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ガチャ063回目:武器商人

「ちわーっす」

「おう、戻ったな。待っていたぞ」


 店の中には相変わらず客がおらず、おじさん1人だった。本当にここは繁盛しているんだろうか。心配になるな。


「……今日はあのおっさんはいないんですね」

「アレでもギルマスだからな。ダンジョンなんて騒ぎが起きた以上、フラフラしてるわけにはいかんのさ」

「うーん、俺の考えすぎですかね。俺的にはこういう時でもフラフラしてるイメージがあるんですけどね」

「ははっ、そりゃ間違っちゃいねえよ。だがそれは、煮詰まって動きがなかった場合の話だな。まだ始まって2日目だから、そうなることはねえよ」

「なるほど」


 進展がなければ、ね。今日でだいぶ進展するというか終わると思うから、結局おっさんは明日か明後日にでもフラフラし出しそうではあるな。


「で、今日の成果はどうだった? 門のところではダンジョン探索に行った連中が大変な目に遭ったと騒いでいるようだが」

「相変わらず耳のお早いことで。まあコレを見れば分かるんじゃないです?」


 『鋼鉄の槍』と『魔鉄の剣』をその場で取り除いてから、『魔法の鞄』をテーブルの上に乗せた。


「それは違うのか?」

「コイツらは今後のメイン武器なんで。ただまあ、今までの2本は継続して持っておきたいので、『魔鉄の剣』の鞘は欲しいところですね。槍は普段は仕舞っておく予定です」

「ふん、そうか。ならその剣もこちらに寄越せ。鞘は無料で見繕ってやる」

「ありがとうございます」


 剣を受け取ったおじさんは、そのまま『魔法の鞄』に手を突っ込み、目を白黒させた。


「な……軽く昨日の倍はあるじゃないか。お前さん、何をやったんじゃ!?」

「集落と砦を滅ぼしました。ついでに2拠点とも武器庫があったので拝借して、一部は磨き上げました」


 イリスに処理させたのは250個くらいだが、それは実際錆びていたり汚れていたりした物であって、武器庫にあったほとんどの武器は手つかずの新品状態だった。それらも併せた結果、おじさんも仰天する膨大な数になったという訳だ。


「んな……!? それでこの数か。小国の武器庫並みにあるじゃないか。となるとしばらくは打ち止めだな」

「ええ、残念ながら。この周辺にゴブリン以外の武器持ちモンスターの出るダンジョンがあるなら別ですが」

「ふむ……」


 おじさんは少しの間押し黙ると、ちょっと待ってろと言って奥へと引っ込んでいった。中からは相変わらず金属がぶつかり合う音が鳴り響き、暇を持て余した俺はその辺にあった椅子に腰かけぼけーっとすることにした。ああ、鐘の音が聞こえてくるな。

 そうして十数分後――。


「おう、終わったぞ」

「お疲れ様です。今日は時間かかりましたね」

「馬鹿野郎、鞄の容量ギリギリまで詰め込みやがって。俺じゃなきゃ全部確認するのに1時間は掛かってたぞ」

「あはは、すみません」

「それで今回は、磨いてる奴もそこそこあったな。何かコツでも掴んだか?」

「そんな感じですね」

「はっ、そうかよ。……だが、しばらく入荷が無い事を思えばすべて鋳潰すのは止めた方が良さそうだな。それくらいの数があったぞ。ほれ、買い取り票だ。確認してくれ」


 そうして提示されたメモを見た。

 ううん、持ち込んだのは俺とはいえ、改めて見ると凄い数だ。


【磨かれたシリーズ】

・鉄の短剣:20本×500G=10000G

・鉄の剣:20本×600G=12000G

・鉄の槍:20本×900G=18000G

・鉄の大剣:2本×2000G=4000G

・鋼鉄の短剣:1本×3000G=3000G

・鋼鉄の剣:1本×3000G=3000G

・鋼鉄の槍:1本×5000G=5000G

・鋼鉄の大剣:1本×7500G=7500G

・鉄の伐採斧:1本×3000G=3000G

・鉄のシャベル:1本×2700G=2700G


 累計:68200G


【通常武器】

・鉄の短剣:112本×300G=33600G

・鉄の剣:98本×400G=39200G

・鉄の槍:106本×600G=63600G

・鉄の大剣:12本×1000G=12000G

・鋼鉄の短剣:4本×1500G=6000G

・鋼鉄の剣:5本×2000G=10000G

・鋼鉄の槍:3本×2500G=7500G

・鋼鉄の大剣:2本×3500G=7000G

・鉄の伐採斧:3本×2000G=6000G

・鉄のシャベル:3本×1800G=5400G

・レザーアーマー:328個×100G=32800G

・鉄の防具一式:85個×1200G=102000G

・魔鉄の鎧:1個×12000G=12000G

・ウッドスモールシールド:54個×200G=10200G


 累計:347300G

 合計:415500G

 残高の149980Gと合わせて565480G。


「……あれ、これって」

「ああ、たった2日で借金返済だよ馬鹿野郎」

「おお、やった!」


 両手を上げて喜びを表現すると、おじさんはその場で処理をしてくれるらしい。

 戻って来た冒険者証には残高は60480Gになっていた。


「ちなみにキングの玉座と王冠は……」

「アレはウチでは取り扱いできん。魔導具店にでも持っていくと良い。奴の本が入っていたし、もう顔合わせは済んだんだろ?」

「はい、そうします!」


 そうか、魔導具店か。その発想はなかったな。

 けど、王冠なんて金属の塊なんだし、買ってくれても良いのに。何かできない理由でもあるのかね。


「まさかゴブリンだけでここまで稼ぐ馬鹿だったとはな。恐れ入ったよ」

「いやー、あいつらがシコタマ武器を蓄えてくれてたのが大きかったですね。実際に倒した連中の2倍以上の武器が手に入ったんですから」

「……お前さんが来なかったら、そんな数の武器を用意した連中がこの街になだれ込んできていたのか。ぞっとしやがる」

「たらればの話はやめましょう」

「そうだな。また何か売れるもんが手に入ったらいつでも来い。買い取ってやるからよ」

「はい! ありがとうございます!」

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