43六道家の戦い
解散すると各々が一度家へと戻った。
すぐにでもイヴの家に行くと思われたが、誰一人としてそのままの足でイヴの家へ向かうことはなかった。
これは戦である。
即ち、なんの準備もないままに出陣しては丸腰も同然。
刀も持たず、鎧も着ずに戦場にいけばどうなるのかは言うまでもないこと。
綾香宅。
即座に着替えを終えると、綾香はバッグに必要そうなものをぶちこんでいく。
もう泊まる気も満々なので、制服も持参する。
「勝負下着よし! 香水よし! メイク道具よし! パジャマよし!」
指さし確認し、これでいいだろうと腕を組む。
まだ何か必要なものはあったかと棚をゴソゴソ。
出てきたのはピンク色のアレ。
「……」
カチッ。
ブブブブ――……。
「……」
グシャぁ!!!
一撃で握りつぶすと、バラバラになったそれをゴミ箱に放り込む。
何を血迷ったのか、綾香は一度それを持って行っている。
しかも、あろうことかイヴに見つかると二人の前で晒し首。
もうライフポイントが0の経験はしたくない。
バッグを背負い、玄関に向かう。
「お母さん、今日友達んち泊ってくるから!」
いきなりの娘の申し出に、母は眉を吊り上げる。
「泊ってくるって明日も学校でしょ!?」
「制服も持った!」
「だからっていきなりそんな……」
「ごめん、急いでるから! じゃ!」
「ちょっと待ちなさい! 綾香!」
母の制止を振り切って出ていく綾香。
多分、帰宅したら雷を落とされる。しかし、覚悟の上。
しかし、負けられない勝負が綾香を待っている。
ドヤ顔。
後、母に思い切り雷を落とされると再起不能になることを、綾香はまだ知らない。
「お、来たか。遅かったな」
出来るだけ早くに来たというのに、出迎えたイヴはそういった。
遅かった――ということはすでに先客がいるということ。
玄関にある靴を確認してみれば、すでに二つ増えている。
(クソが!!!!!!!!1)
六道家にあがりこむと、すでにテーブルには凛。
キッチンには千鶴が立っている。
「綾香ちゃんおそーい♡」
「いやいやいや、何故そんなに早い!!!!」
「綾香ちゃんち、さりげ一番遠いんじゃん?♡」
一番遠いのは凛の家である。
綾香も千鶴もバスで行ける距離であるが、凛のみは電車も使用している。
だから、凛は必殺技を使っていたのだ。
凛は5000円札を生贄に捧げると、タクシーという召喚を行っていた。
故に、一番最初についたのは凛である。
凛は何かしらの策を打ったのだろうと綾香は思う。
しかしながら――そこに千鶴までいるのには驚いた。
しかも、その姿は綺麗目ワンピースに白いエプロンまでしている。
これではまるで――
(新妻じゃねぇか!!!!!!!!!!!
正統派美少女だけじゃなく、そんなポジションまで演出してんじゃねーぞ鳥女!!!!!!!!!!!!!!)
「ねぇ、イヴ、味見してもらえる?」
「おう」
自然にあーんをしてもらっている千鶴。
(ぐぬぬぬぬぬぬ!!!!!
淫乱ピンクのくせに清純派気取りやがって!!!!
ピンクは淫乱って六億年前から決まってんだろうが!!!!!!!!!!!!!)
「綾香ちゃん、顔怖いぞ♡」
凛に笑顔で突っ込まれ、綾香は般若と化していた顔を元に戻す。
ここには嫉妬をしにきたのではない。綾香はここに戦いにきたのである。
わざわざ首を斬られにきたのではない、斬るためにきた。
「ねぇ、イーちゃん、あそぼ♡ あたしゲームもってきたの♡」
そういって取り出したのは最新式のゲームハードである。
入っているソフトは某社の人気キャラクター勢ぞろいのバトルものだ。
「凛スマ〇ラもってんだ! やるやる!」
「わ、私もやりたい!」
「ごめんね、綾香ちゃん♡ コントローラ二個しかないの♡」
「そしたら負けた奴が交代にしよーぜ」
「イーちゃんがそういうなら♡」
三人でソファのほうへ並んで腰かけると、画面内で白熱のバトルが繰り広げられる。
「あー負けた。凛つえーな」
「イーちゃんも操作うまかったよ♡ はい、次おかっぱ」
代わったはいいが、綾香秒殺。
再びイヴと凛の楽し気な声がはじまる。
「よっし! 俺の勝ちぃ!」
「あー負けちゃった。はい、綾香ちゃん」
「皆、そろそろご飯にしよう。もう準備出来たよ」
やっと綾香の出番が回ったと思えば、千鶴はそんなことを言う。
見てみればすでにテーブルの上には、豪華絢爛な食事が顔を揃えている。
「わぁ! 千鶴料理うまいんだな! 俺の好きなのばっかじゃん!」
「ほら、この前好きな料理聞いたでしょ? だから、作ってみたの。お口に合うといいな」
照れ照れもじもじ。
そんな千鶴を見て綾香と凛はイライライライラ。
(ちーちゃんはなんなの????? 嫁になるために生まれてきたの????
正統派だけでなく料理も出来るとかなんなの????? 死ぬの???????)
凛、心の声である。
(なんで!!!!! この短時間で!!!!! そこまで料理できんだよ!!!!!!!!
もう十分あんたが良い奴だって分かったよ!!!!!! それ以上得点あげるんじゃねええええええええええええええ)
綾香、心の声である。
(ちゃんと出来たかな……張り切りすぎちゃったかな……でも、イヴに手料理振舞えるって、ちょっと嬉しいな)
新妻、心の声。
「わ! うまい! 千鶴料理の才能あんな! 全部うまい!」
「そ、そうかな? えへへ、嬉しい」
「千鶴はきっといい嫁さんになるだろなー。いっそ俺の嫁になる?」
なんて笑うイヴ。
「はい、よろしくお願いします(そんな、お嫁さんだなんて……)」
思いと言葉が逆転する千鶴。
そんな二人の様子を見て、料理ごと箸を食いちぎってしまう綾香。
ニコニコと平静を装いながら、ドレッシングを一気飲みしてしまう凛。
(いや、まだだ……メインイベントはこの後だ……)
(今度こそイーちゃんとお風呂♡ イーちゃんとお風呂♡)
そう、食事が終わればそろそろ頃合いの時間。
御風呂の時間が迫っているのであった。
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