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レースの結果

 順番で風呂に入り、最後にメラニーが風呂に入っていた。

「メラニーをどうする。

 ベッドが無い」

 ドリスが聞いてきた。

「ああ、俺はソファーで寝る。

 俺のせいだからな」

 そう言って、ベッドの配置を戻す俺。

 元々のツインの二部屋に戻した。

「うー、一緒に寝られない」

「まあ、フォントラス村に落ち着けばそれなりに一緒に寝たりはできるだろう」

俺が言うと、

「うー、仕方ない」

そう言うと、ドリスはベッドルームに向かった。


配置としては、ドリス、オレゴルで一部屋。ベルトランとメラニーで一部屋。


 ドリスを見送ると風呂上りのメラニーが現れた。

 綺麗な金髪をアップにしている。

 鍛えられた体にオレゴルほどではなくとも、十分主張する物がついていた。

 下着はエルフ仕様を渡してある。


 そのまま下着で出てきた訳か……。


「何故、ソファーに寝ようとする?」

 不思議そうに俺に聞く。

「ああ、ベッドが無いからね」

「それを言うなら私だろう。

 ソファーで寝るなら私だ」

 メラニーが声をあげる。

「いいよ。

 こういう時は男が損な役回りをするんだ。

 そうしないと恩が売れないだろ?」

「計算ずく?」

 メラニーが首を傾げた。

「ああ、そういうことだ。

 こういう事をしたら、メラニーが言う事を聞いてくれるかなと……」

「私は……いつでもいい」

 メラニーがポッと頬を染めた。

「まあ、そんなだから遠慮しなくていい。

 俺は眠いから寝るよ」

 変な雰囲気になりそうなのを強引に押し切り、俺はソファーに横になると眠りに着いた。


 

 朝起きると、ベルトランが俺を跨いで居る。

 カチャカチャとベルトの始末をしていた。

「何やってる?」

「バレちゃった?

 ごちそうさまでした。

 僕もドリス様もオレゴル様も魔力満タン。

 メラニー様はおねむです。

 本当はご主人様の意志で補給してもらいたいんだけどね。

 でも、僕は女じゃないから……」

 そう言うと寂しそうな目をした。

 しかし、

「今日も頑張りますね、ご主人様」

 そう言ってニコリと笑うとベルトランは去っていく。


 寝てる間にいろいろかぁ……。

 怒る気にもならん。



 朝食を終えるとボルクス商会に行った。

 見たことのあるトラックが止まっている。

 ただ、所々傷ついていた。


「おはようございます」

 俺は店の中に入った。

 そこにはヒャッハーなボルクス。

 しかしモヒカンの元気が無い。

「お前か」

 苦虫を嚙み潰したような顔。

「賭けの結果を聞きに参りました」

「負けだよ。

 お前がゴブリンの群れを討伐する姿も見せてもらった。

 速さも力もお前の方が上だ。

 チイ……。

 こんなバケモノが眠っていたとはな。

 俺の目も曇ったもんだ」

 イライラしているのか貧乏ゆすりをしている。


 結構なダメージなのかね?


「あなたにとってそこのエルフの遺産とエルフ四人が居なくなるのはどの程度の被害がありますか?」

 俺は聞いてみた。

「商会が潰れる……とまでは行かないが、痛いな。

 輸送能力が激減する」

「でしょうね」

 俺はニヤリと笑った。


 恩を売るか……。


「では提案です。

 俺の所属になるエルフたちを、この店の店員として雇ってください。

 給料も出して、食事も改善する。

 今度見に来た時にエルフたちの姿が、今のみすぼらしい姿ではなく、しっかりとした服を着てエルフらしい姿になっているのならば、そのエルフの遺産は無償で貸し出しましょう。

 そうでなければ、エルフの遺産もエルフも回収します」

「エルフを店員に?

 そんなバカな。

 他の奴等にバカにされる。

 こいつらは奴隷だ」

 ボルクスが言うが、

「それならいいです。

 トラックとエルフは貰って帰ります」

 と脅した。

 モヒカンを震わせて考えるボルクス。

 長い沈黙。

 確かめるように、

「条件通りにすれば、本当に無償でエルフの遺産を使っていいんだな」

 とボルクスは聞く。

「見たでしょう? 俺は既に二つのエルフの遺産を持っていますから」

 と答えると、

「…………仕方ない。

 お前の申し出を受けさせてもらおう」

 と言った。

「決まりですね。

 彼らの月給は一月金貨一枚。

 風呂、食事付き。

 服もちゃんとしてくださいね?」

 俺が言うと、

「風呂と食事だと?」

 驚くボルクス。

「ま・と・もな格好になっていないと、全部持って帰りますよ!」

 と笑いながら俺が言うと、

「むぅ、仕方ない」

 渋々ながら納得する。

「ここに確認に来ます。何も変わっていなければ……」

 と言う俺の言葉に、

「ああ、わかった」

 うなだれながらボルクスは頷くのだった。



 ベルトランの事が終わるまでは、ベルトラン以外のメンバーで冒険者ギルドの依頼をこなし、ベルトランの購入代金を稼ぐ。

 冒険者ギルド証をメラニーも持っていたのには驚いた。

「貧乏騎士は魔物を狩って金にすることもある」

そうな。 


 ハリオートの相続問題の件は泥沼となり、複数の相続者へ金を払うために、ハリオートの所有物は売り払って金に換えることになったそうだ。

 つまりベルトランは売り出されることになった。


 エルフって高いんだなぁ……。金貨二百枚だってさ。

 メラニーんとこの税金なんて比じゃない。

 そんだけ、メラニーの領地が国にとって価値がないということにもなる。比較対象が違うから一概に言えないかもしれないがね。


 メラニーの件で衛兵隊の隊長と揉めたせいで、奴隷商人からベルトランを買い取る際に「歪んだ性癖を持ってるんだな」と嫌味を言われたりしたが、結局、担当することになった奴隷商人に金を払い、俺はベルトランの所有権を得る。

 そしてベルトランは自由の身になった。



 この街に居る必要もなくなった訳で、ベルトランを含めた全員でボルクス商会に向かう。

 理由は「エルフの待遇確認」。

 ボルクス商会に着くと、ボルクスは店の前に居た。

 

「お前、何しに来た」

「ボルクス……、アンタがまともにエルフを扱ってるか見に来たんだ」

 中を見ると、そこには綺麗な服を着たエルフ。薄汚れたようなこともなく、少しふくよかになったように見えた。

「お前が言うように、まともな生活をさせているぞ」

悔しそうにボルクスは言った。


「とりあえず、合格。また確認しに来ますね」

そう言うと、ボルクスの前でハーフトラックを出す。

「お前、魔法のカバンを持っていたんだな。

 魔法のカバンを持つものは国をも作ると聞く」


 そんな大層なもんかね。

 まあ、便利なのは間違いない。


「ええ、見つけました。

 そんな大層なものだとは思っていませんがね。

 私はフォントラス村に居ます。

 何か用事があればそちらに」

 俺はそう言うとハーフトラックに皆と乗った。

 結局荷台にはオレゴルとベルトラン。

 まあ、サスペンションが利いているから大丈夫だろう。


 こうして、メドナスの街を離れるのだった。


誤字脱字の指摘、大変助かっております。


総合評価も400を越えました。

ブックマーク、評価していただきありがとうございます。

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