ガチャ078回目:ダイソンスライム
俺達が前に出ると、それに合わせて『マーダーラビット』も走り出した。
『ギィ!』
「早速か!」
目の前にいたにもかかわらず、奴は一瞬で移動し姿を消した。だが、その直前の足の動きで、どこから攻めて来てるかちゃんと視えていたぞ!
「ふっ!」
『ギィ!?』
『ドガッ!!』
『バキバキバキ!』
渾身の突撃をバックステップで避けられた奴は、そのまま木に激突した。そして木は根元に大穴が開き、盛大な音を立て崩れ落ちる。
相変わらずえげつない威力してるな。あの貫通力は、ブースト全開にしたキングの攻撃と大差ないだろ。
「ストーンボール!」
『プル~!』
俺は剣先から土の塊を。
イリスは触手の先から風の塊を生成し、発射する。
同時に2発以上は発射できないし、発動までにはラグがあるから連発もできない。弾速も俺達が走るのと同程度なのだが、背中を晒してる隙だらけの奴が相手なら問題はないはずだ。
『ドガガッ!』
『ギィ!?』
「よし、クリーンヒット! イリスはそのままいい感じの所から攻撃を加え続けてくれ!」
『プル~!!』
肩から飛び降りたイリスは、近くにあった木に登り始めた。高所からやりたい放題するつもりだな。
『ギィ……。ギィ!』
「今度は正面か!」
『ガキィン!!』
両剣をクロスさせて『マーダーラビット』の突撃を正面から受け止め、そのまま勢いを横に流す。流石にまともに受ければ俺自身吹き飛ばされるだろうし、剣も無事では済まないだろうな。今の俺には『身体強化』のスキルも無ければ、『剣術』系統のスキルも初心者レベルの心得だけだし。
『プル~!!』
『ギィ!?』
バランスを崩した『マーダーラビット』に向けて、頭上からイリスの弾丸が飛来した。風の塊の次は水の塊か。あのふさふさボディに水が大量にかかれば、それだけで動作は鈍くなるはず。けど、あんまりあの毛皮に攻撃を仕掛けまくっても、素材としての質が落ちかねんな。長引かせるのも良くないし、早めに切り上げねば。
「頭を狙うぞ! ストーンボール!」
『ギィ!』
『プルルー!』
『ギィ!!』
遠距離攻撃で可能な限り顔を狙い、動きが鈍ったところで接近して首元を狙う。
「おおらっ!」
『斬ッ!』
『ギィィィ……!』
【レベルアップ】
【レベルが22から24に上昇しました】
「よしっ!」
『プルー!』
飛び降りて来たイリスをキャッチして、すぐさま首元にまで持って行く。あれだけの武器を持ち帰れたんだ。このサイズでも、恐らくだが『魔法の鞄』にギリギリ入るだろう。……入らなかったら、ゴブリンキングの椅子はこの辺に捨てていくかな?
いや、流石に不法投棄がすぎるし、そうなったら椅子は頑張って抱えながら行こう。
『プル~。ゴキュッ、ゴキュッ!』
イリスがすごい勢いで『マーダーラビット』の血を飲み干していく。まあでも、不思議な事にどれだけ飲み込んでも、その虹色ボディーが赤く染まる事はないんだよなぁ。
『キィキィ!』
『キィー?』
森の陰に隠れていたハーブラビット達が姿を現し、不思議そうに顔を覗かしている。そこからじゃ、『マーダーラビット』の死体が邪魔で俺達が何をしているのか見えないんだろう。
「もう終わったから、安心して良いぞ」
『キィー!!』
『キィキィ!』
俺の言葉が分かるはずもないのに、雰囲気で察したんだろう。2体のハーブラビット達は俺の足元までやってきてすりすりと甘えてくる。よーしよーし。
彼らにはまだ聞きたいことがあるんだが、流石のイリスでもこの巨体からの吸引はまだ時間がかかるかな?
なのでそのまましばらくハーブラビット達と戯れていると、ようやく飲み終わったのかイリスが興奮するようにピョンピョンと跳ねた。
『プルー! プルプルー!』
「なんだ、そんなに美味しかったのか?」
『プル! プルプル! プル!』
「おー、どうどう。そんなに興奮してどうしたんだ」
『プルル! プルル!』
こういう時は直接視た方が速そうだな。どれどれ。
*****
名前:イリス
存在位格:『普通』
コア:極小魔石
レベル:24
腕力:145
器用:145
頑丈:145
俊敏:145
魔力:145
知力:145
運:なし
【Uスキル】魔物言語理解Lv1
【Bスキル】迅速
【Pスキル】炎耐性Lv1、暗殺術Lv4
【Aスキル】暗視、チャージアタック、吸血Lv4、悪食Lv2
【Mスキル】基礎マナ理論Ⅱ、魔力操作Lv2、風魔法Lv1、水魔法Lv1、魔力回復Lv3
【Sスキル】形状変化Lv4、性質変化Lv2、吸収還元
*****
「あーらまぁ」
とんでもない事になってるな。『吸収還元』とかいう特殊なスキルに、吸血が一気に4になり、『マーダーラビット』が取得していた『迅速』の獲得。……これはどうみても、相手のスキルを喰ったな。
「イリスは食った相手のスキルを奪えるのかもな」
『プル~!?』
「なんだ、自覚はしてなかったのか? 今、『迅速』を覚えてるぞ」
『プル?! プルル~~!』
どうやら、スキルを取得した事に大喜びしてたんじゃなくて、美味しかったからテンション爆上がりしてたのかもな。そんなに美味しかったのなら俺も飲むべきだったか? ちょっと興味湧いちゃうじゃん。
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