低さに驚いていた。


 村の者はほぼ字が読めない。

 領主であるメラニーは村人に届いた手紙なども読んでやらなければならない。

 メラニーだから正しく読んでいるかもしれないが、悪意ある者が都合よく読めばそれで歪んだ内容が伝わることになる。

 自分で読んで内容が理解できる。それだけでも何かが変わるんじゃないだろうか。


 貴重な労働力の子供の代わりには機械が働く。

 村人たちから文句は出なかった。



 ある日の字の授業……ベルトランが字を教えていた。

 体が小さめのベルトラン。

 舐めているのかベルトランより身長がある子とその取り巻きが授業の邪魔をする。

「静かにして欲しいと言いましたよ?」

 にこやかな笑顔でベルトランはボスの子の前に行った


 ヤバい、目が笑っていない。


 気付かないボスは

「先生、俺たちをどうするつもりだ?」

 ニヤニヤと笑う。

「そうね、人生やり直せばいいと思います。

 でも、それをやるとご主人様に叱られますので……。

 叱られるだけならいいですが、捨てられたら困ります」

 そう言った瞬間、チャキンと音をさせてワルサーPPKの安全装置が外れた。

 そして躊躇せずボスの子の太ももを撃ち抜く。

「いでー! いでーよー!」

 穴が開き、そこからは血が……。

 取り巻きはドン引き。腰を抜かしている者も居た。


「あなた達は、メラニー様とご主人様のご厚意で字の勉強をしているのです。

 覚えていませんか? 私たちがこの村に来た時のあなた達の服装や食事を」

 思い出したのだろう、目を伏せる者も居る。


「その指導板が一枚いくらするかわかりますか? 金貨二枚するのです。あなたの両親が働いて、一年でも稼ぐことなどできないでしょう。

 その好意で作ったこの学校で無駄な時間を過ごすのであれば、すぐにその指導板を置き、出て行きなさい!」

 カタカタと震えるボスの子。

 ベルトランはボスの子に近づくと傷口に手を添えた。

 手が光り、その手を外すと傷がなくなっている。


 おっと、ベルトラン治癒魔法使えたんだ。


「あまりにひどいので、強硬手段を使わせてもらいました。

 一度、ご両親に字が読めない事の不便さを聞いてみてください。

 さて、授業を再開しましょう。

 これは何と読みますか?」

 ベルトランが授業を再開する……。


 飴と鞭?


 その後このグループはベルトランの配下のように手伝うようになる。

 そして、この三年後ボスの子はこの学校の先生になっていた。


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