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人の街

 捨てるかもと言っていた肉食獣の肉だが、結局燻製をつくると、オレゴルが好んで食べるようになった。

「煙の香ばしさがいい」

 ということらしい。


 ある日、

「人の街ってこの辺にある?」

 と聞いてみた。

「あるにはあるだろうな」

「はい、定期的に私を襲いに来ていますから」


 要は距離がわからないと言う感じか……。


「街に行ってみたいんだが良いか?」

 俺は提案すると、

「何故ですか?」

 ドリスが聞く。

「そうだな、今俺の手元にあるのは、エルフの情報だけ。

 できれば人間の情報も得たい。

 スマホの新聞みたいなのに載ってるのは、千年前の人間憎しのエルフ側の視点だけだしな」

「まあ、確かにそうですけど」

「不安か?」

 俺が言うと、

「アキトは私を守ってくれるから大丈夫です」

(われ)もおるしな」

 二人は頷いた。



 家とハーフトラックを含むケッテンクラート以外の物を仕舞う。

「相変わらずだのう」

 と苦笑いなオレゴルと、

「私の夫は凄いのです」

 と気にしなくなってきたドリス。

(われ)の夫でもあるぞ?」

 とオレゴルは対抗心を燃やす。


 ドリスは小屋を置いてあったところを掘ると何かを持ってきた。

 それは、たくさんの小袋。

「何だこれ?」

「私を襲った冒険者が持ってた。

 中身は使っていない」

 袋の一つの中身を出すと、銀貨や銅貨が入っている。


 この数以上の人間に襲われたって訳か。


「大変だったな」

 と俺が言うと、

「大丈夫、エルフは森の中では強い。

 力勝負になると難しいけど……」

 頭を撫でると、目を細めた。

 グリグリと頭を擦り付けるオレゴルも頭を撫でた。


 俺は一つの袋にまとめると、他は燃やした。

 銅貨が多いが銀貨も金貨もある。

 まあこれだけあれば何とかなるだろう。



 俺は運転席に、二人が後席に座る。


 ドリスが対物ライフルを持ってスリスリ。

 俺はケッテンクラートを起動するとアクセルを開ける。

 とりあえず道を探した。

 参考程度だがエルフのスマホのマップも表示する。


 確かに近くに街道はあるな。

 人間が勝ったというのなら、表示された街に行けば何かあるかね。

 地図に表示されたブロウスの街。

 そこに向かうことにした。


 キュラキュラ……とキャタピラの音が響く。

 俺はいつの間にか紛れ込んでいた飛行帽のような物とゴーグルをつけて運転している。

 俺たちの服装はしっかりとした生地でできた歩兵用のモスグリーンの上下。

 その上から防寒着。

 ドリスは対物ライフルを構え、何かを狙っている。

 オレゴルは突撃銃を抱きウトウト居眠りをしていた。

 エルフが作ったサスペンションは秀逸で、揺れを感じさせない。


 俺は風を感じた。

 懐かしい気がする。

 そう言えば、はじめて原付に乗った時、何よりも速くなれる気がした。

 何時からだろう、バイクになんて最近乗っていない。

 アクセルを開けると「キュイーン」とモーター音のような音が大きくなり、速くなった。


「あっ」

 ドリスが指差す場所に街道が見えた。

 人が荷物を背負い歩く姿が見える。

 荷馬車も見えた。

「街道に出たね。

 一応減速」

 と言っても馬車より早い。

 見たことのない乗り物が走る姿を旅人たちは不思議そうに見ていた。


 さて、人間の街ってどんな感じ?


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