ガチャ058回目:アサシンスライム
「ふんっ!」
『斬ッ!』
『ゴキンッ!』
正面から慌ててやってくるゴブリンを次から次へと斬り捨てていく。やはりというか出払っていたゴブリン達は全てダンジョン方面に向かっていたらしく、やってくる連中は全て俺の正面……西側のダンジョン方向から走ってくるばかりだ。
「流石にアイテムを拾ってる暇はないなぁ」
『プルルー』
ウェーブ制と言わんばかりに10体以上の集団を倒せばまた次の集団が襲いかかってくる。ゴブリンの死骸はすぐには消えないので、1ウェーブを蹴散らすたびに少しずつ前進しては殲滅し、また次のウェーブが来ては殲滅してを繰り返す。
奴らも必死なのか、いつもは不利になると逃げ出す通常のゴブリンですら死兵の如く突っ込んでくる。
そうして6ウェーブほど乗り越えたところで――。
【レベルアップ】
【レベルが16から17に上昇しました】
【スキルの獲得条件を満たしました】
【スキル:体術Lv2、剣の心得Lv2を取得】
「おっ!」
ようやく『体術』と『剣の心得』がレベル2か。
*****
名前:天地 翔太
年齢:17
レベル:17
腕力:20
器用:20
頑丈:20
俊敏:20
魔力:18
知力:18
運:32
【Uスキル】レベルガチャEX、特殊鑑定Lv1、異世界言語理解Lv2
【Pスキル】体術Lv2、剣の心得Lv2、投擲Lv2、暗殺術Lv2
【Aスキル】暗視
【Sスキル】次元跳躍
称号:%#$£の###、ダンジョンの解放者
*****
うーん、この2つの取得条件は前衛職に必要な4つのステータスの20が最低条件かもな。レベル1の時も10を超えた時に獲得したし。せっかく武器もあるんだし、そろそろ槍も使い始めてみるかな。
『プルプル』
「お、そうだな。イリスも見ておくか」
*****
名前:イリス
存在位格:『普通』
コア:極小魔石
レベル:17
腕力:110
器用:110
頑丈:110
俊敏:110
魔力:110
知力:110
運:なし
【Pスキル】暗殺術Lv3
【Aスキル】暗視、チャージアタック、悪食Lv1
【Mスキル】魔力回復Lv1
【Sスキル】形状変化Lv3、性質変化Lv1
*****
イリスもいつのまにか『暗殺術』のレベルが増えてる。しかもレベル3だ。まあ、今のイリスの戦法は、出会い頭に首の骨をへし折る暗殺スタイルだし、何らおかしなところはないな。
その上知らないスキルも増えている。『性質変化』ってなんだ? 『形状変化』の後についてるんだし、イリスの身体を何かしら変質させるものだろうけど……。
『プルル?』
「イリスもレベル17になってたぞ。それと『性質変化』ってのも覚えてたけど、自覚あるか?」
『プルー』
「……無いか。そんで、敵のラッシュも止まったかな?」
『プルーン』
……ふむ。ちょっと待ってみたが、今ので火の手が上がった集落を見に来たゴブリンの部隊は全てらしい。
「んじゃスキルの確認は後回しにして、次の先遣隊やら本体が来る前に、アイテムの回収作業を急ぐか」
『プルルルル!』
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふー、小休憩終わり」
『プルン』
剥ぎ取りを終え、水筒から水を飲んで10分ほど小休憩をする。後ろの火事のせいで熱気がやばいからな。死体を積み重ねて日陰を作ってみたんだが、むしろその労働のせいで汗を掻いたまであるから、あまり意味なかったかも。
「イリス、この『鋼鉄の槍』を磨いててくれるか。ちょっと次の戦いで使ってみたい」
『プル~』
この槍はゴブリンの武器庫から拝借したものだ。他にもいくつかの鋼鉄装備が保管されていたんだが、高級装備をわざわざ置いて行くなんてな。部下に渡すのが勿体なくて寝かしていたのか、それとも扱える人材がいなかったのか。
まあただのスピアゴブリンに鋼鉄武器は宝の持ち腐れだもんな。
「……しかし、追加の援軍がそろそろ来ても良いはずなんだが、こないな」
『プル~』
「なら、こっちから迎えに行くしかないよな」
『ププルプル!』
◇◇◇◇◇◇◇◇
「……お、アレか?」
十数分進んでいると、前方に木製の小さな砦が見えて来た。
内側からも砦だと思わせる見た目をしている以上、即席で建てた一夜城などではなく、きちんと中身もあるタイプのようだ。
ということは、ここは本来ダンジョンから出現したゴブリンを集落へ案内する場所であると共に、ダンジョンで何かあった時の為に軍隊を置いておくための駐屯所としての役割があったのかもしれないな。
んで、そんな駐屯場は今蜂の巣を突いたかのように騒がしい。各所でゴブリンの怒号が聞こえてくるが、何言ってるか分からん。
「アレを正面攻め落とすのは今の俺じゃ難しいよなぁ」
『プルー』
「せめて内側の人数さえ分かれば何とか……」
数が少なくキングもいないのなら、姿を現して正面から突撃かましても良いんだが、絶対そんなわけないしな。砦の周囲を彷徨く連中からちまちま倒すのも悪くはないんだが、そもそも俺の目的はキングなのだ。そいつがここにいないのなら、せっかくレベルアップで回復した体力を浪費したくもないんだよな。
……あ、そうだ。
「なあイリス」
『プル?』
「偵察に行ってくんない?」
『プル!?』
イリスは困惑していたが、状況が状況だけに仕方ないと判断したのか、その場で一度飛び跳ねた。
『プルン!』
「よし。そんじゃ偵察方法だが、砦の周辺は見晴らしが良すぎる。転がっていくのはちょっと厳しいだろう。けど、連中の視線は低くて頭上はまるで警戒していないようだ。だから、見張り台にいる奴らのちょっと下らへんにぶん投げる。後はイリスの判断に任せるぞ」
『プルル!!』
アサシンスライムのイリス、行動開始だ!
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