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ガチャ053回目:新しいお店

 おっさんとミランダさんと別れ、イリスに急かされるまま持ち帰り可能な食事を4種類テイクアウトして、そのまま宿屋へと直行した。鐘が鳴ってからそれなりの時間は経ったが、カリンちゃんはしっかり店番をして待っていてくれた。


「カリンちゃん、ただいまー」

「お兄さんおかえりなさい! お弁当どうだった?」

「美味しかったよ。また余裕がある時はお願いして良いかな」

「もちろんだよー! 明日も作ろうか?」

「じゃあ早速お願いしようかな。あ、これ明日のお弁当代ね」

「はい、受け取りました!」


 弁当は安いのにリーズナブルだからな。手持ちのアイテム小袋に入っていたお金で、しばらくはもちそうだ。

 そして今日も今日とてご飯を美味しくいただき、そのまま部屋でも夜食をドカ食いするイリスを眺めながら明日の予定を考える。


「まずは言われた店を覗いて、必要そうなものがあれば購入してから南の森だな。長期戦も加味して弁当だけじゃなくテイクアウトも追加購入しておくか」

『プルーン。プルプル』


 イリスが食事中のモノを触手でツンツンした。


「明日はそれが良いって?」

『プル!』

「わかった。じゃあそれを買おう。戦闘が長引かなかった時は、後でイリスが食っていいからな」

『プルー! プルプル!』

「あ、そういや、これも役立つかな」


 俺はジェネラルが落としたアイテム袋から、ポーションを2つ取り出した。それはどちらも赤い色のポーションで、効果としては単純明快だった。


 名前:回復のポーション レベル2

 品格:『希少(レア)

 種別:ポーション

 説明:傷の治療ができる薬品。飲む事で身体全体の傷と疲労を少し癒す。また、傷口に直接かける事で高い効果が得られる。


 レベルアップ以外にも回復する手段があるというのは嬉しいものだ。特に、レベルが上がって来ると1度の戦闘では上がらない可能性も出てくるからな。

 それとこのポーションは、説明にもあるように怪我が1カ所なら直接かけて、複数個所や全体に広がっているようなら、飲む事で全体的な回復ができるという物のようだ。複雑な効果じゃなくて実に助かるね。


「ああそうだ、明日水筒も手に入れなきゃな。おっさんが言ってた店で買えるだろうか」

『プルル』


 イリスは食事を終えたようで、包み紙として利用されていた葉っぱも消化して、俺の膝に飛び乗って来た。


『ん? もう休むか?』

『プルリュー』

「ま、明日も大変だろうしな。することも無いし、寝るとするか」

『プルルー』


 そうして俺達はぐっすりと寝息を立てるのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



 翌朝、多めに作ったと豪語するカリンちゃんからお弁当を受け取り、そのまま冒険者ギルドに寄って追加のご飯をテイクアウトし、そのまますぐに目的の店へと向かった。

 ちなみにギルドは、活気とともに妙な熱気にも包まれていた。様子を見る限り、それなりに名の知れたパーティが参加を表明していたそうな。といっても気配としてはおっさんより弱く感じたからから、実際には知れてると言ってもこの街基準でのレベルだと思う。


「さて、ここか」


 辿り着いたのは、明らかに魔法を生業としている店だった。

 ……いや、様相からして黒魔術と言った方が正しいか? なんか呪われそうな不思議なオブジェやら、怪しげなグッズが店の正面にあるガラスのディスプレイに並べられている。


「魔法かぁ。確かに必要かもだな」

『(プル)』

「んじゃ、おじゃましまー」


『チリンチリン』


 扉を開けると鈴の音が聞こえた。けど、扉を見上げても鈴はついてないし、どこかと連動してるような機械仕掛けもない。これも魔法かなにかなのか?


「あら、いらっしゃい」


 奥から若い女性の声が聞こえて来た。どんな老婆が出てくるかと思いきや、耳の長い金髪のお姉さんが現れた。

 あの耳にあの美貌。もしかして、エルフか?


「どうしたの坊や。そんなとこに突っ立ってないで、こちらにいらっしゃい」

「あ、すみません」


 吸い寄せられるようにカウンターの前に立つ。

 改めて周囲を見ても、魔導具らしきものやら魔術書っぽい本やら、色々とあるな。あとミランダさんやレイチェルさんは人間的美しさだったけど、エルフの綺麗さは種類が違うな。なんというか、宗教画のような芸術品を見るかのような耽美的美しさだ。


「ちょっと見惚れてました」

「ふふ、正直ね。エルフを見るのは初めて?」

「あ、はい。お話の中でしか見た事ないですね」

「今時珍しいわね。それで、今日はどんなご用事? 一応この店、一見さんお断りなんだけれど」

「え? ギルマスのおっさんに紹介されてきたんですけど……」

「あら、グレ坊の紹介なの? 珍しいわね、あの子がここを紹介するなんて……。冒険者証を見せて貰える?」


 グレ坊……。おっさんをそんな扱いしちゃえるくらいの人なのか。まあ、俺の守備範囲は見た目さえ良ければ実年齢なんて、誰かさんのおかげで跳ね上がったから全然いけるけど。


「どうぞ」

「どれどれー。……??」


 お姉さんはFFFの項目で俺と冒険者証を2度見し、裏面を見て疑問符が顔に張り付いたまま耳がぴくぴくと動いた。触ったら怒るかな。

 ……怒られそうだし我慢するか。

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