ガチャ090回目:協力者
『プル~』
『グルル……』
2人の話し合いは続き、退屈になった俺はルミア姉さんの店から買って来たとある魔導具を取り出した。
名前:着火の魔導具
品格:『最高』
種別:魔導具
説明:大気に漂っている微量の魔力を元に火を起こす魔導具。小さな火しか起こせない為、戦いには使えない。
よし。それじゃこの火種を元にして、『炎魔法』を習得して見せるか。
そうして魔法の習得に集中していると、メッセージが流れた。
【スキルの獲得条件を満たしました】
【スキル:炎魔法Lv1を取得】
よしっ! 流石に3属性を覚えた後だからか、取得するまでは早かったな。
そうして魔導具を片付けていると、話し合いをしていた彼らが俺の方を見ている事に気付いた。
『ガウ? グルル……』
『プル~。プルル』
『ガゥ……』
……なんか、呆れられてる感じがした。
「えーと、話し合いは終わったのか?」
『プル!』
YESと。
「そうか。それでどうすりゃいいんだ?」
『プルー。プルルー』
……うん、抽象的質問をした俺が悪いんだが、何言ってるのか分からんな。
ここまでイリスとの会話が必須では無かったから、その有用性は低かったんだが、昨日の今日でまた必要になって来てる以上、そろそろウィジャ盤を作った方が良さそうかもな。
まあさすがに、今は紙もペンもないし、即興で用意は出来ないんだが。最悪短剣を使って地面に描けばいいか?
「イリス、とりあえずボスは協力してくれるってことで良いのか?」
『プル!』
YESと。
「一緒に戦ってくれる感じ?」
『プル』
NOと。
「支援してくれる感じ?」
『プルー』
YESとNO両方? どちらとも言えない感じか。
協力はするけど戦いはせず、支援と呼べるか微妙なライン……? そして今困っているのは連中の配下の問題だ。となれば、考えられるのは……。
「……連中の配下をおびき寄せてくれる感じか?」
『プル!』
YESと。
なるほど、囮役か。雑魚が離れている内にボスを仕留めろと言ってる訳だ。だが問題があるとすればボスの強さなんだよなぁ。今目の前にいるボスと同レベルなら問題はないが、さらに格上となると、タイマンとはいえ短期決戦で勝てるか微妙なラインになって来るぞ。
「イリス。ボスから見て、相手の親玉は強いかどうか聞いてくれ」
『プル。プル~、プルル~』
『グルル……。ガゥ! ガウガウ!』
『プル? プルル。プルル』
『ガウ』
「……同じくらいって?」
『プル』
NOと。
「ちょい強い?」
『プル』
YESと。
「ちなみに、全盛期なら負けてないとか言ってる?」
『プル』
YESと。
なるほど。……まあ、そのくらいならマーダーと同クラスか。今回は時間との勝負だし、素材を気にせずに、なるべく撃破を優先して狩るか。
「相手は同じ『フォレストボスウルフ』で合ってるか?」
『プル!』
YESと。
「じゃあどっちも同じ名称だし、味方の方は愛称つけていいか?」
『プル~?』
「例えばフォボスとか」
単に略しただけだけど。
『プル。プルル。プルル』
『……ガウ』
『プル』
YESと。まあ好きに呼べって感じかな?
「ああそれと、フォボスの陣営と相手の陣営の見分けが俺にはつかないんだが、痩せこけててレベルが低かったらフォボスの陣営って認識で良いのかね?」
腕に布を巻くとか分かりやすい目印があればいいんだけど、そもそも俺が布を持ってないからな。さっきのウィジャ盤もそうだし、そういう遊びを鞄にいくつか忍ばせておくのも有りかもなぁ……。
『プル? プルル。プルプルル』
『ガゥ? ……グルルル。ガウ!』
『プル』
YESと。
今のは俺でもわかったぞ。癪だけどそうだと言ってるような感じがした。
『プルル、プルル』
イリスが地面に簡単な絵を描いてくれる。
「……ふむふむ。フォボス達はここから囮役を買ってくれるから、俺達は側面に回り込んで合図があり次第突撃する感じってことだな?」
『プル~!』
「よし分かった、それで行こうか。それと、今回の戦いの報酬だが、前払いで5体渡せば良いかな?」
『プル? プルルルル、プルルン』
『ガウッ? ガウガウ』
『プル!』
貰えるとは思ってなかったって反応だな。まあ、それで士気が上がってくれるなら何よりだ。相手ボスの群れが全部で何体いるのかは知らないけど、あんな数体のウルフだけじゃ満足できないだろうしな。
「風下だし、ここに出しても問題はないよな?」
『プル。プルル』
『ガウッ』
「んじゃ出すぞっと」
『ガウッ』
前払いの報酬を支払った俺たちは、目的の場所へと向かった。途中、敵側の見張りがウロウロしている個体に何度か遭遇したが、消臭液を丸かぶりしていたおかげで俺たちの存在が気付かれる事はなく、むしろ隠密イリスによる窒息で、血を流さずに仕留めることに成功していた。
こいつらの処理は、全部が終わってからだな。
「この辺で良いかな?」
『プル』
目的の場所に辿り着いた俺たちは、合図が来るまでの間、身を屈めて隠れ潜む事にした。付近にいたウルフ達はイリスが全部片付けた事でほぼ安全になっていた。そして、窒息によって若干抵抗した事で発生した戦闘痕も、追加の消臭液をばら撒いたおかげで、周囲に感知されずに済んでいた。
「……ここからじゃ、中央に潜む相手のボスのステータスは読めないな」
『プルーン』
鑑定系統のスキルは50メートルの制限があるからな。けど、ボスの姿は視認できていた。協力者であるフォボスの身体をムキムキにして、ボスとしての風格を漂わせれば、あんな風になるかもな。
「イリス、素材のことは気にせずに、とにかく全力で倒すぞ」
『プル!』
『ワォーーン……!!』
狼の遠吠えが聞こえてきた。
『プル!』
これが合図か!
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