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ガチャ087回目:フォレストウルフ

 ラビをルミア姉さんに預け、とある魔導具を銀貨20枚で購入した俺たちは、そのまま西門から外へと出た。確かフォレストウルフの出現場所は、ここから南西の方角だったかな?

 とりあえずまっすぐ西に伸びる街道を進んで行き、北西方向に曲がる街道から外れて、南西の森へと向かう。しっかしこの辺りは、森が多いよなぁ。緑豊かなのは結構だが、どこもかしこも1種類のモンスターが縄張りを敷いて支配しているなんてな。本来であればもっと雑多に色んなモンスターや生物が多様に支配権を奪い合ったり、支配エリアを分けていたりする物だと思うんだが、この世界にはダンジョンなんて物がありからな。ダンジョンがある地域一帯は、その種のモンスターが独占しやすい環境になっているんだろうか。

 ゴブリンもそうだし、キラーラビットに追い出されそうになっていたハーブラビットもそうだ。本来は新参が淘汰されるものだが、ダンジョンがあると片方の戦力は実質無限大だからなぁ。出現速度に限界があるとはいえ、長期戦になればなるほど追い込まれていくだろう。そんなの、原生種側に絶対強者がいない限り勝てるわけがない。

 などと考えている間に、俺達は件の森へと到着した。ここは不人気なのか、キラーラビットの森前と比べて冒険者の姿が無い。なのでイリスも、いつでも戦えるように俺の腕の中でスタンバっていた。


「ここかー」

『プルーン』

『グルル……』

『グルルル……』

「おぉ、早速か」

『プル!』


 フォレストウルフが直々にお出迎えをしてくる以上、ここで間違いなさそうだな。


*****

名前:フォレストウルフ

レベル:8

腕力:14

器用:18

頑丈:12

俊敏:20

魔力:10

知力:8

運:なし

スキル:なし

装備:なし

*****


 うん、ステータスはキラーと比べても軒並み上がってるな。


『ガウッ!』

『ガァァ!』


 1体は正面から、もう1体は側面に回り込んでくる。その動きは俊敏だが、マーダーの速度ほどではない。アレを見た以上は、それ以下のスピードなんて恐れるに足らんな。

 とりあえず側面には着地点を狙ってイリスを投擲。投げた反動を使ってそのまま正面から迫りくるフォレストウルフに蹴りをお見舞いする。


『ギャインッ!』

『プルル~!』

『グルルル!』


 イリスが顔面にへばりつかれた方は、どうにか取り除けないかと転がり続けているから近付くのは危険だな。ならここは素直に、蹴りがクリーンヒットしたことでフラフラになっている方に追撃を仕掛けるか。

 けど、速さに対処できると言っても、それは攻撃を避けたり防御したりするという点に限った話であって、素早く動く敵に対して狙った場所に攻撃を当てるのは、今の俺のステータスでは先読みをしても難しい。だから、怯んでいる今が好機だ。


「おら!」

『ギャン!』


 フラつく相手にもう1度蹴りを入れ、がら空きになった喉元を斬り裂いた。

 これでよし。イリスの方は……。


『……』

『プル~』


 窒息させたか。相変わらず恐ろしいやり方だが、首を折る以上に相手の身体を傷つけないから、素材としてはありのままで良い感じだな。まあ、このまま解体場に持って行けばどうやったのかを疑われそうだが、そこは血抜きを先に済ませておけば問題はないだろう。


「問題があるとすれば……」

『ワォーン!』


 森の中からフォレストウルフの雄叫びが聞こえた。十中八九、先程倒した奴の血の匂いで察知されたんだろう。ひとまず、今倒した奴の処理は後回しにして、このままの状態で『魔法の鞄』に放り込んでおくか。


「イリス、このまま相手の手勢が途切れるまで連戦になりそうだぞ」

『プル~!』



◇◇◇◇◇◇◇◇



「だぁー……。しんどー……」

『プル~~……』


 斬り捨てては鞄に放り込み、斬り捨てては鞄に放り込み、正直何体倒したのかはっきりと覚えてないくらいには狼共の強襲は続いた。辺り一帯には拭いきれない程の血の匂いが漂っているし、それでも襲撃が来ないという事はこの辺りの連中は全て排除で来たと見て良いだろう。

 

「とりあえず、全部出すか。何体いたんだ?」


 鞄に手を突っ込み、表示された内容量にため息が出た。これはヤバイ。

 ひとまず、それ以外の品である槍、解体用短剣、水筒、弁当、小袋、冒険者証、魔導具を先に取り出し、少し離れたところで鞄を逆さまにする。そうする事で、中のアイテムを一度に排出できるのだ。


『ドサドサドサッ!』


 あー……。死体で山ができてら。ゴブリンの時も死体の山は作っていたけど、あっちとこっちじゃ1体辺りのサイズが全然違うからな。フォレストウルフは普通に地球の大型犬に近いサイズだから、山がこんもりしてやがる。


「イリス、大変だと思うが任せていいか?」

『プルル~! プル、プル? プルル?』

「……1体食って良いかって言った?」

『プル~!』

「いいぞー。でも、全部終わってからな」

『プル!』


 血抜き作業をイリスに任せ、俺は先ほど取り出した荷物を鞄に戻していく。


「……あ、冒険者証を見れば討伐数が丸わかりじゃん」


【討伐モンスター】

フォレストウルフLv8:11体

フォレストウルフLv9:13体

フォレストウルフLv10:8体


「うん、めちゃ倒したな」


 てか、ギルドで聞いた話だと、フォレストウルフってレベル4~10って話だったんだけど……。この森って今、もしかして上振れしかいないんじゃないか? 数が増えすぎると、ハーブラビットのように食糧調達の意味合いで追い出される場合もあるけど、肉食かつ個体が大きい場合だとみすみす食べ物を逃してしまう事になりうる訳だ。


「共食いしてたとしたら、だいぶやべーな」

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