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「メラニーを送って行ったんじゃ?」

 ドリスの頬が膨れている。

「まあ、いろいろあってメラニーも妻にする。

 ドリスは人間が嫌いか?」

「それはズルい質問。

 アキトは人間」

「そうだな、俺は人間だ」

 俺はメラニーを見ると、

「メラニーはエルフをどう思う?」

「私はエルフの事を知っている訳じゃない。

 だが、アキトが連れているドリスを悪いエルフだとは思わない」

「……だそうだ」

 俺はドリスにその言葉をエルフの言葉で伝えた。

「アキトはズルい。

 そんなこと言われたら、メラニーを認めない訳には行かない。

 悔しいけど……認めてあげる」

 ドリスが言った。

「オレゴルは?」

(われ)(ぬし)の下じゃ。

 上の言うことは聞くぞ。

 ただしのう……。

 当然ながら、ドリスも(われ)もいつも以上に可愛がってもらわんとな。

 それが条件じゃ」

 オレゴルはニヤリと笑った。

「あっ、僕も可愛がって……」

 ブッ込んでくるベルトラン。

 俺は無視をして頭を掻くと、

「さて、皆で飯を食うぞ。

 そんで、部屋で話をしよう。

 ベルトランも込みでな」

 部屋を出た。



 四人でテーブルに着き、俺の横にベルトランが立つ。

 静かな食事。

 カチャカチャと食器の音だけが響いた。

 相変わらずベルトランは甲斐甲斐しく皆の世話をする。


 食事を終え、再び俺を含んだ五人が部屋に揃った。

「今後の事を話したい。

 ベルトラン、ドリスとオレゴルに言葉を伝えてもらえるか?」

「畏まりました」

 ベルトランが頭を下げた。

「それでこの世界に挙式というのは?」

 メラニーに聞いてみた。

「この世界?」

 メラニーが不思議そうな顔をする。

「ああ、そこからか……。

 俺はこの世界の人間ではないんだ。

 転んで目が覚めたらこの世界に居た。

 そこで助けてもらったのが、ドリスだ。

 まあ、いろいろあって今に至る」

「迷い人?」

 ドリスが呟く。


「そんなの居たんだ」

「ああ、迷い人という世界を跨いできた人間が居ると聞いたことがある。

 だが、何百年とか何千年に一度らしい。

 伝承や物語のようなものだと思っていたが本当に居たのだな」

「良く覚えていたな」

「今は亡き父に教わった」

「まあ、そういう人間なのかもしれないが、それは置いておいて挙式って?」

「ああ、やる。

 白いドレスに花の冠をつけてな」

「ふむ……。

 じゃあ、そのうちメラニーにはその格好で村人の前にでてもらおう」

「えっ、えっ?」

「仕方ないだろう?

 村人に結婚したって認識させないとな」

 すると、

「私たちは?」

 ドリスが聞いてきた。

「そうだな、今度みんなでドレスを買いに行こう」

 モジモジとするベルトランを見て俺はため息をつくと、

「お前も行くぞ」

 というと、

「僕、いつでも待ってますから!」

 と訳の分からない事を言っていた。


 続いて、

「メラニー、村に土地は余ってる?」

 と聞いてみる。

「ああ、土地は腐るほどある。

 ただ、人が少なくてな。

 どうしても最低限になってしまう。

 開墾しても水源が無ければ意味が無いし……」

「じゃあ、俺がやりたい事をやってもいいな。

 それを村人に還元できれば、村が潤うか……。

 場所は?」

 俺はメラニーに聞いた。

「場所?」

「ああ、場所だ。

 村のある場所」

「まずは、村の名はフォントラスという。

 そして場所はブロウスの西、森の近くだ」


 都合がいい。

 あの基地の近く。

 基地から、未だに生きている動力源を持ってきてもいい。


そんな事を考えた。


「うし、今後の流れはボルクスがこの街に来たら話をして、フォントラス村に行くか。

 あとは追々」

 俺が言うと、皆が頷いた。


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