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試射

 

 持って帰った拳銃、対物ライフル、突撃銃、軽機関銃を試射することにした。

 拳銃で撃つと、木の幹が弾けて小さな穴が開く。


 まあ、こんなもんか……。


(ぬし)よ、威力を見たが魔法のほうが良いのではないか?」

 オレゴルが聞いてきた。

「しかし、魔法には呪文が要るだろ?

 だから、このほうが早いんじゃないか?」

「ふむ……確かに」


 対物ライフルを撃つと、幹にバスケットボール大の穴が開く。

 それ相応の反動。


 オオ……。

「これは凄いな。

 大きな魔物でも倒せそうだ」


 突撃銃は、拳銃より弾けるが、まあそんな所。

「うむ、拳銃と言うものよりも少し遠くから撃てるのだな」

 軽機関銃は「ヴォーン」と言う連射音が響き、撃ち続けると木が倒れた。

「これは、多人数相手に使えそうだのう」

 オレゴルが呟く。


 総じて音が小さい。

 暗殺に向いていそう。

 あと、弾丸を運ぶ必要が無いのもいいね。

 ただ、魔力量が継戦能力にかかわってくる。

 魔力が多い者はいいが、少ない者はすぐに枯渇する。

 エルフが戦いきれなかったのも、魔力を使い切って戦えなくなったのかもしれない。

 魔力の補給方法が確立されていなければ無理だろう。


 拳銃はとりあえずドリス用だろうな。

「これはドリスに渡しておく」

 ドリスが受け取る。

 安全装置の解除方法を教えた。



 突撃銃はオレゴル。

「これはオレゴル」

 オレゴルが突撃銃を受け取った。

 ロック、三点バースト、自動の切り替えスイッチを教えておく。


 俺は……軽機関銃だろうな。


 対物ライフルは、狙撃用かな。

 身長ほどもある対物ライフルに抱き付き、銃身を撫でるドリス。

「これは私です。

 長くて太くて……強い」

 テッパンの言葉。

 なんか背の低い少女が銃身の長い対物ライフルを扱うのが流れの気がする。


 まあ、何にしろ、しばらく出番は無いか。


 そう思っていたのだが、じっと俺を見るドリス。

「撃ちたいの?」

 と俺が聞くと、コクリと頷くドリス。

「それを言うなら(われ)もじゃの」

 被せるオレゴル。


 仕方ねぇなあ。


「じゃあ、岩塩のところ行くか?」

「うん」

「ああ」


 ケッテンクラートに三人で乗り岩塩の壁の近くまで行く。

 壁の近くでケッテンクラートから降りると、岩塩の壁が見渡せる場所に陣取った。


 すると大きな魔物が来た。

「グラームロだのう」

 オレゴルが言った。


 よく見ると、体高で五メートルありそうな体のシカ。

 ヘラジカって奴だろう。

 ドリスは対物ライフルを構えると、そのまま魔力を充填する。

 そしておもむろに撃った。


 グラームロの目に命中し眼球が破裂する。

 そのまま脳に到達したらしく、三歩ほど歩いたのちに足がふらつき、ズズンと横に倒れた。

「威力が強いけど、魔力を消費する量が多い。

 連続で三発も撃てば、私はちょっとしんどいかも」

 との事。


 やはり高威力の武器は魔力の消費量が多く、継戦能力が低くなる傾向があるようだ。


「次は(われ)だな」

 オレゴルはグラームロの周りに集まり始めた肉食獣と戦う。

 右腕に突撃銃を構え、左手の爪を伸ばして接近戦を仕掛ける。

 オレゴルが去った後には、頭を打ちぬかれた肉食獣が転がっていた。

「うむ、使いやすいぞ。

 ただ、確かに魔力の減少を感じるのう。

 魔力は回復に時間がかかる。

 一時にはいいが連続では難しいようじゃな」

 オレゴルが俺と同じことを考えていた。


 グラームロと肉食獣は俺のカバンの中に入れる。

 ドリスとオレゴルが見て驚いていた。

 俺はケッテンクラートに乗って運転の練習。

 荷台にドリスとオレゴルが乗る。

 そしてドリスが銃身に頬を寄せすりすりしていた。



 家に帰ると、ドリスが倒したグラームロの解体。

 魔力の多い肉は美味い。

 皮は、布団代わりになるだろう。

 俺はオレゴルと肉食系の魔獣の解体。

 オレゴルは切れ味の良さそうな爪を上手く使い解体していった。

 肉食の魔物は肉が不味いらしく、皮を剥ぎ、肉なんかは投げ捨てる。

「オレゴル、食ってみたら?

 元の姿ならあんまり気にならないだろう?」

 俺は捨てられた肉食の魔物の肉を指差した。

(われ)は主の料理を知ってしもうた。

 その(われ)に生肉を食えと?」

 涙目で俺を見る。

「もったいないだろう?」

「それはそうだが……。

 肉食系の魔物は筋が多うて美味くない」

「前造ったようなジャーキーにするか?

 そうすれば、携帯の食料になるし……」

「おお、あれは美味かった。

 しかし、肉質にもよるのでは?」

 オレゴルが聞いてきた。

 興味津々で目が爛々だ。

「まあ、何とかなるさ。

 干し肉ついでに燻製にしてみよう。

 木のチップは多くある。

 いい物ができるかもね」


 俺は燻製小屋を土で作る。

「ドリス、解体を続けるんだろ?」

「はい、今日中に皮を干す予定です。

 アキトから頂いたこの対物ライフルと言うもの……いいです」

 ライフルを抱きよせて銃身にすりすりと頬を寄せていた。


「じゃっ、じゃあ、ちょっと岩塩をとってくる」

 ちょっと引き気味に俺は言うと、

「わかりました。

 早く帰ってきてくださいね」

 を聞きながら、俺とオレゴルで、岩塩の壁に再び行くのだった。


 岩塩の成分だけ抽出し、塊になったら岩塩を収納カバンに入れ、ケッテンクラートに乗る。

 そんなに時間はかからない。

 オレゴルが、

「いつも思うのだが、(ぬし)の魔法はこの世界で見たことが無い。

 なぜだ?」

 と聞いてきた。

「この前言った通り、別の世界から来た。

 だから、向こうの知識をこっちの世界に照らし合わせてるんだ。

 草食の魔物はミネラルと言う成分を得るために、塩を舐める。

 だから、草食の魔物が居る場所に塩があると思った。

 まあ、塩を抽出するのは雰囲気でやってるがね」

 俺は苦笑い。

「まあ、(ぬし)は確かにこの世界の男どもとは雰囲気が違う。

 だから、惹かれたというのもあるのだがの……」

 そう言ってオレゴルは頬を染めていた。


 家に帰ると、ドリスによるグラームロの解体は終えている。


 手際がいいな。


 解体を終えたグラームロの肉をカバンに入れた。

「それは……基地から持って帰ったみたいですが……」

「何か厳重に封がしてあってな。

 使い方を読んでみると、魔力に比例して収納量が多くなるカバンらしい。

 便利だから持ってきた。

 まあ、これ一つだったしね」

「アキトの魔力なら、凄い容量になりそうです」


 そう、ケッテンクラートやら使えそうな物やら、銃器やらを入れてたはずなのに容量いっぱいにはなっていなかった。

 今気づいたのだが、入り口に緑から赤へと変わる目盛りがある。

 目盛りの緑は容量に余裕あり。

 目盛りの赤は容量に余裕なしなのだろう。

 というか、ケッテンクラートを出したとはいえ。

 緑からピクリとも動いていない。


 マジか……。


 ハーフトラックを入れてみる。

 入った。

 家を入れてみる。

 入った。

 容量のゲージは……。

 ピクリとも動かない……。

 ダメだこりゃ。


 ドリスとオレゴルは俺を見て口をあんぐりと開けていた。


 あははは、規格外。


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[気になる点] >「じゃっ、じゃあ、ちょっと岩塩をとってくる」 >ちょっと引き気味に俺は言うと、 >「わかりました。 >早く帰ってきてくださいね」 >を聞きながら、俺とオレゴルで、岩塩の壁に再び行くの…
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