35.ぱふⅩⅩⅩぱふぱふぱふぱふぱふ
私は4代目魔王。名前は――――です。
私の目の前には5人の光の王国の人たちが居ます。
私の魔王の力を求めてやってきた人たちです。
5人の光の王国の人たちは私の体を封印していた水晶を破壊し、私の体を中から取り出しました。
封印が破られた時点で私の意識はぱふぱふから元の体に戻りました。
ぱふぱふは意識を失いぐったりしています。
「はっはー! 魔王さんのお出ましだ! さぁ、その力俺達に寄こせ!」
「世界を総べる魔王の力・・・大変興味がありますね」
「世界最強の力を俺の手に・・・!」
「はぁ・・・私のこの美しい体を永遠に治めることが出来る不老不死。魔王の力を奪う事が出来ればやっとそれが叶いますわ」
「ああ、魔王を倒した栄誉、力、不老不死、それらの全てが手に入るんだ。さぁ魔王よ、その力、我らが野望の為その身を捧げよ」
大剣の男の人、杖の男の人、双剣の男の人、シスター、イケメン勇者がそれぞれ欲望を吐き出します。
私はそれを見ては哀しくなりました。
人間はこうも愚かなものなのかと。
いえ、悪役令嬢さんのような方も居りますから、全ての人間がこうな訳じゃないんですが。
ですがぱふぱふとしてモリノ森の住人達と過ごしてきたので殊更人間の醜さを眼にし、哀しくなりました。
「おらぁ!」
「エクストラエクスプロージョン!」
「ダブルインパクト!」
「ゴットフィスト!」
「裂光斬!」
イケメン勇者たちは何の反応も無い私にここぞとばかりに襲い掛かります。
ですが舐めてもらっては困ります。
こう見えて私は4代目魔王です。
世界を支える魔力を宿した世界そのものです。
その程度の攻撃、私に届く事はありません。
例え届いたとしても傷一つ付けることは敵わないでしょう。
私を傷つけると言う事は世界を傷つける力を持たなければならないからです。
「なっ・・・!」
「馬鹿な・・・!」
「傷一つ付いていない、だと」
「あり得ない! 神の力を借りた術が効かないなんて!?」
「くそっ! みんな諦めるな! 今は魔王は無傷かもしれない。だけど攻撃を積み重ねれば必ず攻撃は通る!」
イケメン勇者の言葉に他の4人も我に返って攻撃を再開します。
ああ、それとシスターの神の力を借りた術と言ってますが、それただの聖属性の魔法ですよ?
この世界の神は基本、住人達に力を貸すことはありません。
何せ自分が楽をする為に魔王システムを作り放置しているのですから。
私は彼らが飽きるまで攻撃するのをただボーっと眺めていました。
とは言え、ずっとこのままとはいきませんね。
彼らの疲労が増し、ようやく攻撃が止まるのを見計らって私は彼らに語りかけます。
「そうまでして魔王の力が欲しいのですか・・・ならば差し上げます」
そう言って私は魔王の力の一部を彼らに分け与えます。
「おお!?」
「これは・・・! 力が溢れる!」
「何と言う魔力だ! 素晴らしい!」
「あはっ、この力さえあれば永遠の美貌は私の物ですわ!」
「これで俺は世界の王だ! 世界の支配者だ! 誰も俺に逆らえやしない!!」
そう喜んでいたのも最初のうちでした。
「がっ・・・!?」
「なんだ!? 力が止まらない・・・!?」
「ま・魔力の抑えが効かない・・・!?」
「うそ、いや・・・! 何故私の美しい体が醜く膨れ上がるのですか!?」
「何だ・・・これは・・・!? ぐ・が・・・ぎぎがぁぎがぐげが・・・・!!!!???」
彼らは1人残らず魔王の力に耐えきれず倒れてしまいます。
「貴方方が望んでいた魔王の力です。存分に味わって下さい」
そうなのです。先代の魔王さんが言っていたように、魔王になるには適合者でなければならないのです。
世界を支えるに足りうる者でなければ魔王の力は扱えないのです。
そうして彼らはそのまま死んでしまいました。
私は彼らの亡骸を光の王国に転送し、これ以上余計な事をするなと警告しました。
・・・何か何千年と生きてきて初めて物語にあるような魔王らしいことをしたような気がします。
そして私は倒れているぱふぱふに近寄ります。
ここに来る道中、彼らはぱふぱふを封印を解くカギとして酷使してきました。
その為ぱふぱふは私の意識が抜けると力尽きてしまいました。
「ぱふぱふちゃん、ごめんなさい。私のせいでこんな目に遭ってしまって。でももう大丈夫」
私は抱えたぱふぱふに力を注ぎます。
そうして『私』は目を覚ます。
「ぱふぱふ?」
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第一部・完
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ぱふぱふ(´・ω・`)モキュ?




