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ぱふぱふ  作者: 一狼
ぱふぱふⅨ(魔王編)
33/43

33.ぱふⅩⅩⅩぱふぱふぱふ

 私は4代目魔王。名前は――――です。




「すまない・・・君をこんな目に合わせてしまって」


「いえ、魔王さんが助けてくれなければ私は死んでいましたから」


 目の前の魔王さんが私に謝罪します。


 ですが私は逆に助けてもらったからと魔王さんにお礼を言います。


 魔王さんが何故謝罪をしているのかと言うと・・・


「だが、君はこれから気の遠くなるような永い時を過ごさなければならなくなってしまったのだよ」


「それは魔王システムの所為であって魔王さんの所為じゃありませんよ。それにそのお蔭で私は交通事故に遭わずに済みましたから」


 魔王さんは次代の後継者として私を召喚したのです。


 丁度その時私は交通事故に遭いそうになっていたので寸でのところで命を救われた形になります。


 魔王は世界を支える役割を持つ者です。


 膨大な魔力をその身に宿し、この異世界の維持を担う人柱的な存在です。


 ですがその魔王も永遠の時を生きますが、流石に不死ではありません。


 今代の魔王さん――3代目になるそうですが――ももう少しで寿命だそうです。


 魔王が居なくなればこの異世界は消滅してしまいます。


 なので次代の後継者を決める必要がありました。


 ですがこの異世界で魔王さんの後継者は見つかりませんでした。


 そこでとった次善の策が、異世界からの魔王に適合する者の召喚です。


 ただ、無理やり呼びつける訳ですから召喚先の世界で居なくなっても大丈夫な者を召喚しようとしました。


 その結果、召喚されたのが私です。


「まさか命の危機に瀕している者が召喚されるとは思いもしなかった」


「確かにある意味居なくなっても大丈夫な者ですね」


「だが君にはまだ両親も生きており召喚先での生活がある。戻してやりたいところなのだが・・・」


 だけど召喚された時点で私は魔王システムに組み込まれてしまいました。


 魔王さんが寿命を終えた後、私は魔王を引継ぎ4代目魔王となります。


「僅かな望みとして君が魔王の役を終えようとするとき、送還の魔法を使い元の世界に戻れるかもしれない」


「でもそれって寿命が尽きるときですので、元の世界に戻っても死んでしまいませんか?」


「大丈夫だ。魔王の役を後継に渡しても直ぐには寿命は尽きない。その僅かな時間は人間の君には十分な時間だ」


「そうですか。それならまだ希望はあります」


「それに送還時には君が召喚された時間とほぼ同じ時間に送還される。こちらで何千何万年の時を過ごしても向こうではほぼ一瞬だ。時間の事も心配することは無い」


「それはありがたいですね。戻ってから浦島太郎じゃ戻る意味もありませんから」


 まぁ、何千年経った人類の行く末の未来もまた興味もありますが。


「君が思っている以上に魔王の役割は過酷だぞ。気が狂うような永い時を過ごさなければならないんだ」


「あまり脅かさないで下さいよ。逃げ出したくなるじゃありませんか」


 そう言って私はおどけて見せます。


 魔王さんは苦笑しながらも残りの僅かな寿命で魔王システムの事やこの異世界の事、魔王と同じく世界を支える世界樹ならぬ双界樹の事などを教えてもらいました。









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