ガチャ077回目:森の奥へ
「よし、イリス。これからお前に質問していくから、YESかNOで答えてくれ。こっちの左手にタッチすればYES。こっちの右手ならNOだ」
『プルーン!』
『キィ?』
『キィキィ』
『プルプル』
早速会話しているのか、ハーブラビットが近付いてきた。俺は安全なやつだって説明してくれてるのかもな。
『キィ』
『キィ?』
足元にやってきて頬擦りしてくる。ツノがゴツゴツして痛いが、中々に可愛らしいじゃないか。
「これは服従的なやつ?」
『プル』
NOと。
「じゃあ気を許してますアピール?」
『プル』
YESと。
「じゃあ撫でても良いのか?」
『プル』
YESと。なら撫で回すか。
「うりうり」
『キィキィ』
『キィ♪』
「うん、可愛い」
こんな大人しくて人懐っこいならペットにも向いてそうだが、どうなんだろ。
さて、和んだところで本題に入っていくか。
「イリス。彼らは白いのに棲家を奪われてるのか?」
『プル』
YES。
「じゃあ白いのは敵で、俺らが潰しちゃっても問題ない?」
『プル』
YES。
「彼らはダンジョンの位置を知ってる?」
『プル、プルプル』
YES、NO、YES。……ある程度は分かるってことか。
「今までもダンジョンからキラーラビットは湧いて来てた?」
『プル』
YES。
「今までは出現の勢いが弱くて、支配する事はあっても逆支配されることは無かった感じ?」
『プル? プルル?』
『キィ』
『プル』
YESと。
「じゃあ今からダンジョンの機能を停止して、キラーラビットの過剰出現を止めるけど問題はないか?」
『プルル。プルル』
『キィ!』
『キィキィ!』
『プル』
YES、YESと。これで方針は決まったな。
「んじゃ案内してくれ」
『プルプル!』
『キィ!』
『キキィ!』
2体のハーブラビットが駆け出し、俺達はその後を追っていく。ハーブラビットは時折俺達がちゃんとついて来ているか確認のために振り返っているためか、足は速くないが……まあ、その挙動が愛くるしいので気にしないでおくか。
キラーラビットの出現地点であるダンジョンに向かっているためか、当然のように連中と遭遇し、ハーブラビットに威嚇したり俺達に殺意をむき出しにして飛び掛かってくるが、その全てを斬り捨てる。そしてちゃんとイリスには血抜きをして貰って『魔法の鞄』に放り込む。このカバンは質が低いため、中に入れたものの劣化速度が落ちる機能が殆ど作用はしていないらしいが、それでも暑くもなく寒くもない異空間だ。外で剥き出しにしているよりは劣化は遅いはずだろう。
「……よし」
【スキルの獲得条件を満たしました】
【スキル:土魔法Lv1を取得】
彼らを追う道中、何かできないかと思って試してたら、案外楽に行けた。風と水でコツでも掴めたかな。贅沢を言えば『炎魔法』も覚えたかったところだが……。この先に待っている奴を思えばな。
けど、火のないところで魔法の取得は難しいだろうしな。『土魔法』で我慢するしかない。
『キィキィ!』
『キィー!』
『プルププルプル』
ハーブラビットが何かを伝え、イリスがジェスチャーを使って何かを伝えようとしている。やっぱり何言ってるかわからないけど、多分現場が近いとかそういうのだろうな。
「ごめん、具体的にはさっぱり分からん」
『プルーン……』
落ち込むイリスを撫でつつそのまま進んでいると、ウサギ達が立ち止まった。そのすぐ後ろにまでやってくると、そこには川の源流と思われる湧き水のポイントと同時に、少し開けた広場があった。
地球なら絶好のキャンプ地となりそうなそんな場所だが、明らかに平和な空間には似つかわしくない存在がそこにいた。
『ギィ……?』
ホブ、キングと来て、ここで懐かしのこいつか。この世界でも出会う事になるとはな。まあ予想はしてたが。
キラーラビットの上位種は、基本的にコイツである事が多かったからな。
*****
名前:マーダーラビット
レベル:18
腕力:120
器用:100
頑丈:80
俊敏:140
魔力:60
知力:50
運:なし
【Bスキル】迅速
装備:なし
魔石:中
*****
おーおー、レベル18の殺人兎か。
しかもちゃっかり『迅速』持ちの『中魔石』持ちだ。ステータスは向こうより低いが、その捻れた2本のツノは今の俺じゃあ致命傷だ。
問題は『迅速』による超加速だが、今までの経験がある以上難しくはないかな。
『キィキィ!』
『キィ……』
『プルプル!』
ハーブラビット達が今まで以上に声を荒げ、イリスがそれに応える。恐らくあれが元凶だとか、そんな感じの事を言ってるんだろうな。
「よし、ウサギ達は下がってろ。あれは俺達がやる」
『プル~!』
『『キィ~!』』
『ギィ……!』
しっかし、相変わらずのずんぐりむっくりのモフモフ具合だな。
あれで気性が良ければ可愛がれたのに。まあ良い、地球で最初に戦った時と比べて防具はちと心許ないが、武器に関しては自信があるし、魔法の準備もある。更にはイリスまでいるんだ。
「イリス、勝つぞ!」
『プル!』
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