トラクター起動
村の畑はまだ起こされていない。
理由は長老の一族郎党が居なくなり、労働力が無いから。
俺は森を切り開き、土地を作り、ディーラーと農協の一区画をカバンから取り出した。
ローリーは非常用の魔力供給源として使えるようで、いろいろソケットがあり、ローリーと区画の魔力の取り口を繋ぐと、農協の区画に魔力がいきわたる。
これで、リフトやインパクトレンチのようなものも使えるようになった。
工具やオイル、グリスでトラクターの整備をする。
マニュアルを見ながらオイル交換やグリスアップした。
そういや、ケッテンクラートもハーフトラックも千年以上前の状態。
腐食は皆無だが、これもリフトアップして一回は整備だろうなぁ……。
トラクターを起動して、軽く走らせる。
そして、ロータリーを回した。
「うし、おっけー」
俺はトラクターのキャビンに乗ると、事前に連絡しておいた畑に向かう。
周りには村人。
大人は二十人居ないんじゃないかな。
すでに、配布したエルフの肥料が撒かれてある。
俺はトラクターで畑を耕し、すき込んだ。
長方形ではない畑だが、あっという間に黒い土地に変わる。
オヤジの手伝いでトラクターに乗っていたのが効いているようだ。
「あとは大丈夫か?」
俺がトラクターのキャビンから村人に声をかけると、
「旦那様、ありがとうございます。
ここからならすぐに種が蒔けます」
早速村人は家族を呼び、小さな畝を作り始める。
そして、そのあと小麦を蒔き始めた。
ちなみに俺は「旦那様」と呼ばれている。
順次トラクターで畑を耕す。
鍬で耕せば一日仕事。それを一時間程度で済ますトラクター。
村人たちに感謝された。
肥料も入っているから、収穫量も増えるだろう。
村の畑を全て耕す。
トラクターの能力は高く、畑を耕すには非常に役に立った。
今後、運転の仕方を教えて、自分で耕してもらわないといけないだろうな。
最終的にはここの村人に貸し出して自分でやってもらいたいと思っている。
そのあと、しばらくすると、運転を教わった村の者がトラクターを運転する。
その結果、俺が魔法を使わなくても勝手に森が開かれ、畑が広がる。
いい感じだと思う。
俺が居なきゃ、この村が育たないのなら意味はない。
とはいえ、魔力は俺が補給してるんだよなぁ……。
俺はメラニーを連れブロウスの街に向かい、大麦だけではなく、大豆、ジャガイモを探し出すと、新たに作付けした。
大豆やジャガイモは荒れ地でも収穫が見込める作物。
食糧の増産で食べる物を何とかしたい。
俺だってやせ細った子供が見たい訳ではないのだ。
短め三連です。
誤字脱字の指摘、大変助かっております。




