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ガチャ088回目:第二の性質変化

 俺はその辺の木陰で腰を下ろし、水筒からキャップを外し、水を注いでゆっくり飲む。


「冷えた水は美味しいなぁ」


 などとのんびりとしていると、全ての用事を終えたイリスが転がって来た。


『プルプル~!』

「おー、美味かったか?」

『プル~』


 ぼちぼちと。イリスはウルフの処理をするついでに、処理済みの素材を鞄にぶち込んでくれたみたいなので、そこにはもう綺麗さっぱりなにも無かった。

 まあ、臭いばかりは消せないが。


「この世界に消臭液みたいなものがあればいいんだがな~。まあでも、使いどころがこんな場面しかないし、高くつくか」

『プル~?』

「ああ、そうだった。血ばっかがぶ飲みするのはよくない気もするから、イリスも水を飲みな」


 キャップに水を注いでやると、イリスは何か考え込んだ後に、触手を突っ込んで飲み始めた。


「まだ飲むか?」

『プル~!』

「よーし」


 イリスの触手に掛ける勢いでジャボジャボと水を注いでいく。無くなれば『水魔法』で補充すれば良いし、この世界はエコだなぁ。

 などと考えていると、イリスは背後にもう1本触手を生み出し、そこから透明な液体を吐き出し、周囲に撒き散らした。


「ん?」

『プル~!』


 水を注ぐのを止めれば液体の排出は止まり、また注げば液体が出てくる。そうして水筒の中身が空っぽになると、イリスもまた満足そうにその場で跳ねた。


『プルプル!』

「イリス、さっきのはなんだったんだ?」

『プル? プルル~』


 なんかジェスチャーをしているが、俺からしたら水を飲む代わりに無色透明な液体を吐き出していたようにしか見えなかった。水分の過剰摂取による排泄行為のようにも見えたが、イリスは今までそういう生理的機能は持っていなかったはずだ。


『プル~。プルル~』


 イリスが触手を伸ばし、俺の鼻をツンツンする。

 鼻……?


「スン……ああ、そう言う事か。消臭剤ならぬ、消臭液を作り出せるようになったんだな?」

『プル~! プルプル~!』


 なるほど、確かに嗅いでみれば、周囲に漂っていた血の臭いは綺麗さっぱり無くなっている。地面には戦闘の痕として、流れた血が付着していたりはするけど、そこからも臭いはまるでしなかった。

 ちらりとイリスのスキル構成を見るが、前回と変化は無い。ということは、『性質変化Lv2』でできるようになっていた事が判明した訳だな。……ふむ。前回と同様YES/NOのサインを出してと。


「水を飲みながら吐き出してたけど、元となる液体が無かったら作れない感じ?」

『プル』


 YESと。


「前回の可燃液は必要なかったのか?」

『プル』


 NOと。


「じゃああの時は、その辺の水たまりとか、連中が使用してた汚水とかで代用してた感じ?」

『プル~』


 YESと。そしてできる事なら使いたくは無かったといった微妙な空気感が滲み出ている。


「『水魔法』を覚えたけど、アレを使いながら変換するのはきつい感じ?」

『プルル~』


 YESと。なるほどな。


「じゃあせっかく過ごしやすくしてくれたんだし、この場でちょっと早めの飯にしようか。ここの連中の規模感もそうだが、ダンジョンの位置も特定できてない。最悪今日は、威力偵察で終わる可能性もあるな」

『プルル~』



◇◇◇◇◇◇◇◇



 『マーダーラビット』の肉で作った特製サンドイッチを平らげた俺達は、森に入って行った。昨日軽く教えてもらった範囲では、ここの森もダンジョンの位置が詳しく特定できていないようだが、洞窟などがある訳ではないそうだ。

 そうして奥まで進んでいくと、先ほどまでとは別グループの連中と遭遇した。


『グルル……』

『ガウ……!』

「……ん?」


 でもどこか様子がおかしい。やせ細ってるというか、力弱く感じるというか。


*****

名前:フォレストウルフ

レベル:4

腕力:8

器用:10

頑丈:6

俊敏:11

魔力:5

知力:8

運:なし

スキル:なし

装備:なし

*****


 うわ、全体的にさっきの連中の半分くらいだ。総数としては10体ちょっとだが、どいつもこいつも似たり寄ったりでレベルも3~6といったところか。……もしかしてこいつら、ハーブラビットと同様に原住民側か?

 ならまあ、話……は難しくとも、イリスなら対話できたりしないかな?

 とりあえず、飯代わりのあいつらの死体を投げてみるか? 同族でも敵対してる連中の血肉なら喜んで食いそうな気がするし。


「ほれ」

『グルゥ!?』


 近く……といっても10メートルくらい離れた位置にいた先頭のウルフに向かって、強い方の死体を放り投げる。この個体数からすれば1頭じゃ足りないだろうし、もう2体ほど追加で投げてやるか。


「ほいほいっと」

『グル!?』

『ガ、ガウ?』


 やっぱりそうか。普通同族の死体なんて投げられたら敵意を向けられそうなもんだけど、どちらかというと困惑の方が強い。その上、俺に対する敵意よりも、肉の方に意識が逸れてるし。

 そう思っていると、奥から図体のデカイ狼がやって来た。こいつが彼らのボスか?


*****

名前:フォレストボスウルフ

レベル:16

腕力:63

器用:55

頑丈:31

俊敏:78

魔力:66

知力:78

運:なし


(ブースト)スキル】迅速

PB(パッシブブースト)スキル】統率


装備:なし

魔石:中

*****


 やはりボス格か。だがそれでも、全体的なステータスも気持ち低めだし、こいつも痩せこけている。対話……できるかなぁ?

読者の皆様へ


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