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結果待ち

 ボルクスのトラックと俺のケッテンクラートでレースをすることになった。

 時間は昼頃。

 門から外に出ると、俺のケッテンクラートとボルクスのトラックが横に並ぶ。

 そして、ボルクスのスタートの声と共に走り始めた。


 ケッテンクラートのアクセルを全開にする。

「ヴン」とモーターが唸り周囲の流れる景色の速さが変わった。

 トラックは俺に追いつけない。

 人を轢く可能性を考え、俺は街道沿いの荒れ地を走った。

 どのくらいの速度が出ていたのかはわからないが、時速で百キロは越えていたんじゃないだろうか……。

 実際のケッテンクラートにこんな速さは無かったはず。

 相変わらずサスペンションの性能が良い。

 地面を滑るように走る。

 日が傾き沈みきる前には俺たちはメドナスの街にたどり着いていた。


 勝ちだよね……。


 門番にギルド証を出し、そのまま街の中に入る。

 ボルクス商会の場所を聞くと、すぐにわかった。

 閉店の準備をする店員に、

「これを支店長へ」

 と言って紙を渡す。

 すると、店員が店の中に入って行った。

 中から、背の高い黒いネコ科の獣人が現れる。

 そして頷いた。

 チラリとオレゴルを見ると、即座に身を伏せる。

「何かあったのか?」

(われ)はあ奴等の神でもあるからの。

 恐れたのであろう」

 えらそうに胸を張るオレゴル。


 今さら神の威厳と言われてもな。


「迷惑な話だな」

「迷惑な話です」

 俺とドリスが言うと「の」の字を書いて拗ねた



「終わったな」

「ん、おわったね」

「終わったのう」

 三人で呟く。

「あとはボルクスが街に来るまで待たなきゃいけない。

 街で夜を明かすなら、宿だろうな。

 宿を探すなら……どこだろうねぇ

 ギルドに聞いてみるか」


 メドナスの街の冒険者ギルドに行くと、依頼の終了処理をする冒険者たちでごった返していた。

 俺はドリスとオレゴルを連れて受付への列に並ぶ。

 やはり、高齢に見える俺にエルフと獣人というメンバーが異質なのだろう、

「なんでオッサンにエルフ?

 それに美人な獣人。

 金で集めたのか?」

 と、ちょっかいを出す冒険者が居た。

「いかんかね?」

 俺は聞く。

「ダメだろ。

 弱いオッサンが遊びついでにエルフと獣人に守られながら、冒険をしているんだろ?

 俺たちみたいに命がけで戦わないと冒険者とは言えないぜ」

 同意する者も多いのかクスクスと笑い声が聞こえた。

「ふむ、俺がこの二人より弱いと?」

 ちょっかいを出した冒険者に近づく。

「あっああ、

 でなければ、エルフを連れるオッサンなんて居ないからな」

「ふむ……。

 弱いらしい……」

 俺はそう言うと、オレゴルと初見の時に無意識に放った威圧を、意図して使ってみた。

「ヒッ」

 とちょっかいを出した冒険者と俺の周りに居た冒険者が腰を抜かす。

「オレゴルと反応が違うな」

「まだ(われ)のほうが威圧には慣れておる。

 早くやめぬと死ぬぞ」


 おっと、そりゃいかん。


 俺が威圧をやめると、避けるように冒険者が居なくなる。

 そして早々に俺たちの番になった。


「ギルドで宿は紹介してもらえる?」

「はい可能ですが、どのような?」

「三人以上で内風呂がある部屋がいいな。

 食事は宿でも外でもいい」

 パラパラと宿帳のようなものを見る職員。

「ご予算は?」

「一日金貨一枚?」

 俺が言うと、

「えっ、一枚ですか?

 そんな高価な宿はこの街にはありません。

 高くても銀貨十枚です」

 俺も込みで金の価値がわからない。

「じゃあ、その辺で」

 俺は言った。

 職員に地図とメモを渡される。

 そして、目的の宿屋に向かった。

 ケッテンクラートは停車場の端に置き、俺たちは宿屋に向かった。


 宿には食堂が併設されており、食事もそこでとれるようになっていた。

 部屋は四人部屋。

 ツインの部屋が二つ。

 風呂は小さい。

 ドリスとオレゴルは少し不満。


「俺一人で、ドリスとオレゴルだな」

「違う、私とアキトでオレゴル」

(われ)とアキトだ」

 まあ三人三様である。


 俺はツインの部屋のベッドの一つをカバンに入れると、別のツインの部屋に移した。

 シングルのベッドが三つになる。

 幅は……ギリギリだった。


「これでどう?」

 俺が聞くと、ドリスもオレゴルも納得。

 ウンウンと頷いていた。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] >俺が威圧をやめると、俺から避けるように冒険者が居なくなる。 『俺を避けるように』または『俺から逃げるように』ですかね。
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