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獣神とは

 俺は風呂を沸かし、汗を流した。

 服も着替えておく。

 正直、下着の数が少ない。

 もう少し数が欲しい所だ。

 何か考えないとな……。


 そんな事を考えていると、二人がのそりと起き出した。

「アキト、おはよう」

(ぬし)よ、おはようなのだ」

「風呂を沸かしてある。

 入るといい。

 ドリス、オレゴルに風呂の使い方を教えてやって」

「うん、わかった。

 オレゴルこっち」

 オレゴルはドリスに手を引かれ風呂に行った。


 俺は先に朝食を食べてしまうと二人の朝食の準備をする。


 椅子をつくらないとな……。


 スープとサラダをテーブルに出した。

 水を汲んだコップも置く。


 もっと種類が欲しいな。


 と思いながらテーブルを見ていた。

 二人が風呂から出てくる。

 オレゴルはちゃんとドレスのような服も着ていた。


 ドリスは椅子にちょこんと座り、

「お願い」

 と振り向いたので、俺は髪を乾かした。

 目を瞑ってボーっとするドリスを見たオレゴルは、

「そんなにいいのか?」

 とドリスに聞く。

 すると、

「天にも昇る気持ち良さ」

 と答えた。


 そうかね?


 指を咥えて俺を見るオレゴル。

「ああ、わかったから、ドリスの後な」

 そう言うと、オレゴルも椅子に座って待っていた。


 ドリスが終わり、オレゴルの番。

 長髪のオレゴルの髪を乾かし始めると、

「あっ」とか「んっ」とか色っぽい声。

「声が邪魔」

 と俺が言うと、

「ムラムラするかの?」

 オレゴルがニヤリと笑って聞いて来たので、

「やめるか?」

 と脅すとすぐ静かになった。


 テーブルの上の食事を食べるオレゴル。

「どうだ?」

「美味いのう。

 料理をすると、これほど美味くなるとはな」


「で、獣神って何?」

 俺が聞くとドリスが、

「森の頂点。

 森を統べる魔物」

 と言った。

「これが?」

 と聞くと。

「これが」

 真顔でドリスが返した。

「少々残念なのは仕方ないのか?」

「神は万能じゃない。

 支配する森が広いと力が強くなるといわれている。

 だからアキトに威圧で負ける。

 神に勝つアキトは規格外だけど」


 地域限定神って感じらしい。


「あの威圧の時に感じたのだ。

 この者に付かなければ、(われ)は一生独り身だと」

 カミングアウトをするオレゴル。

「で、押しかけたと」

 俺が聞くと、

「仕方ないじゃろう?

 (ぬし)の撫では最高なのだ。

 あの時……撫でられたときに、軽く意識を失ってしもうた」

「ああ……ピクピクしたときか」

「そうじゃ、あれ以来、(われ)(ぬし)の虜じゃ。

 (ぬし)の手からもらった魔力で(われ)の人化までの時間は縮まった。

 あの人間どもから奪った魔力で、何とか人化にこぎつけたのだ」

「それで、昨日の夜になる訳だな」

「そういうことだ」


 ちょっとした違和感。

 流暢な会話。


「会話が普通になってるんだが」

 俺が言うと、

「確かに」

 ドリスが頷いた。

 すると、

(われ)が補正した。

 お主たちは普通に話せる。

 言葉を全然知らぬ状態では無理だが、ここまで意思疎通ができるなら問題ない」

 オレゴルが言った。

「お前が来た時からやってくれればよかったのに」

 と言うと、

「魔力が足りんでな。

 今はほれ……。

 昨日のアキトの頑張りのお陰で魔力が満タンなのじゃ。

 このまま人化もしておれる」

 と下腹部を触りながら言った。

「私も最近体の動きがいい」

 ドリスも被せてくる。

「エルフは半精霊種だからのう。

 体内の魔力が増えることで、身体能力が上がったのじゃろう。

 日々あれほどの魔力を受けておるのじゃ。

 強くなって当然じゃろうな」


 ヤッたら強くなるってどういうことなのやら……。

 俺のあれは魔力が濃いのかもしれない。


 ドリスが、

「アキト、オレゴルをどうする?

 土間に住まわすの?」

 と聞いて来た。


 ふむ。


「部屋を増やす気はない。

 どうせ、俺の部屋で雑魚寝だろ?」

「それで良いぞ」

 喜ぶオレゴルに、

「ただし、オレゴルはドリスの下な。

 序列は神といえども守るように」

「うー、仕方ない。

 畏まったのだ」

 と渋い顔をするオレゴルと、

「やたっ!」

 と俺に抱き着くドリスが居た。

 こうして、オレゴルも俺と寝ることになる。


 その次の日から、俺とドリス、オレゴルで狩りをする。

 冬も近い。

 冬を越すための食糧が必要。

 保存性に優れる魔力が高い魔物を選び、倉庫に溜めていった。

 着々と増加する倉庫の肉。


 モツは、モツ鍋を作った。

 ただ、醤油が欲しい。


 俺は、岩塩の露出する崖から、塩を抽出すると、塩漬けにして乾燥させ、ジャーキーっぽいのを作った。

「アキト、これ美味しい」

「うむ、いい味を出す」

 と好評。


 よく考えれば、この世界のこの場所。

 寒さや雪の量は知らない。

 まあ、自分の想定しうる最悪に備えてやっていくしかないね。


 その合間に、俺は周囲の木を切り、薪を作る。

 切った木は薪にするため壁沿いに積み上げる。

 風を防ぐために家を含んだ平地を土壁で覆った。

 魔法でポンポンできる。


 しばらくすると雪がちらつき始める。


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