表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/66

フォントラス村

 メラニーのナビに従い村に向かう。

 徐々に道が狭くなり、そこには寂れた村があった。

 中に入ると、村人はやせ細り、子供が飢えている。

 死んだような目をして歩いていた。


「食えていないじゃないか……」

 俺が呟くと、

「そう、飢えてる。

 こんなはずじゃなかった」

「俺にこの村を何とかしろと?」

「逃げたかった。

 でも、逃げられなかった……」

 メラニーが目を伏せる。

 ハーフトラックが村の中で一番大きな屋敷……といっても、厩に小さな家が付いている程度……の前に停める。

 皆が降りるとハーフトラックをカバンに収納した。

 屋敷の横に俺の家を出す余地はあるな。


 こりゃ増築が必要か……。


 ぞろぞろと村人たちが集まってくる。

「メラニー様、お早いお帰りでございますな」

 と長老らしき男が現れた。

「ベナス、理由があって少し早いが帰ってきた」

「どのような理由で?」

 ベナスが聞く

「結婚するために帰ってきたのだ」

「結婚ですと?

 ついに?」

 喜ぶような顔。


 早く結婚して欲しかったようだ。


「ああ、観念した」

 とメラニー言ったあと、

「我が息子を夫にと?」

 ベナスはニヤリと笑う。


 いや、喜んでいる感じじゃないよな。


「あそこにいる男だ」

 メラニーが俺を指差すと、長老の目が変わった。

 笑っていないのだ。

「アキトという。

 少々歳はとっているが、私など比較にならないぐらい強い。

 私は第三夫人ということになるが、それでいいと思っている」

 続けて言うメラニーの言葉を聞くと、

「そうですか、息子ではなくあの方を……」

 と言って俺を見るベナスの目が怒りに震えているように感じた。



「何も無いんだな」

 俺が呟くと、

「ああ、こんな寒村だ。

 長男以外は出て行く方が多い。

 情けない話だが、馬も売らないと税金が払えないぐらいだったからな」

 とメラニーは辛そうに話した。

「で、夫としてはこの村を富まさなければならない訳だな」

「そうしてもらえるとありがたい」

 と申し訳なさそうに言うメラニー。


 まあ、とりあえず家から……。


 俺は収納カバンから、家を取り出し、メラニーの屋敷の横に置いた。


 おっと、納屋とかも込みなら、メラニーの家よりデカいや。


 寝る場所の必要もあるので、メラニーの屋敷の裏口と俺んちの入口を繋ぐリビングを作った。

 と言っても何も置かれていないだだっ広い部屋。


 どっかでソファーぐらいは手に入れるか……。


「えっ、風呂まであるのか?」

 メラニーが驚いていた。

 この辺は、春から秋にかけては行水。冬は体を拭く程度だそうだ。

 あの森の中で、この家を維持していた俺たちって凄いらしい。


 結局風呂に入った後、なぜか元々ドリスの部屋だった場所で雑魚寝することになる。

 それがいいと言うのだから仕方ない。


 そんな時、

「ドリス、メラニーにエルフの言葉を教えてやってくれないか。ドリスとオレゴルはメラニーから言葉を教わる。

 それをやってもらいたい」

「わかった。

 夫の言うことを聞くのが妻の務め。

 私はメラニーに言葉を教える」

 ドリスは頷いた。

 続いて、

「メラニーは、ドリスとオレゴルに人間の言葉を教えてくれないか」

 俺が言うと、

「何故だ?」

と聞いてきた。

「この村で暮らすならば、人間と意思疎通ができた方がいいだろう?」

 というと、

「私はドリスとオレゴルに言葉を教えよう」

 納得したのかメラニーは頷いた。

(われ)もなのか?」

「ちゃんと勉強して人間の言葉を覚えろ。

 お前もこの場所で一緒に暮らすんだろうが」

「うー、今更勉強をせねばならんとはな……」

 オレゴルは嫌々をしていた。


「アキトは?」

 俺に聞くメラニー。

「この村の事を色々調べることにするよ」

 と返しておく。

「僕はどうすれば?」

 と言うベルトランに、

「お前は俺のメイドだから、俺に付いてきたらいいんじゃないのか?」

 と言うと、

「ご主人様、わかりました。

 傍に居ます」

 と抱き付いてくる。

「あー、ずるい」

「そうじゃ、そこは(われ)の場所!」

「私も、いいだろうか」

 ワイワイと盛り上がる。

 

 どこを見ても美女。

 両手両足に花である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ